星のネっクレス
- カテゴリ:小説/詩
- 2018/12/10 10:42:05
一人で過ごす夜は寂しい
ずっと前はそうだったけど
あなたが足早にやって来て
素直な自分に驚いて
そして今日 また一人
風の様に駆け抜けていった
あなたは何だったのだろう
いつも笑顔で支えてくれたあなたのことを
なにも知らないでいたけれど
知らないでよかったのかも
心の中でも消えないあなた
桜を見送り 日照りにさらされ
枯葉に足音を立て コートの季節を迎え
輪を書くように時が過ぎても
私の事など何も聞かないあなた
あなたは何を考えていたの
私に何も聞かないままで
あなたのことも話さないままで
それくらいの重荷は持ちたかった
あなたにとって私は何
初めてのドライブ
行き先など何もない
あなたも私も押し黙ったままで
ゆるりと道を走っていく
太陽が沈んでいくのにはもうわずか
太陽が海に沈み
あたりが真っ赤に染まる
そして暗闇があたりを飲み込むのが
悔しいほどに早くなる
黙っていないで何か言って
でも 怖かった
あなたの言うことが怖かった
「ネックレスは持っていてくれないか」
そうね
やっぱりそうだったのね
送ってくれたマンションに
あなたはもう来ることもない
心冷たくなるこれからの季節に
あなたはどこに行こうと言うの
もう知る由もないけど
再び滑らかに車が出ていく
ライトが見えなくなるまで見送った
ネックレスは星に託そう
やがて神話の名がつくから
そして吸い込まれて行くから