秋雨
- カテゴリ:小説/詩
- 2018/11/22 08:50:30
秋雨に肩を濡らしながら
思い出の道を歩いてみた
賑やかな街になったそこは
あの日のかけらさえなく
過去を探すのも難しい
こんな時に私達は
まるで隠れん坊をするかの様に
ビルをすり抜けて道を渡って
駅に駆け込んでいく
あなたはどこに行ったのかしら
楽しかった街並み
そこさえまた変わろうとしている
あなたはもうここには来ない
もしも来るとしたら
私に連絡などしない
だって別れた二人
あなたは今どうしてもいるのだろう
回想もそこまでには及ばず
あの日のままにあなたを映す
何年たったとしても
出会って別れてそれだけ
一体何があったのだろう
なぜ出会ったのだろう
なぜ愛したのだろう
たぶんあなたもきっと
もう忘れたい
かけらさえなくなった愛など
でも忘れられない
かけらさえ持たない愛など
でも忘れなきゃならない
秋風が降るように
心も湿っていく
乾いていくものは何
かさかさになった恋の心
しっとりと濡れた愛の心