セクハラ
- カテゴリ:自作小説
- 2018/11/17 20:16:14
土曜の朝は、洗濯と掃除からはじまる。澄み切った青空だったので、布団も干した。家事を終えて、ジョギングに出発した。
坂道を下ると、川沿いの公園に出る。公園の中にある切り株に、いつも初老のおじさんが座り、ギターを弾いている。土日は、いつ走っても、おじさんに会う。きっと、昼間は、ずっとギターを弾いているんだろう。
今日は、アルハンブラ宮殿の思い出だ。立ち止まって聞きたいけど、まだ、走り始めたばかり。スナフキンのようなおじさんを後にして、川沿いの道を走る。走りながら、スナフキンの言葉を思い出した。
「長い旅行に必要なのは大きなカバンじゃなく、口ずさめる歌さ」
通勤ラッシュの丸の内線の中で、大きなリュックを持った若いサラリーマンに知って欲しい言葉だ。手ぶらで会社に行っても、きっと、何の問題も起こらない。
「もし、全部の人間が同じものを食べ、同じものに感動し、同じ本しか読まなくなったとしたら、僕には、そんな世界は、味気なく、つまらない」
お酒が飲めなくてもいいじゃないか。スイーツ好きでもアニメ好きでもいいじゃないか。人それぞれさ。
「世の中には、自分の思い通りになってくれない人が多いんだ」
実感してるよ。はとぽっぽを歌いながら、走り続けた。そよ風が心地いい。
木陰にあるベンチに、カーディガンを羽織った女性が座り本を読んでいる。暑い盛りを過ぎた頃から、時々見かけるようになった。そよ風に、スカートの裾が揺れている。
そよ風に、色づいた銀杏の葉が舞い、女性が読んでいる本の上にひらりと落ちた。女性は、しおりを挟むように、ゆっくりと本を閉じると、銀杏の木を見上げた。
その優雅な姿に、僕は走るのをやめ、歩き始めた。女性がこちらを振り向き、僕と目があった。目線で挨拶をすると、僕は、もう一度走り始めた。
観泉寺で折り返し、川沿いの道をもう一度走り始めた。木陰のベンチに、女性の姿はなかった。少し、残念に思いながら、公園の出口までくると、スナフキンは禁じられた遊びを弾いていた。
走り終わり、僕は大きく息を吐きながら、つぶやいた。
「思っていたほど、若くなかったな」
荻窪のスナフキンは、初老というよりおじいちゃんぽいですね。でも、その歳で、ギターを弾き続けているのはおしゃれだ。
ゆりかさん
沖人君は、セクハラするような人ではないので、きっと、どこにも該当しないのでしょう。スナフキンは自由人、漂泊者ですね。
たまちゃん
教えてあげる。男が振り返るのは、目の覚めるような美人を見かけたときだ。
Cherryさん
昨日のスナフキンは初挑戦の曲なのか、途中でつまっていることが多くて、僕の心の中を読むひまがなかったかもしれません。
もーちゃん
だって、木漏れ日の下で本を優雅に読んでいたんだもん。
さなちゃん
探しに旅に出ようと思います。スナフキンのように。
巡り会えるといいですね 笑
甚だ、失礼な事ですね。(笑)
と言う私も「イケメン」さんは好きです。
心のイケメンさんはもっと好きです。
自作小説を読むと、本当は文系だったんじゃないかと思います。
禁じられた遊び、スナフキンに心を読まれましたね。
ハリセンで頭をポカっとやってるところです(笑)
よく疑問に思うんですけど、エスカレーターの左側(止まって乗る方)に乗っていると、
右側を歩いて上る人が、わざわざこちらを振り返って見ることがあるんですね。
私の後姿って、そんなにおかしい?と思うのと同時に、
後ろ姿だけを見ると結構若そうだけど、顔を見たらすっげーおばさんだったと
がっかりさせてる可能性もあって、それはそれでいい気味だな、と思ってます(^^)
自作小説カテゴリーだから、フィクションでしょうか?
スナフキンのおじさんが実在していたのか気になりますね。
ムーミンをあまり見たことないのですけど、スナフキンってそんな名言を残していたのですか。
ランドセルを忘れて、手ぶらで小学校に行ってしまった兄を思い出しました。スイーツとアニメが好きな御人は、面白くて良いと思います(^^♪
タイトルの「セクハラ」はどこらへんを指しているのでしょうか?
目があった女性が若くなかったって意味?それともスナフキン?沖人さんの書く文章はひねりがあって難解ですね。でも面白かったです。
次回も楽しみにしてますね(*^^*)