Nicotto Town



富山と黒

2018年11月30日 黒部のトロリーバスが廃止となりましたね

1964年8月1日が開業というから54年も走っていた計算になるわけです

さて全国的に有名な黒部、これまた有名な富山ブラック

そして名物のホタルイカが吐く墨もまた黒い・・・

そう富山と黒の関係性は深い

そして黒により人生を左右された、富山ゆかりの男といえば

佐々成政、その人なのだ!



話しはかわるが黒百合の花をご存じでしょうか?

花屋さんに並ぶ百合と言えば、白、赤、ピンク、黄色などがほとんどで

黒い百合が並ぶことはまずないと思います

高山などで見られる高山植物なのですが

店頭に並ばない=栽培されていない

これは主に2つの理由によるのです

ひとつ目は栽培のしにくさと匂いです

高い山の厳しい気候を好むため、平地の温暖な気候では枯れてしまいます

また花粉をハエに運んでもらう為、悪臭のようなにおいを発します

その為、多くの人には好まれず、つまりは売れない=栽培されないということになります

もう一つは、贈るには難しい花言葉という部分があります

黒百合の花言葉は「恋」「愛」という可愛らしいものに加えて

「呪い」「復讐」といった恐ろしいものもあります

さすがに呪いや復讐という花言葉の物を贈るわけにはいきませんよね

なぜこのような花言葉がつけられたのか?

その理由が先の佐々成政その人だと言われています



事の発端はさらさら越えの最中に起こります

立山連峰を越えようとしていた一行の眼に黒い百合が留まりました

「殿、やはり考え直されたほうがよろしいのでは?

 黒い花…。これはどうも不吉な前兆に思えてなりません

 無事雪山を越えることなどできないのではないでしょうか?」

不安げな声をあげる側近を成政は鼓舞します

「何を言っておる、黒は我にとって吉兆であるぞ

 黒母衣衆こそが我の出世のきっかけであるのを忘れたか?

 この雪山越え、間違いなく成功するに違いないぞ!」

この鼓舞が効いたのか、成政一行は無事北アルプスを越えて浜松に出向き

家康に戦いの継続を訴えてることに成功したのでした

丁度そのころ成政の居ない富山城では、とある女性の懐妊の知らせがもたらされていました

その女性の名は早百合姫、成政の側室で彼の一番のお気に入りでした

ところが彼女の寵愛をうらやむ女性が、男を使い噂を流すように命じます

「早百合様が密通している。お腹の中にいる子どもは成政様の子ではない」

男はさも自分が早百合と密通しているかのように噂をばらまきます

するとすぐにその噂は城内では知らぬものが居ない程に広まっていきました…

そんな折、命がけで浜松まで行っていた成政さんが戻ってきます

噂話を聞いて彼の怒りは頂点に達します

早百合と男の話を聞くが二人の話は噛み合わない

否定する早百合と肯定する男、どちらかがあるいは両方ともが嘘をついている?

疑心暗鬼に陥った成政さんは、ついに両者を斬ることに決めました

榎に吊るされ、あとは斬られるのを待つばかりとなった早百合姫は

「三年の後、立山に黒百合が咲いたら、佐々家は滅ぶでしょう」

と恨み節を唱えて死んでいったのでした



その後富山城は秀吉により陥落、本来処分されるべき成政ですが

秀吉の正室、北政所のとりなしもあり側近として取り立てられました

さらには九州征伐で功をあげ、肥後50万石を得て大名にカムバックすることになりました

ところがこの肥後では秀吉の統治に反対する一揆が発生

周囲の国の協力もあって何とか鎮圧することが出来ましたが

成政は説明求められ、大阪へと戻るように命じられます

おそらく何らかのペナルティを課せられると思った彼は一計を案じることにします

「また北政所様にとりなしてもらえば、ペナルティは軽くなるのではないだろうか?」

成政は何か贈り物をすることで、彼女の機嫌を取ろうと考えました

「秀吉様の正室ともなれば、欲しいものは何でも手に入る

 そんな彼女が手に入れられないもの…

 そして女性が喜ぶものと言えばやはり花だな

 彼女が手に入れられないような珍しい花…か」

成政さんはさらさら越えの際、見かけた黒い百合を思い出すのでした

「そうか、あれならば!」

早速使いの者を越中立山へと遣わせて、黒百合を北政所へと献上したのでした



「まあ珍しい、黒い花なんて初めて見るわ!」

北政所はまるで小女のように目を輝かせます

「立山の奥深くにしか咲かない、黒百合にございます」

成政は少しもったいつけて紹介しました

大喜びの北政所は、この花をだしにお茶会を開くことにしました

勿論、それは他の側室たちにこの珍しい花を見せつけ優越感に浸りたいという

下心バリバリのものであったのは言うまでもありません

側室の中でも、特に北政所がライバル心を持っていたのは茶々でした

茶々と言えば美人だと名高い信長の妹、お市の方の娘

まさにサラブレット中のサラブレットな血筋を持つ彼女に

平民出身の北政所が並々ならぬ対抗心を燃やすのも致し方ないことなのかもしれません

お茶会とは女同士のプライドがぶつかり合う戦場なのです!

