悪魔なので邪神を育てる事にした 19話
- カテゴリ:自作小説
- 2018/11/14 17:38:50
~ 訳アリ人事採用 ~
幾ら邪神様が直接HDDに入力できると言っても、HDDの転送速度には限界がある。
時間が結構掛かってしまった。
「今日はこの位にしようかのぅ」
「お疲れ様でございます、ご夕食はどうなされますか?」
「せっかくサラリーマンになったのじゃ! バアル付き合え!」
「何処にでございましょう?」
「居酒屋で焼き鳥とか食いながら、ビールを飲むのじゃ!」
「わかりました、では邪神様、その場所に合った格好でお願いします」
邪神様は口ひげを生やした50近いダンディーな男性に変身した。
『日頃からこのような格好をしてくれていればいいのに、早く人間を雇用して身バレするかもしれないと緊張させねば』
「何か言ったか?」
「いいえ、それにしても素晴らしいお姿ですね、最近はどこかの町を停電にすると言う事もないですし、やはり星の磁力を利用しているのですか?」
「いいや、新しい体には、ホレ、太陽電池パネルが付いておるじゃろ」
「あの姿の時に付いているお花の葉っぱですか?」
「あの太陽電池パネルは小さいが、ああ見えて5分も充電すれば"新首都福岡"の1日の電力位賄える事が出来るのじゃ」
「えっと・・・ この国の首都は東京なのでは?」
「攻殻機〇隊では首都になっておるのじゃ!」
意味が解らないので、とりあえず居酒屋に行くことにした。
邪神様は行き付けの常連の様に、小さな居酒屋へと入っていく。
バアルもそれに続いて入って行った。
店の中はさほど広くは感じないが、詰めれば10人位座れるカウンターと、テーブル席が3つほどあり、奥には座敷もあるように見える。
お店は女将が一人と、板前さんだけの2人で切り盛りしているようだ。
「座敷は空いておるかのぅ?」
「ごめんなさ~い♡ 今日はお座敷が予約で埋まってますの」
「じゃあ、二人じゃし、女将の顔も見れるのでカウンターじゃな」
そう言うと女将の一番近くのカウンターの真ん中に座る。
お店はそこそこ繁盛しているようだが、まだ常連が来る時間ではないのか、テーブル席で時間をかけてゆっくり飲んでいる客が多い。
「とりあえず焼き鳥を頼むのじゃ、それとぬるカンをお願いするのじゃ」
「では私はビールとたこぶつを」
「・・・」
邪神様が急に黙る。
いや、決して嫌みではない。
ただ食べたかっただけである。
普段から見ているせいか、いつか食べたいと思っていたのは内緒だが。
こうして本当ならわきあいあいと過ごす時間だったのが、邪神様がすねてさっさと食べて店を出る事に。
酒が入っているので会社に戻って車に乗る訳にも行かず、タクシーで行きましょうと邪神様に言うと・・・
「今日は歩きたい気分なのじゃ!」
とにべもない。
こうして自宅まで結構な距離を歩くことになった。
そして会社の近くまで戻って、電車を利用したらいいかもと邪神様に提案しようとした時。
「やめてください! 私は本当に知らないんです!」
「俺たちだってガキの使いで来てるんじゃねぇんだ、知らないって言われて『はい、そうですか』で帰ったら給料貰らえねぇんだよ」
「でっ、でも、こう言うのよくないんじゃないですか?」
「そんな事言っても お前の親父が借りてる金額がデカすぎるから、こうでもしねぇと利息どころか、こっちが焦げ付いちまうんだよ!」
と男女の喧嘩のような声が聞こえた。
どうやら金の貸し借りの揉め事の様だ。
昔から金貸しと言うのは居る。
銀行が無い時代から、金貸しは居たのだ。
ただ昔の金貸しの金利はべらぼうだったのだが、今の人間界では取り締まりが厳しく、このような夜更けに取り立てや嫌がらせをするのは違法行為だったはず。
すかさず邪神様が女性の前に立ちはだかる。
「なんだ、おっさん」
「ちょっと話を聞いたのじゃが、借りた本人以外を脅すのはよくないのぅ」
「そういうけどね、おじさん。 この人の親父、うちで1千万借りて1年半ドロンしてるんですよ、他でも借りてるみたいだし、保証人も逃げてるし、こうでもしないと詐欺で訴える事すらできないんですよ。 ほんと泣きたいのはこっちですよ」
「うむ、それは酷いのじゃ」
「ううっ・・・」
「でも美人だから許してやるのじゃ」
「それだったらあんたが払ってやれよ、冗談だけどさ」
「ええぞよ で、幾らなのじゃ?」
「えっと、金利入れて1千150万です、と言うか本当に払うのか!」
「うむ、バアル、払ってやりなさい」
「畏まりました」
こうしてよくわからないうちに女性のお父さんの借金を全て肩代わりした。
他からも借りているので全部で3千万ほどであったが、手持ちの現金持で何とかなった。←どんなけもっとるねん
「あ、あの、私、さっき仕事クビになっちゃって、お金が返せないんですけど、えっとどうすれば・・・」
「うむ、それならうちの会社で働くといいのじゃ」
「でも、私、ドジだから、直ぐに会社をクビになっちゃうんです。 迷惑掛けたくないです」
『『ドジっ子』』
邪神様とバアルは絶対採用することにした。
邪神様は
「すねる」「だだをこねる」「機嫌が悪いと口をきかない」
と言う幾つかの必殺技を持っています。
邪神様には全国1千万人のドジっ子のファンがいます。 ヽ(゚ω゚=)<倍率高いよ
ドジっ子ちゃんラッキー!
私も入社したいですw