タケシの武勇伝…(10)
- カテゴリ:自作小説
- 2009/10/04 01:39:12
中に入ると、目の前にはタケシの部屋より幅の広い階段がデーンとあり、タケシの家の天井の5倍より高い上階へと伸びていた。その高い上階からシンさんが手をふっていた。
シンさんは車椅子に座っており、突然くるりと背を向けると、おもむろに開いた扉の中に消えていった。
一瞬、タケシは「?」と思ったがすぐに訳が分かった。シンさんがエレベーターで降りてくるのが見えたからだ。
「北野くん、ひさしぶり…」
シンさんの声は小さかったが、玄関ホールに響いて大きく聞こえた。
「シンさ、、いや、真也さん大丈夫っすか?」
シンさんが車椅子に乗った姿を初めて見たからだ。
「シンさんで良いよ。」
シンさんは微笑みながらこう応えたが、タケシは心配でならなかった。シンさんの顔色が今まで見た中で一番青白く見えたからだ。
「塙(はなわ)さん、もういいですよ。あとは北野くんと一緒に部屋にいますから。北野くん行こう…」
シンさんはこう言うと、タケシをエレベーターの中に誘った。気を利かせたタケシが車椅子を押した。
…あのじいさん、はなわって言うのか。でも、顔は佐賀の方よりナイツの方だな。
エレベーターのボタンを押しながら、一瞬こんなどうでもいいことをタケシは考えたが、ゆっくりと音もなくエレベーターが昇っていく間、タケシは素直な感想をシンさんに言った。
「シンさん、すごい家に住んでるんすね。」
目を合わせたシンさんは、それには応えず、ただニコっと微笑んだけだった。
エレベーターを降りて指示どおりに車椅子を押していくと、とあるドアの前に着いた。そのドアは病院にある大きな取っ手付きの横開き式だった。
…ホントに病院みたいだな。
すぐにこう感じたタケシは、おもむろにドアを開いた。
※※つづく※※
かなりうらやましいℇ`♥
エレベーター、楽そうだなぁ~
部屋の中も病院みたいになってるんですかね…?