Nicotto Town


ヤツフサの妄想


悪魔なので邪神を育てる事にした 17話

~ 訳アリ会社 ~




翌日、いきなり邪神様の専用車が出来ていた。

古いフォルクスワーゲンビートルである。

一見ポロ車にしか見えないが給油することは無い邪神パワーで動く電気自動車である。

最高速度は240マイル。

386.2426キロで走る事が出来、最高時速で急ブレーキをかけても最小1メートルで止まる事が出来る。

勿論車内に衝撃が伝わらない衝撃吸収バリアが張られていて、たとえワープしても中の分子がプラズマ化することがない。

車内には邪神様がそのまま乗っても運転できるし、人間の姿になっても運転できると言うインチキ仕様である。

因みにガラスに光学変換装置が付いており、お花クラゲのような姿で運転しても、外から見ると普通の人が運転しているように見える、特殊偏光ガラス使用となって居る。

バアルはまだ車を持っていないうえ、運転の仕方がわからないので邪神様の車に乗って初出社することにした。

「邪神様、車を運転したことが有るのですか?」

「無いけどゲームでやっておる。 ドリフトとかうまいのじゃぞ?」

「是非とも安全第一でお願いします」

「まったく付き合い悪いのぅ」


会社に付くと立体駐車場に車を入れ、車外に出ると社長専用ボタンを押す。

勿論押すのはバアルだ。

お花クラゲ邪神様は段ボール箱の中に入っての出社である。

立ち上がったばかりの会社だと言うのに、社員が普通に働いている。

みな急遽魔界から連れて来た人材だ。

「邪神殿、おはよう!」

「邪神はん、おはようさん」

「邪神っ! 人間の姿で出社しなさいよ」

「おや? バルバトスとディクが居るのはわかるが、なぜルシファーの部下のパイモンが居るのじゃ?」

「はい、人間界でのお目付け役として、ルシファーが秘書として使ってほしいとの事で・・・」

「うむ、そうであったか。 パイモンよ、明日から白のシャツを胸元まで開けて、黒のスーツで眼鏡をかけ髪をアップにするのじゃ!」

「えっ・・・ ま、まぁ、いいけど・・・」

パイモンは照れているようで意外と嫌ではない様子だ。

まさか邪神様の薄い本に出てくるような恰好が好きだとは知らなかった。

もしかして人間界ではこれが普通なのか?

パイモンは絶世の美女なので、邪神様はその答えを聞いて凄く満足しているようだった。

『イイ具合のツンデレじゃ、採用したバアルも、送り込んだルシファーも、なかなか見る目があるのじゃな、フヒヒ』


「それはそうと、社員はどうなっておるのじゃ?」

「はい、魔界から選りすぐりの者を100名ほど昨日のうちに連れてきております」

「このビル結構デッかく作ったのに、社員は少ないんじゃな」

「突然の事でしたし、悪魔は人間より仕事が早いですから」

「それでも無駄に広く作ってしまったわい」

「後々、人間奴隷を入れるので問題はありません」

立体駐車場に50台も車が入れられ、空いている場所も大量にあると言う、本当に無駄スペースが多いビルである。

それでも実際いくらご都合主義コンビニウェイブで建物や内装、デスクやコンピュータ、ネット環境まですべて揃えて、昔からある様に見せたとしても、取引先との繋がり等があいまいで、悪魔が人間に化けて仕事を繋げなくてはならないし、それなりの会社であれば求人を出していないと怪しまれる。

しかも最初の仕事は人間界に先に進出していたルシファーの会社の日本支部。

その子会社のシステムを一気に作り変えると言う無茶ぶりだ。

勿論ルシファーは反対したが、邪神様がうどん県並みの恫喝で無理を押した。

人間界での説得は、邪神様のご都合主義コンビニウエィブで何とかしてしまっているのである。

なんとも都合がよい話だ。


「それで邪神様、この後システムを作って1か月後に納品するのですが、邪神様がお創りになる事になって居ますけどよろしいですか?」

「そんな話は聞いておらんのじゃ! この後アキバで遊ぶのじゃ!」

「しかし魔界の者がいくら有能とは言え、巨大なシステムを慣れないコンピュータでシステム設計となると、1カ月では・・・」

「いかたないのぅ、まずはアキバに行くのじゃ!」

「どうしてもアキバなのですか? 遊ばないといけないのですか?」

「違う! 遊びに行くのではない。 我専用のキーボードとマウスが居るのじゃ!」

「邪神様、既に専用のPC2台とサーバー1台が用意されております」

「ダメじゃ! 高速入力するのにこれではキーボードの反応が我についてこれないのじゃ!」

「申し訳ございません、それではお供します。 あと人間の姿になってもらわないと、買い物が出来ませぬ故、そちらもお願いいたします」

「うむ、解っておる」

こうして邪神様とバアルは秋葉原に行くことになった。


邪神様は太ったニキビズラの人間に変身した。

服装は女の子の絵の付いたプリントTシャツに、上からチャックのTシャツを着て、チノパンを穿き、背中に大きめのリュックを背負って居る。

こうしてアキバのドスパラやパソコン工房、じゃんぱら、イオシス、あきばぉ~、ツクモ電機を周るのだった。




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