Nicotto Town


ヤツフサの妄想


悪魔なので邪神を育てる事にした 36話

~ 女神からの解放とは ~




バアルは自分の考えがかなりの確率で当たって居ると確信していると、後ろから声がかかる。

「どうやらこの世界のカラクリがわかってきた様じゃのう」

「いつの間に御出でなされたのですか?」

「ずっと見ておったぞよ」

「邪神様、この世界は危険です。 直ぐに立ち去った方が良いかと。 例え後で悪く言われようとも異世界まで聞こえる訳ではございません」

「そうしたいのは山々じゃがな。 あの駄女神は我をこちらに呼び出した時に、既に帰れないように細工してあったのじゃよ」

「帰れない!? 邪神様の力でも元の世界に戻れないと?」

「まぁ、力押しで次元の壁を開ける事は出来るがの。 そんな事をすればこの世界に次元の歪みが出来、人間は殆ど生き残れないじゃろうな」

「そこまでして女神は何をしたいのでしょう。 全く意図が読めません」

「駄女神が我等をここに呼び出したのは偶然じゃ。 ただ強いものを呼び出したら我等だったと言う訳じゃな。 じゃが余りに強すぎるのが問題となりおったらしい。 既に駄女神の野望など、我が来た時には既に露見してしまったでな。 あ奴は慌てて次元の結界を張ったのじゃ」

「いったい何のために? 元に戻して違う者を召喚しなおせば良かったのでは?」

「バアルだけならそうしておったかも知れん。 じゃが我に知られた事があ奴に危機感を与えたようじゃ」

「どういう事でしょう?」

邪神様の説明によると、緒元の神は何処にでもいて、例え追い返したとしてもこの世界今は眠っている緒元の神に知れてしまう。 その時女神の野望は瞬時に終わりをつげ、封印された多くの神によって制裁を受けるのは目に燃えているとの事。 そして呼び出した邪神様がレベル4と言うとても力が弱い事に目を付け、逆にこの世界に閉じ込める事で、この世界の緒元の神との交信を途絶えさせる結界を張り、力の維持を少しでも長くしようと画策したと言う事らしい。



「つまりわしは今、緒元の力を封印されておるのじゃな。 力押しで封印を解けん事も無いのじゃが、元になる力の電磁力を集める事すらこのレベルでは難しい」

「無理に力を集めて緒元の力を得ると、次元の歪みでこの世界が破滅すると」

「うむ、もう駄女神のやけくそ作戦としか思えんのぅ」

「この世界の緒元の神は、今何をしておられるのですか?」

「眠っておる。 正確には邪神としての自我がなく、プログラムの様にこの世界を維持しておるのじゃ」

「そう言えば邪神様の自我は、人間の『こんなこといいな、出来たらいいな』から出来たと言う話でしたね」

「うむ、それ故緒元の神に自我が生まれるより先に魔力に満ち溢れたこの世界は、進化の道を辿らずに生命が現れたのじゃ」

「進化しないで生命が誕生?」

「そうじゃ、魔力によって次元にひずみが発生し、その力によって他の次元から人間や動物を運んできたのじゃな。 その為最初から緒元の神より先に下位の神が自我を持ち、この世界を収めたのじゃ。 後はおぬしが考えたままの世界じゃよ」

「つまり自我を持った邪神様とこの世界の緒元の神を切り離しておくために、自分の力の届くこの世界に留めて居ると?」

「その通りじゃ、そしてここに居る人々は全て女神に洗脳され、生きるも死ぬも全ての魂を全て独り占めに出来、その分どんどん自分を強くすることが出来ると言う訳じゃ」

「魂を輪廻させないと言う事ですか? だとしたら新しい命はどうして・・・」

「他の次元から取り込んでおる」

何と言う事だ。

まるでここは魂のブラックホール。

一度この世界に入った魂は、何かに生まれ変わり、そして死ねば女神の食べやすい命になり、その力を蓄え続ける。

女神は輪廻されない魂を力にして、更なる多次元への進行をしていると言う事か。

悪質と言うほかに言葉がない。



「他の次元の神は気が付かなかったのでしょうか?」

「大きな神社の賽銭箱の上から、監視カメラを避けて1円ずつ釣り糸で盗むようなものじゃからのぅ。 なかなか気が付かんじゃろ」

「やってる事がせこいですね・・・」

「塵も積もれば山となるのじゃ」

これはバアルが思っていたよりも大事だと気が付いた。

この世界の女神は、全ての異次元の神々に喧嘩を売っているようなものなのだから。

それはバアルどころか、邪神様でさえ知らない世界だ。

ビックバンで生まれた地球のある宇宙とはすでに違う次元、時間や時代さえ違うのかもしれない。

元の世界に戻るには、このディーアズワールドの女神に封印を解いてもらい、女神自身に元の世界に返して貰わなければならない。

だがそんな事が可能なのだろうか?

姿すら現さず、名前さえ名乗らない女神。

そう、ディーアズワールドの人々さえ女神の名前は知らないのだ。

その女神、本当に女神なのかすら疑問である神を名乗る何か。

それをおびき出し、邪神様さえ呼び出す力を屈服させる。

レベルの差は明らかな、女神を名乗るもの。

バアルは考えた末、ある事に気が付く。

『そうだ、一人で為なら数で攻めれば良い。 封じられた神を開放して、味方に付けるのだ」

(戦いは数だよ兄貴!)

その言葉が何処からか聞こえて来た。





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