秋始め
- カテゴリ:小説/詩
- 2018/09/27 13:19:30
あの日あなたと一緒に行った教会
ステンドグラスがきれいだったね
ほの暗い回廊のランプもきれいだったわ
まるで映画のようだったね
ここで洗礼を受けたのね
あっちの教会にも行ってみようか
車でそう行って玄関射止める
こちらは小さな教会だけど
しんみりとした空気が流れている
隠れるようにキャンドルが
白いドレスを着てきたの
だって今日は特別の日
転びそうになったのを助けてくれたわね
そんな私達に記念の指輪
まるで指が暖かくなりそう
何故だろう 恐くなかった
あなたに何を言われても
まるで蜃気楼のように
私の周りをとりまいていった
覚悟を決めていたのだろうか
あの小さな教会に行った
ここが小さな別れの道
ここで話し ここで夜明けを見て
そして夕焼けも見て
そして 二人はずれていった
何も言えず 何も語らず
何も起こらず
これは返すわね
二人を繋げていた小さなリング
もうあの日の光はない
かけがいのない人を失った
秋風はもう冷たくて
街には落ち葉がそこここに
かさかさと踏んで歩く
まるで私たちの恋のように