夕暮れ
- カテゴリ:小説/詩
- 2018/06/11 11:10:01
こんな雨の降る夕暮れ時
カフェの窓から行き交う人を見て
あなたが別れを告げた
私が別れを告げた
嘘をついたのはどっち
何を隠していたんだろう
あなたに見せられないなんて
こんなに輝いているのに
こんなに浮き上がっているのに
もうあなたの所には飛ばせない
長すぎた時間
私達の春は
短すぎる時間
別れの一幕は
たったそれだけのこと
何がいけなかったとしても
それを掘り出してはいけない
そこには何も埋まってはいない
もしかしたら何かあったとしても
それは遠い遠いかなたに
愛していた
あまりにも深く
繋いでいた二つの手も
いつか離れたままで
あなたも悲しい目をしていた
さようならの5文字が飛んでいく
あなたと私をすり抜けて
遠くからくる風を受けて
佇む私たちを追う
足跡を残しながら
夕暮れが深くなっていく
街路灯にも光が入って
街はまた違った顔をする
そして私達も戻っていくのだろう
数枚のコインを残して