「あ~ら茶々さん、ご機嫌麗しゅう」

「これはこれは北政所様、本日はお招きいただき光栄ですわ」

「茶々さんは、このお花知っておいでかしら?」

黒百合を自慢げに見せつける北政所

もちろん見たことがない茶々は首を傾げるばかり

「これは黒百合というとても珍しい花ですのよ」

勝ち誇ったかのような北政所の顔を悔し気に見つめる茶々

「そうなのですわね、初めて見ましたわ」

「それじゃあ、その美しさをよーーーく目に焼き付けて置くといいですわ」

「ええ、そうさせていただきますわ」(ギリギリギリ

「では、ごゆるりと」 (おーほっほほほほ)

顔では笑って心は怒り

茶々の心は怒りで震えていたのでした



数日、後北政所の元へ茶々から書状が届きます

「先日はお茶会にご招待ありがとうございました

 今度、生け花をやりますので是非出てきてくださいね!」

お茶のお返しに生け花とは芸のない…

北政所は彼女の招待を受け、指定された場所に向かいます

部屋に入ってみると部屋一面に手桶が並べられていました

その中には、あの黒百合もありました。それも大量に……。 

雑草に混じった桶もあり、

黒百合はいかにもその辺で手に入る安っぽい花、といった感じで扱われていたのでした

「あらあら北政所様、いらっしゃいませ」

「え、ええ」

「あら桶をじっと見つめて、何か気になる花でも?」

あえて黒百合には一切触れない茶々

ありふれた花という体を、ひたすら装います

これはもちろん黒百合がありふれた花になった、というわけではなく

あの茶会で屈辱を味わった彼女があらゆる手を使い

立山から大量に持ち込んだものだったのは言うまでもありません

北政所に見せつけ、あれってそんなに珍しいものでもないですよ!

と示し優越感を得るためだけに…

これには北政所もはらわたの煮えくり返る思いを味わいます

「茶々さん、少し気分がすぐれないのでこれで」

「あらあらそれはいけませんね ゆっくりと静養なさってください」

勝ち誇った茶々の顔に対し、苦虫を潰したような北政所の顔

帰りながらの輿の中で北政所の怒りは成政へと向けられていたのでした

「あ奴め、わらわの顔によくも泥を…」

珍しいと言われた黒百合が実は全然ありふれた花と思い知らされるという

茶々の計略にまんまと乗せられた北政所様



成政が切腹させられたのは、それからまもなくのことでした……。

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2019/01/31 01:29
Re:りぶさん

ルートの検証など多角的に行われたみたいなんですけどね
雨晴は線路からとても近いのですよね、ハットリくん電車見ましたよ!
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2019/01/30 18:39
江戸時代から検証が行われたのですか。(検証するほうも命がけ!?(ノωノ))
今でも真相はよくわからないようで、伝説的な感じなんですね。
でも伝説的な話は、それはそれでわくわくします^^
はい雨晴海岸です♪ 氷見、というか高岡でしたね。
富山ご出身の藤子不二雄A先生にちなんだ「忍者ハットリくん電車」で行きました~
陸つながりなのに『「海を挟んだ向こう側に」立山が見える』、というなんだか不思議な風景でした
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2019/01/30 01:53
Re:りぶさん

さらさら越えに関しては、当時から疑問視されていて
江戸時代には加賀藩主導で何度か検証が行われましたが、結局よくわからなかったようです
あまり表には出ない女の争いも裏では相当数あったのではないでしょうかね?
氷見の海岸からの立山と言えば、雨晴海岸ですか? 
義経神社のある場所ですが、現在は道の駅が出来てすごく整備されてます
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2019/01/25 21:32
こんにちは

冬の立山なんて現代でも危険だろうに。。。
命がけの雪中行軍も家康にはあまり響かずで、むくわれなかったのですね(/_;)
しかも帰ってきたら女の嫉妬によるお家騒動(?)が待っていたのですか。
うー、なんともやりきれないです。

早百合姫を貶めた人々も、ねね殿茶々さまもそうですが、
しかし女の嫉妬やマウンティングとは怖いものですね(*_*)
女性はそういう生き物なんでしょうかね。

佐々成政については、信長の家臣で富山城主、ということしか知りませんでしたので、
今回新しく知ることができ勉強になりました、ありがとうございます。


富山と言えば、むかし氷見の海岸から見た夏の立山の眺めがきれいでした^^
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2018/12/28 01:28
Re:みゆさん

トロリーバスは廃止になりましたが、代わりに電気自動車になるみたいですよ
黒部行ってみたいですね!

黒百合を巡る一連の話はぞっとしますよね・・・。
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2018/12/17 20:46
トロリーバス、廃止になったのですか?
知らなかった。。。(。-_-。)
先日テレビで黒部渓谷の旅で、色んな乗り物で観光してるのを見て
行ってみたいと思ってた所でした。
うーーん、、、残念><

黒ユリのお話、初めて聞きました。
それにしても女の戦いは怖いですね。。。
佐々さんも巻き込まれてしまったとは…。

側室の早百合姫を疑ったことが始まりの様・・・
女の人って怖いですね(>_<)
私もかぁ。。。



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