二コタ大陸歴2018年。二コタ民は、ガチャガチャと聞くとテレビのチャンネルを思いだす昭和の民とスマホの課金ゲームを思い浮かべる平成の民の間で、世代間の断絶が極限に達していた。さらに、少子高齢化の問題を抱え、大陸各地で過疎化が進んでいた。

希望が見えない中、二コタ民の間では、キラキラボシを集めるため大陸を彷徨う奇行が流行していた。江戸末期の仮装しながら町々を踊り歩く「ええじゃないか」を彷彿とする終末の光景であった。二コタ事務局による過疎化の隠ぺい工作とも知らずに。

そのような中、二コタの民に希望を与える夢の鉱石（マジカイナ）が発見される。昭和の民は10歳若返り、平成の民には数学の点数が10点上がるという奇跡の鉱石。二コタの中では、乙女でいたいわという昭和の民の願望。二コタしないで宿題しなさいと叱られる平成の民の願望が満たされる夢の鉱石。

二コタ大陸の盟主国である「ミカン・オレンジ連合大国」は、マジカイナの独占利用を禁止し、自由貿易体制を維持するため、国際会議の開催を提唱し、主要７大国を招集する。

しかし、何者かによる会議場の爆破により、7大国の元首が世を去った。後にユリウス7の惨劇と呼ばれる歴史的事件である。WTOによる自由貿易体制が崩壊し、適地適作、平和共存政策が有名無実のものとなった。

ユリウス7の惨劇により、マジカイナから望みをかなえるPアイテムを製造する製法が失われた。製法はラプラスの箱に封印されていたが、行方が分からくなった。この世界のどこかにあるというラプラスの箱をめぐり、7大フルーツ大国のそれぞれの正義をかけた戦いの幕が切って落とされた。

大陸全土を揺るがす戦火は、中原に位置する「すいか民主共和国」と大陸中央の山脈地帯に位置する「もも大公国」の間で起こった。適地適作政策のもと、利害が衝突することなく、長年にわたり友好関係が築かれていたが、「もも大公国」の元首の座をついだピーチ姫がうっかりものだった。

千疋屋が主催したサマーフルーツキャンペーンの際に、同席した「すいか民主共和国」の王子に、「あら、あなったって、野菜じゃないの」と言ってしまった。すいか族にとっては、かつらをかぶったおじさんに「かつらですか」と尋ねることと同様に、それを言ってはおしまいになる禁句であった。

例えば、ぶどうや梨の10アールあたり年間労働力投入時間は400時間。フルーツは手塩にかけて育てられている。一方、じゃが芋は20時間、水稲は30時間である。二コタの年間プレー時間と比較しても野菜や穀物は放置プレーである。

それほど、フルーツは高貴な存在なのである。すいか族は、野菜売り場でなくフルーツ売り場に置かれていることを誇りにしていた。それを、ピーチ姫は、冗談交じりに「野菜じゃないのと」と言ってしまった。すいか族は、身を真っ赤にして怒りに震え、すいかの大群がゴロゴロと転がりながら、「もも大公国」に進軍した。

ピーチ姫は、隣国の「グレープ王国」に援軍の要請に向かった。桃と葡萄は相性が良い。岡山、長野、山梨と桃の産地は葡萄の産地である。農協は両方を扱っているため、交流が深く同盟関係を結んでいた。

しかし、野菜にも関わらずフルーツの地位を獲得するほど、「すいか民主共和国」は権謀術策にたけていた。「グレープ王国」内のキノコ族と内通することに成功した。葡萄とキノコはともに秋の味覚であり、季節の異なる同族よりはるかに緊密な関係がある。

キノコ族の族長であるキノッピーが、「グレープ王国」の巨峰王に懇願する。
「ピーチ姫を助けるためとは言え、キノコ族の可愛いクリボーが何万匹も、マリオやルイージに踏みつぶされました」

巨峰王が諭す。
「王国の運営は、恨みつらみでするものではないぞ」

キノッピーが語る。
「恨みだけでは、ありません。ピーチ姫は、逃げようと思えば逃げられたはず。マリオとクッパが戦っている間に逃げればよかったのです。クッパを退治したにも関わらず、毎回、毎回、さらわれていきます。判断力と学習能力が欠如しているとしか思えません。この戦火もピーチ姫のうかつな発言によるもの。王は、すいか民主共和国と結び、漁夫の利を得ることが得策と存じます」

巨峰王は、「桃大公国」との平和条約の破棄を宣言し、マスカット銃部隊に進軍を命じた。

動乱は、大陸中央部だけでなく、大陸全域に広がっていた。
大陸南部に位置する「ドリアン・マンゴスチン連合王国」から多数の軍船が大陸北部に向かっていた。辺境に位置し、経済規模も小さく、7大国の中では最弱ではあったが、プライドだけは高かった。

果物の王と言われるドリアン、女王と呼ばれるマンゴスチン。しかし、他国の使節が訪れても、怖いもの見たさで訪れたことが明白であり、下水のようなにおいと陰口を叩かれるたびに、王の心は傷ついていた。

果物の女王と呼ばれるにも関わらず、誰もその姿を思い浮かべることができないマンゴスチン。マンゴーと間違えられるたびに、女王の心は傷ついた。王、女王の支えとなっていたのは、果物の王、女王と呼ばれる高貴さ、プライドであった。

そのようなときに、大陸北方に位置する「りんご共和国」が国歌に「歌舞伎町の女王」を採用した。マンゴスチン女王は、果物の女王と歌舞伎町の女王のどちらの官位が上なのかは分からなかったが、林檎が女王を下品なものとして扱うことが許せなかった。

しかし、「りんご王国」は真面目な東北の農家の方々に、丁寧に辛抱強く育てられていて、攻め寄せる隙がなかった。しかも、大陸を大きく迂回しなければならず、戦費は莫大であり、連合大国にはその余力がなかった。

大陸諸勢力を陰で操るギルドがドリアン王を訪れた。パティシエ組合である。
「戦費を用立ててもかまいませぬ。わがギルドも経営陣からは、人手不足を背景とした生産性の改善、労働者からは、ワークライフバランスの改善の突き上げが大きく、下手をすれば、ブラック企業と呼ばれ、パッシングを受けかねません」

「それと、我が連合王国を支援することとがどう関係するのか」
「リンゴは手間がかかるのです。食感がクリームやスポンジと合わず、アップルパイやタルトタタンのように、焼いたり煮込んだりしなければいけません。イチゴだと、ヘタとって載せるだけで済みます。リンゴを抹殺すると、生産性の改善とワークライフバランスが一挙に改善されるのです」

「兵力を割くと、隣国のバナナ合衆国が攻め寄せてくるのではないか」
「かの国は、建国以来、国論が二分されていて、他国に関与しないモンロー主義を貫いています」
「そうじゃの、バナナには特別コーナーが準備されるくらい領国が広いからな。その国論とは何か」
「おやつは300円までと決められたワシントン軍縮協定を履行するにあたって、バナナはおやつに入るかどうかという難儀な問題です」
「ヤフー知恵袋でも、解決できないお悩みだな。よし、女王の心を晴らすためにも打って出ることにしよう」

あなたは、7大フルーツ大国の1国を選び、ラプラスの箱を探す旅に出ます。クリアのコツは、ラプラスの箱に導いてくれる一角獣を早く見つけることです。

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