悪魔なので邪神を育てる事にした 26話
- カテゴリ:自作小説
- 2018/11/21 19:30:36
~ バアルvs宇宙戦艦 ~
バアルは邪神様に言われた通り宇宙戦艦を見る。
と言っても、地球から384,400kmも離れた月軌道にある、全長1500メートルの戦艦だ。
普通は肉眼では見えない。
が、バアル達悪魔はっきりと見える。
彼らは異次元を通って召喚される時、その場所を正確に見る事が出来る程、感覚が優れているのだ。
次元が同じならその位遠くてもはっきりその姿をとらえる事は出来た。
その頃ようやく人間界の天文台が、月起動にある物質を感知した。
光の反射がないため形までは、まだ判らない。
だがそこから地球に何かしらのエネルギーが出された事が確認され、世界中の専門家や政府が対応策を話し合う動きが始まっていた。
F15Jは空中を旋回し、バアルに警告を発し続ける。
まだ人間達は、気化味方かわからない。
だからどうしても関係ある者を押さえ、情報を手に入れたいのだ。
「うむ、F-15たんはいい働きをしておるのぅ、じゃが今はもちっと静かにしてもらうのじゃ」
バアルは邪神様が、ご都合主義コンビニウエィブを使うのかと思った。
そうすれば少しは静かになるし、間違えて戦闘機を打ち落とすこともないと思ったからだ。
ところが。
「ん」
「・・・」
「よし、これで良いぞよ」
「邪神様、コンビニウエィブは使わないのですか?」
「コンビニウエィブは電波じゃでのぅ、地平線の向こうには届かんのじゃ」
「どういうことです? 何をしたんですか?」
「詳しい話はあとじゃ、ほれ集まっておった人が何事もなかったと帰っておるじゃろ」
確かに周りにいたやじ馬や警官が、『何でここに居るんだ?』と封鎖線を解いて帰り始める。
目の前にバアルが居て、怪しい武器が山積みなのにだ。
それに人間界の飛行機も帰っていく。
そしてバアルは知らないが、世界中で同様の事が起こっていた。
邪神様の『ん』の一言で何かあったのは間違いないが、今は月軌道にある戦艦から、いつまたあの攻撃が来るかもしれない、直ぐに対応する方が先だろう。
わからない事は後回しだ。
その頃火星人の作った宇宙戦艦の中では・・・
「艦長! 報告します。 先程のバスターラン〇ャーの高速充電の為、通常の100倍の速でエネルギーチャージした事が原因で、各所にオーバーロードが発生、修理には最低でも火星時間で10分はかかると思われます。 メインエンジンの電気系統にも支障が出て居ます、こちらは15分ほど掛かる見込みです」
「それでは動けないと言う事か!」
「スラスターエンジンで動くことは出来ますが、速度は出せません」
「主砲のバスタービー〇は生きておるか?」
「主砲はエネルギー不足で発射不能! 副砲以下は蓄電装置で数発は撃てます」
「主砲のバカヤロー」 ←戦艦武蔵が沈んだ時に、主砲が壊れて言われたとされる言葉。
「ではバアルよ、存分にブチ当てるのじゃ。 ただし奴は装甲が半端なく厚い。 やみくもに当ててもダメじゃぞ? バランスを崩すのじゃ、武蔵が大量の爆弾、ロケット弾、魚雷に耐えたのはバランスの悪い攻撃だったからじゃ。 その後対策が立てられたから、同型艦の大和は魚雷4発で沈んだのじゃ!」
「はい、邪神様の様に当てて見せます!」
「その意気じゃ」
バアルは大量の槍の中から1本取り出し、月起動にある宇宙戦艦に向かって投げる。
「よし、有効帯じゃ、そのまま夾叉で撃ち込むのじゃ!」
(夾叉【きょうさ】ってなんだ?)
邪神様は艦これにハマっているので、人間界の軍事専門用語が普通に出てくるが、バアルにはよくわからなかった。
「やってみせて、言って聞かせて、やらせてみて、 ほめてやらねば人は動かじ。by 山本五十六じゃな」
「邪神様何か言いましたか?」
「いや、こっちの話じゃわい」
「???」
「兎に角ロケットジャベリンを打ち込みまくるのじゃ!」
「ハッ!」
全砲門を地球に向ける為に横向きになって居る宇宙戦艦の側面に対して、バアルは次々とロケットジャベリンを投げ続ける。
投げられたジャベリンは2段式になっており、ゆっくりと成層圏に達すると2段目のロケットモーターで加速し、成層圏を出てから秒速100キロを超え地球の引力を振り切って真っすぐ飛んでいく。
しかし地球から管制も無しに月起動の物体に投げただけで当たる訳がないのだが、実は邪神様がこっそりロケットを制御して当てていたのだ。
ロケットジャベリンは、M1エイブラムスの120ミリ滑空砲の劣化ウラン弾の初速初速は1,555m/sの12.7メガジュールよりもロケットで加速している分大きく、初速で無く被弾時が597.51434034417メガジュールに達し、宇宙戦艦の強靭な装甲にダメージを蓄積していく。
勿論直線的な動きのジャベリンは予測しやすく、戦艦も副砲やSIWSで弾幕を張り応戦するものの数回に1回は直撃しているので既に撃沈寸前だ。
「司令! エンジン部装甲に10発が集中被弾、衝撃だけでエンジンがドックで修復しなければ無理なレベルに破壊されました! このままでは月に墜落します」
「全員退艦せよ!」
「こんな事もあろうかと思って、既に指令と私以外、地球に向かって脱出ポットで射出しております!」
「なんだってー!!」
こうして火星人は無事全員地球に逃れたが、全員邪神様に捕まり、見た目は地球人に変えられて社員となって働かされる事となった。
因みに住むところは、急遽埼玉県春日部市に社員寮が作られ、火星人は電車で片道1時間半掛けて出勤する事で落ち着いた。
クレヨンしんちゃんのお父さんは、その位掛かって通勤してます (*´ω`*)<多分