ドバイに出張していた部下が帰ってきた。出張中に「アラブ美女の写真を送れ」とメールをしたら、つぶらな瞳のラクダの写真が返ってきた。なかなか成長したものだ。

ドバイ帰りの部下との打合をしていると、海外勤務を希望したいと言ってきた。どうしてだと聞くと、今回の出張がいい刺激になったし、沖人さんに勝てるものを一つでも持ちたいと言う。

確かに、自分の語学力は小学校３年生程度で、海外勤務の経験はない。しかし、アニメオタクのひきこもり私生活を知れば、そんな思いにはならないはずだ。

部下に刺激を与えたドバイは、ミッションインポッシブルでトム・クルーズが外壁をよじ登った世界一高いブルジュ・ハリファがある中東屈指の近代都市だ。

ドバイは、20世紀初頭までは、漁業と天然真珠の輸出を主産業とする町だった。御木本幸吉が真珠養殖に成功すると、日本の養殖真珠が世界を席巻し、ペルシャ湾沿岸の天然真珠産業が大打撃を受けた。

湾岸諸国は、経済的苦境を脱するために、石油採掘権を海外資本に開放した。セブンシスターズと呼ばれる国際石油資本が、クエート沖のブルガン油田など大規模油田を次々に開発し、世界は石油の世紀に突入した。

セブンシスターズは、ギリシャ神話ではプレアデス七姉妹。和名では昴（すばる）でおうし座にある。夜空で、プレアデス星団はオリオン座から逃げるように移動している。

稀にみる美貌の狩人オリオンは、曙の女神エオスと恋仲になる。オリオンはエオスと交際中にも関わず、プレアデス7姉妹を追いかけまわす。エオスはそれでもオリオンに夢中で、毎日仕事を早く切り上げる。昼間が短くなり心配したアルテミスがやってくる。

すると、今度はオリオンとアルテミスが恋仲になる。アルテミスの兄、アポロンは純潔の女神アルテミスが倫理観のかけらもないオリオンと一緒になるのが気に入らない。

アポロンはアルテミスに沖合の的を射ることができるかと挑発したら狩の女神のプライドからか確認もせずに的を射てしまう。その的は、波間に浮かぶオリオンの頭であった。

嘆くアルテミスは、ゼウスにオリオンを星にしてくれと頼む。アルテミスは月の女神でもあり、夜空で会えるからと。そこまで、アルテミスに思われているのに、夜空で、オリオン座はプレアデスを追いかけている。

川場村で夜空に輝くオリオン座を見て感動したが、君がそんな人だとは思わなかった。君の嫌いなさそり座に早く、追いつかれなさい。