４月期のドラマ総決算です。ブラックペアンが結構ギリまであったので少し遅くなってしまいました。

●９位
警視庁捜査一課長　テレビ朝日　木曜夜８時～
かつては骨太だった刑事ドラマだが、最近はなんだかどんどんおかしくなっている。一番おかしいのは刑事部長。そしてネーミングセンスがド直球。やたら芸人をカメオ出演させたがる。ドＭの管理官などなど。私はドＭの管理官大好きだけどｗ それでもやっぱり捜査一課長が発破をかけて捜査員たちがワッと捜査に出るシーンは、前と変わらず高揚するし、推理を裏付けるために人海戦術を駆使して捜査をするところが、他の刑事ドラマとちょっと違う。前のヒロインが不祥事で降板したのは残念だが、家なき子の父子の共演には、胸熱になる方もいらっしゃるのではないだろうか。

●８位
特捜９ 警視庁捜査一課特別捜査班　テレビ朝日　水曜夜９時～
渡瀬の死去を受け、主役を井ノ原にスイッチし、９係ではなく新たな捜査班を組織、新メンバーを加えて再出発した。９係から見ていた視聴者は、初回でいきなり９係が解散になっており、かなり面食らったと思うが、最終回にはその理由が明白に。また、９係時代にはさんざん揉めてなかなか結婚しなかった浅輪と倫子がいつのまにか結婚しているのも、こうきたかーと思ったｗ ジャニがきっちりバーターを捻じ込んでいるところは笑える。新メンバーは加わったものの、ノリは９係と変わらず。個性的な刑事たちの軽妙な会話劇が好きな人は、前と変わらず楽しめる。

●７位
鳴門秘帖　ＮＨＫ－ＢＳプレミアム　金曜夜８時～
遠い昔に見た時代劇のリメイクだが、当時３４歳の田村正和が演じた役を、４１歳の山本耕史が演じていることに、始終違和感を覚えることとなった。現在この役を演じられるのは山本しかいないとは思うものの、残念ながら一瞥しただけで女を虜にするような美剣士には見えない…。ストーリーも昔は１年かけて放映したものを１０回にまとめたせいなのか、人物の掘り下げが浅かったように感じられたし、せっかく山本を起用したのに殺陣もイマイチだった。期待が大きすぎてハードルが高くなってしまったのか、それとも私がドラマを見すぎて目が肥えてしまったのか…。

●６位
執事 西園寺の名推理　テレ東　金曜夜８時～
実はこっそり見てましたパターン。ツッコミ所は多々あれど、今期一番本格ミステリー風のドラマだったと思う。とにかく上川の執事姿がめちゃくちゃかっこよかった。シティーハンターが落ち着いて執事になったらこんな感じかなと思わせた。また守るのが８０代の上品な老婆というのもなかなかよい設定。若い執事が若いお嬢様を守るとか、とてもチャラくて見てらんない。謎ディナーは見るけどｗ 結局西園寺が過去に何をしていた人物なのか明かされずに終わったので、続編があるのではないかと推察。続編あるなら佐藤二朗をもっと活用してほしい。

●５位
未解決の女 警視庁文書捜査官　テレビ朝日　木曜夜９時～
未解決事件に使われた文章や文字を専門に鑑定する架空の部署を舞台にした刑事ドラマ。原作の小説では、波瑠が演じる八代刑事は男性だったらしい。なるほど、だから女性刑事なのに体張ってたのか。正直刑事ドラマとしてはわりと普通で、せっかく育ってきたこの枠を使うのだから、もうちょっと刑事たちの個性を際立たせてもよかったように思う。鈴木京香の演技は完璧なんだけど、エンケンのいい声を封じるならもっと無口にするとか、高田純次をもっと５時から男にするとか、メインキャスト以外にも山内圭哉なんかもっといじるともっといい感じになってたと思うんだけどなぁ。

●４位
ブラックペアン　ＴＢＳ　日曜夜９時～
原作が海堂尊ということで、医療ミステリーを期待したのだが、ミステリー要素の濃いバチスタシリーズに比べると、かなり医療寄りの内容で、思ってたのと違った。当初主人公の性格がクズだったし、スナイプやダーウィン、カエサルなどの医療機器が目立ったこともあり、終盤まで誰が主人公か分からないような展開が続き、ドラマのテーマがあやふやのように思えた。それもそのはず、原作では研修医の世良が主人公の群像劇だったらしい。ただ医療ドラマのクライマックスである手術シーンはやっぱり見応えあった。いい意味でも悪い意味でも、ＴＢＳらしいドラマだった。

●３位
シグナル 長期未解決事件捜査班　フジテレビ　火曜夜９時～
韓国ドラマのリメイクで、日本では少し無理があるところもあったが、同じ無線機が過去と現在をつなぎ、協力して未来を変えるという設定は、作り尽くされた感のある刑事ドラマでは、かなり新鮮味があって面白かった。惜しむらくは、終盤のストーリーをかなり端折ってしまったため、わけがわからないラストになっていたこと。もっとわかりやすく大団円を迎えていれば、２位以上にも食い込めた出来だっただけに惜しい。救いがない展開が多いという評判だが、現実はもっと救いがない。リアリティを無視しようが追求しようがバッシングされるのは、ただ叩きたい人が多いってことなのかなと思う。
※ミステリードラマ賞/特別賞/助演男優賞(北村一輝)/音楽賞

●２位
コンフィデンスマンＪＰ　フジテレビ　月曜夜９時～
大掛かりな仕掛けで詐欺を働き、金銭的被害を与えつつも被害者を満足させてしまう信用詐欺を扱ったドラマで、コメディチックな演出や、個性的なメインキャストたちなど、楽しめる要素がとても多かった。もう少しがっつり騙してほしいと思う回も多かったが、すっかり騙された回もあったりして、毎週見るのが楽しみだった。リアリティに乏しいのが欠点だけど、このドラマはそれが許されると思うし、むしろツッコミ所を探しながらワイワイ見るのが楽しいと思う。ただ、映画化されるようだが、劇場に足を運ぶほどの魅力があるかどうかと言えば、多少疑問が残る。
※コメディー賞/特別賞/主演女優賞/脚本賞(古沢良太)

●１位
おっさんずラブ　テレビ朝日　土曜夜１１時１５分～
ＬＢＧＴを真っ向からテーマにしたラブコメで、かなり評判にもなったが、作りは恋愛ドラマとしてしっかりしており、出演者も演技派の俳優さんが多く、かなり見応えがあった。特に主演の田中圭は、こんなに演技力の高い役者さんだったんだと再認識させられた。途中ドロドロ展開になりながらも、登場人物に悪人がおらず、ほぼ全員優しくゲイのカップルを温かく迎え入れてくれる人たちばかりで、そのへんは多少リアリティがなかったかなとは思うが、その分男たちが繰り広げる恋愛模様を集中して堪能することができたとも思う。恋愛ドラマとしてもコメディとしても上質で、文句なく今期１位。
※大賞/恋愛・ホームドラマ賞/深夜賞/特別賞/主演男優賞/助演男優賞(吉田鋼太郎)/脚本賞(徳尾浩司)