キラキラぼし
- カテゴリ:自作小説
- 2018/10/15 22:32:23
キャンプ場に車を停めると22時をまわっていた。ライトを消すと、月が明るく照らしていた。管理所には到着が遅くなることを告げていた。翌朝、登録とキャンプサイトの利用料を払えばいいということだった。
運転して固くなった身体をほぐすついでに、テントサイトに歩いて行った。数組がテントの外で過ごしているが、多くのテントの明かりが消えていた。
この時期、信州のキャンプ場は氷点下近くまで気温がさがり、家族連れを見かけることはない。それでも、最近のソロキャンプのブームで10張りほどのテントが張られていた。
少し離れたテントから、突然、女性の悲鳴が聞こえた。僕は、おそるおそる声がしたテントに近づいた。テントの外でお酒を飲んでいたキャンパーも懐中電灯で照らしながら駆け寄ってきた。
ライダースーツのキャンパーが、テントの中に向かって声をかけた。「どうかしたんですか」テントの中から、20代の女性が二人外に出てきた。「テントの外で、物音がしたんです」
ランタンや懐中電灯で外を照らすと、ビニール袋と中に入っていたらしいゴミが散らばっている。
「このキャンプ場、ときどき、ごみをあさりに猿が出るんですよ。ゴミは、車かテントの中に仕舞った方がいいですよ」
ライダースーツのキャンパーは常連なのだろう。僕たちは、散らかったゴミを拾い集め、何事もなかったように元の場所にもどった。
僕は、車に戻り、運転席を倒して、寝袋に入り毛布をかけた。運転して疲れていたせいか、すぐに眠りに落ちた。
アラームをセットしていたiphonの音で目覚めた。午前4時。月が沈み暗がりが広がっている。空を眺めた。雲一つない。
炊事場で顔を洗い、ケトルに水を入れた。昨日の夜に歩いた時に、いい場所を見つけていた。キャンプファイ―場には街灯がなかった。そして、テーブルとベンチがいくつか置かれていた。
車から、荷物を降ろし、キャンプファイ―場に向かい、テーブルに、ランタンと置き明かりをつけた。
バーナーでお湯を沸かす。その間にミルで豆を挽く。今日は少し贅沢な珈琲豆を持ってきた。沸騰したお湯が少し冷めるのを待ち、粉にお湯を注ぐ。煙草を吸いながら、粉が膨らむのを待つ。ゆっくりと同じ早さでお湯を注ぎ、珈琲を落とす。サーバーからカップに注ぎ、残りはステンレスの水筒に入れた。
珈琲を飲みながら、夜空を眺めていると、懐中電灯の明かりが近づいてきた。
「さきほどは、ありがとうございました。動顛していたのでお礼も言わず、すいませんでした。寒くて目が覚めたら、明かりが見えたので、何しているのかなと思って見ていたら、お礼を言ってないと思ったので」
「気にしなくていいですよ。珈琲があるので、よかったらどうぞ」
「ありがとうございます」
彼女は水筒を両手で抱えて、一口飲んだ。
「あったまる~美味しいですね」
「こういう場所で飲むと、美味しいですね」
「こんな時間に、珈琲を飲もうとされたんですか、寒くないですか」
「星を見てたんです。今夜は、オリオン座流星群が一番多く見られるんです」
「どのへんですか」
「東のオリオン座から流れ始めますけど、明るく見えるのはそこから広がったあとなので、どの方角でも見ることができます。じっと、空を見上げててください」
彼女は、空を見上げはじめた。僕は、空を見ながら、時々、ランタンの明かりに揺れる彼女の横顔を眺めた。
「流れ星、見えました。あっ、また」
「今年は、少ないって言われてますけど、去年は1時間に100個くらい見えました」
「すごいですね。何もしらずに、寝ているところでした」
「オリオン大流星群は、ハレー彗星が通った後に残していった塵なんです。そこを地球が横切るときに、流星になるんです」
「詳しいですね。天体観察が趣味なんですか」
「こんな風に、ただ、眺めているだけです。人と付き合うより、一人でいる方が気が楽なので」
「私も、一人でいるのが好きで、ソロキャンプしてみたいと思ったんですけど、怖かったので姉に付き合ってもらったんです」
「ここは、夜も管理人が常駐していて、土曜日はいつも今日くらいはキャンパーがいますから大丈夫だと思います。僕でよかったら、いつでも、キャンプに付き合いますよ」
「そうなんですか。夜空のこと、また、教えていただけますね」
僕は、冬の星座について語り、彼女は、美味しいパン屋さんを教えてくれた。東の空の色が変わりはじめ、流星を見つけることができなくなった。ラインを交換すると彼女はテントに戻っていった。
11月には、おうし座北流星群としし座流星群が、12月にはふたご座流星群がやってくる。流れ星にお願いしたことが、こんなに早くかなった。ぼくは、オリオン座に向かて、ありがとうと言った。
そうそう、ちゃんと完結させたのだ。
沖人さんも今夜は流れ星にお願いできるといいですねw
20代女子と素敵な出会いがありますように・・・って(*´艸`*)
100円が落ちてないかと、下ばかり見てちゃだめです。
今週末は、1時間に6個くらい見ることができるかも。
願いことは前もって短めの台詞に凝縮して考えておかないと、
願い終わる前に流れ星が去ってしまいそう・・・といつも思います^^
オリオン座流星群は、21日頃が極大だったような気が。詳しくは国立天文台を参照。
ゆりかさん
北海道で星空を見たときは、星座の大きさに感動しました。オリオン座くらいは分かりますが...
mさん
リアルだと、おっさん、夜中に一人で何をしているのだろうと、不審がられて終わりですかね
リアル?ノンフィクション~(^^)/
(^^)/(^^)/(^^)/
キャンプ場での素敵な出会い、良いですね~(*^^*)
沖人さんは星にも詳しいのですか?私は田舎に泊まった時、夜空が星いっぱいだったのを見て、一瞬、何が何だかわからなくて茫然としてました。都会では星は見れないのが残念です。
今「トリックオアトリート」と入力すると背景画面が一瞬変わりますよねw
最近周りにiPhone使ってる人がいないのでこの話題を共有できなくて寂しい(ノ∀`)アチャー
流星群って実際に見れるのかな?
風邪気味だけど観れるなら眺めたいwww