初夏の風
- カテゴリ:小説/詩
- 2018/06/19 10:14:53
昨夜いつものカフェで
お互いにセリフはわかっていた
これまで過ごした2年間を
一度も振り向くことなく
さよならの4文字だけ
何をさまよってきたの
何を探ってきたの
あなたとなら見つけられる
そんな自信があったみたいで
でもそれに過信していた
カフェの窓から見える小道
そんなところでさえ光が灯る
眠れない街に置いていかれないように
でもやがてその灯りも消えて
深い眠りに入っていく
外に出れば初夏の心地よい風
そんなあなたを初めてみた
下を向いたままで
何かにおびえるように
一体あなたを責めるのは何
空白を占める時間のせい
それが私たちの今の姿
無理をして愛し合ったとしても
そこには何も埋もれない
それを見るのが怖かっただけ
これ 返すわ
銀路の小さなリングを外す
これもね
胸に揺れる銀色のネックレス
あなたの手のひらでチャリンと思がする
一体どこに帰るの
行き先が分からない
最後に強く抱きしめて
それでもうさよならするから
あなたを消していくから