クリスマス前夜
- カテゴリ:自作小説
- 2018/12/22 02:17:53
珍しく、家族4人で夕食を囲んでいた。普段は、姉が会社から帰ると母と二人で夕食を食べ、その後は、父が会社から帰るのが早かったり、僕が帰るのが早かったりするが、それぞれが、後から夕食を食べることが多い。家族4人が揃うのは、先月の母の誕生日以来だった。
「お父さん、早く帰るなら連絡してね。そしたら、ちゃんと料理を作ったのに。」
「いや、このから揚げ美味しいよ。さすが、お母さんだ。」
「何言っているの。スーパーで買った総菜よ。」
「そうか・・・」
ピピッ。メール着信音が鳴り、姉がから揚げを咥えながら、携帯を覗いていた。
「理子、行儀わるいわよ。誰からのメール?」
「同じ会社の人。連休に予定入ってますかだって。クリスマス直前に予定を聞くなんて、失礼しちゃうわね。」
「理子、連休の予定ないんでしょ。ご飯くらい一緒に食べにでかけてもいいんじゃないの。」
「私は、尊敬できる人じゃないと嫌なの。」
「お父さんなんて、尊敬できるとことろ一つもないわよ。でも30年夫婦しているし、仲もいいの。そうよね、父さん。」
「・・・ああ。貴志、LINEでクリスマスってトークすると隠し背景が出るの知ってるか?」
「知ってるよ。去年もやってたよ。」
「お父さん、ちょっと携帯貸して。」
母が、箸を置き、父のスマホを取り上げた。
「お父さん、パスワードは、私の誕生日よね。え~と、《今日はとても楽しかったです。クリスマスも出勤してます。よろしければ、また、お話を聞かせてください。お待ちしてます。京子》《クリスマスに行けたら行きます。一郎》だって。何が一郎かしら。父さん、昨日、忘年会の二次会はカラオケに行ったって言わなかった?」
「二次会は、キャバ、いやスナックでカラオケしてたんだ。なあ、貴司、二次会は、普通、スナックだよな。」
テーブルの下で、親父が足を蹴ってくる。
「あぁ、若い人は行かないけど、上の人たちはスナックに行くんじゃない。」
「そうだろ。貴司、このから揚げも食べていいぞ。貴志はクリスマスどうするんだ。」
「ほんとに、行けたら行くだなんて、男らしくないわね。今の冬物のコート、古くなったの。クリスマスに新しいの買っていいでしょ。」
「いいんじゃないか。なあ、貴志。」
テーブルの下で、親父が足を蹴ってくる。
「親父に買ってもらったらいいんじゃない。クリスマスだし。」
「クリスマスは4人でデパートに行くか?」
姉が、父の方をにらんだ。
「いやよ、どうして私も行かないといけないのよ。カップルだらけの街に家族づれなんて恥ずかしいでしょ。貴志も、彼女もいないのに、レストランを予約してなかった。どうなったのよ。」
「貴司、そうだったの。どうなったの。」
「はい、どうもなってません。」
「予約したお店、どうするの。」
「母さんと親父で行って来て。クリスマスだから、もう料金払ってる。クリスマスプレゼントでいいよ。」
「どんなお店。おしゃれしていかないといけないようなところ。」
「恵比寿ガーデンプレイスのローストビーフのお店。普段着でも大丈夫じゃない。」
「そんなわけにいかないわよ。クリスマスだもん。お父さんの服も買わないといけないし、それに、コートだけっていうわけにもいかないわ。お父さん、一緒に、服を買いにいくわよ。」
「・・・あぁ。」
「クリスマスって、すぐじゃないの。お父さん、明日デパートにいくわよ。はいはい、携帯返すわ。そうそう、美容院にも行かないとね。理子、ネットで予約しといてね。なんか急に忙しくなったわね。」
「・・・・」
ピンポーン。話も読んでね~
ゆりかさん
スナックは怪しいところではありません。水割りとかのお酒を作ってくれるだけです。2時間3500円くらいかな。
さなちゃん
面白かったですね。下町ロケットは録画しただけなので、今期、見たドラマは今日から俺はだけでした。
たまちゃん
貴志君はバブル期の行動です。まず、レストランを予約する。一緒に行ってくれる女の子を探す。そして、寂しい結果になる。
natuさん
そうですね、こんな元気なお母さんがいたら、明るくなりますね。
オレンジ☆さん
クリスマスイブにコンサートに行くのは、相当、レベルの高いイブの過ごし方ですよ。
涼歌さん
きっと、サンタさんは貴志君に、不純なことは考えるなと、両親にプレゼントしたのでしょう。
mさん
イブに街にでてないのは一緒だし、それでも、そんなに寂しいとも思っていないのも似ているのかな。
Cherryさん
リクエストにお答えし、書きました。
続き、気になります!
わくわく。
ご両親にクリスマスプレゼントですね♪
家族の会話。
クリスマスで夫婦2人。
お母さんがすごくうれしそうで
ウキウキした気持ちが
伝わってきます^^
ほんと、世の中はクリスマスなんですよね。
もっとクリスマスを楽しもうと思っていたのに、
結局いつもと同じように、バタバタと過ぎて行きそうです。
それにしても、貴司君が一緒にレストランに行こうとしていた相手には、
振られちゃったのか、そもそも言い出せずに終わったのか?(^^)
また名前が今日から俺はですね(*^-^)
母と姉の会話に、くすっと笑いました。尊敬できる所がないと本人の前でハッキリ言う様子に、夫婦の力関係が見えます。
二次会がスナックなんて、私の周りでは聞いたことがないですね~。
ちゃっかり、コートに服に髪もばっちり決めて、おしゃれなディナーを満喫できる母は策士ですね。
理子さんはデートのお誘いをどうするのでしょうか。
会話のテンポが良くて、ドラマみたいな家族像がとても面白かったです(*^^*)
理子??貴志?京子?。。。スミマセン、話の内容より名前に目が行ってしまいましたw
今日から俺は! の登場人物が頭に浮かんでしまいましたよ♪