移ろい
- カテゴリ:小説/詩
- 2018/09/10 11:22:26
朝方降った雨の
降り残しがあるように
突然の大粒の雨
走って逃げる人たちを
まるで追いかけるように
季節は巡っていく
あの強い日差しももうなく
青い空を悠々と流れていく雲
その果てには
一体何が隠れているのだろうか
海沿いの道を
良く走ったものだった
あなたの愛車と運転で
行き先も知らないまっすぐな道を
そう 行き先などなかった
車のシートに
忘れ物をしてきた
それは見えない愛という落とし物
誰にも見つかりはしない
私にも あなたにも ほかの誰かにも
消え去ってしまえるのなら
なんて幸せなことだろう
あなたの前から存在もなく
記憶も彼方へ飛んでいき
もう思い出さえも残らずに
さようなら
そっと心でつぶやくわ
あなたの好きだった景色と
あなたの好きだった車
わたしの好きだったあなたの運転
もう会えないけど
二度と会えないけど
絶対に忘れない
別れることは
消え去る事ではないということ
いつか誰かと結ばれるなら
この愛を飛ばしてみよう
バラの花びらが舞い落ちて
祝福をくれるだろう
そう それが愛というもの
だから私は忘れない
あなたといたこの時間を
確かにあった出来事を
愛し合った温もりを
そして移っていくこの季節を