ふたご座流星群がやってきた。こんなに寒い時期にこなくていいのにやってきた。木曜の夜にベランダから何度か夜空を見ていたが、雲がかかり、雲の隙間も空が明るく流星を見ることはできなかった。

昨日の夜も低気圧が通過し、東京の空は厚く雲に覆われていた。来月はしぶんぎ座流星群（１月４日が極大）がやってくるし、今回はあきらめようかと思ったら、つぶやきを見て、夜空を見上げてくれた方々がいた。それに、10月のオリオン座流星群の日記で、ふたご座流星群をお勧めした。言い出しっぺが、頑張らなくてどうする。

会社から帰り、夕飯と洗濯を済ませ、どこに見に行こうかと考えた。日本海側は雪、太平洋岸は低気圧の雲。気象衛星ひまわりの画像を見ると雲の切れ間は群馬方面か山梨方面。群馬は前回、凶悪な殺人犯に遭遇したので、山梨方面に向かうことにした。

10月の時は、防寒着の上下を持参していたが、寒さで凍えて、夜明けまで見るつもりが早めに切り上げてしまった。残念ながら、防寒着以上の防寒着を持っていない。下に着こむしかない。ジーンズの下にタイツを履き、上はコートも入れて5枚を重ね着。もこもこだ。5枚で限界なのに、女性が12単衣で動くことができるのが不思議だ。

中央道を甲府方面に。山間の中にある初刈パーキングエリアに車を停めた。空を見上げてもそれほど多く星が見えない。パーキングエリアから外につながる道を歩いていくと、明かりが少なくなり、見ることができる星の数が格段に増えた。

道路に座り、フェンスにもたれて東の空を眺めた。北東の空には北斗七星、南西の空にはオリオン座が輝いていた。座ったとたんに、夜空の中で急に輝き、流れて消える流星を見ることができた。

最初の15分で9個くらい見ることができた。国立天文台の予測では1時間に40個くらいと書いていたので、その通り。一瞬で消えるものもあれば、20文字くらいのお願いができそうなくらい長くきらめく流星もあった。

一つ、二つの流れ星を見たことはあったが、こんなにたくさんの流星を見たのは、はじめて。流星は、続けてやってきて、わくわくすることもあれば、しばらくこなくて、違う方向を見た方がいいのかなと不安になることもある。統計学の表現ではポアソン分布に従うになるが、女性に例えるとツンデレタイプだ。

30分もたたずに寒さで全身が震えはじめて、足先が痛くなってきたが、我慢したくなるほど、わくわくする光景だった。2時間余り我慢したが、さすがに限界になり車に戻った。

ここで、目的を達したので、帰ればよかったのだが、欲が出てしまった。1時間ほど車中で仮眠し、甲府盆地のぶどうの丘に向かった。初狩SAは山の中なので、視野が少し狭いが、盆地の真ん中の位置するぶどうの丘からは、満天の星空を見上げることができる。流星もあいかわらずだが、散りばめられた星々も美しい。

丘から降りる途中の坂道では、甲府の夜景が広がっていた。地上のきらめきもきれいだった。車を停めてしばらく眺めた。iPhoneで写真を撮ったが写真では感動が伝わらない。もう一度、肉眼で夜景を眺めたが、おっさんが一人で夜景を眺めていていいのだろうかと疑問がわいた。

ここで、美しい光景を見たので、帰ればよかったのだが、欲が出てしまった。温泉でも入って帰ろうと思って、早朝から開いている温泉に向かった。駐車場に車を停めようとバックしていたら、止まっていた車にこすってしまった。

一瞬でも、真っ暗だし、誰も見てないし、こすっただけだし、逃げちゃおうかなと思う気持ちが浮かばなかったと言えば嘘になる。しかし、沖人君の心は、美しい星空と夜景で浄化されていた。

人生はじめての110番。
「事故ですか、事件ですか。」
「事故です。」
「今どこですか。」
「住所はよくわかりませんが、温泉の駐車場です。」
「〇〇温泉の駐車場ですね。携帯のGPSで分かります。」
（今度から携帯無くしたら、警察に聞けば分かるのではないか）

「当て逃げされたんですか。」
「いえ、僕が犯人です。」
「怪我された方はいますか。」
「いません。」
「相手の方はいますか。」
「いません。温泉に入られていると思います。」
「分かりました、担当を行かせますので、そこでお待ちください。」
「よろしくお願いします。」

自動車保険会社にも電話。お怪我は、車は動きますかなど、状況確認をして、相手の方のお名前と連絡先を聞いて連絡してくださいとのこと。

一人で待っているとぶつけた人が、怖い人だったらどうしようと不安がつのる。だだっ広い駐車場で、どうして、ぎりぎりに停めようと思ってしまったのだろうかと反省する。

お巡りさんが到着し、名前をや住所を伝える。現場検証をするが、止まっていた車にぶつけたので、自分の運転ミスで簡単だ。相手の方が温泉から出るのをお巡りさんも一緒に待ってくれる。相手の方の名前も聞いたりしないといけないのだろうが、心強い。以前、3分しか停めてないのに駐車違反で罰金を取られたときに、もっと、悪い人を捕まえろと心の中で毒づいてしまったのを反省する。

1時間ほど待っただろうか、車を当ててしまった方がやってきた。全面的にこちらが悪いので、お詫びをするしかない。

相手の方も警察官の方から名前や連絡先を聞かれて、後は、保険会社さん同士で、事故証明は〇〇署で発行しますが、保険屋さんが全て対応してくれるでしょうとのこと。

相手の車の方は若い青年だが、人徳者だった。普通は、面倒くさいことになったと嫌な顔をするものだ。それが、明るく、気さくに対応してくれて、気にしなくていいですよと声をかけてくれる。最後には、今まで待っていたんですか。温泉に入って温まって、ゆっくりしてくださいと言ってくれた。

ご一緒の女性の方も素晴らしい。相手の方が車で次の目的地に向かうのを見送っていたが、車の中から後ろを振り向き、頭を下げてくれる。素敵なカップルだった。

しかし、反省しなければいけない。徹夜で車を転がすことができるほど、若くないことを痛感した。もう、これからは、10時までに寝ることにする。

※ふたご座流星群は昨日が極大（最も多い）、流星出現期間は、12月4日から17日ですが、極大を過ぎると急激に減る傾向があるので、早めの今夜がお勧めです。暗いところと明るいところでは、全く見え方が違います。できれば、旦那さんなどボディーガードをつけて暗いところに行きましょう。どこを見ても流星が流れていましたが、東の方角が見やすかったと思います。