ハリセンボンの大冒険
- カテゴリ:自作小説
- 2019/01/08 00:09:28
※12月18日の日記「はりせんぼん」の続編。粗筋を書くと、いじめられっ子のはりせんぼん「嫌太」は、膨らんだまま、元に戻れなくなり穴倉に長い間閉じこもり続けている。ある日、若くて美しい「ペペ」に恋する。嫌太は、ペペに近づこうとするが、ペペを自分の針で傷つけてしまう。自分の愛情が愛するペペを傷つけてしまうことに絶望し穴倉を飛び出すと、波にさらわれ砂浜に打ち上げられる。息が途絶える間際、ようやく身体の力が抜け、膨らんでいた身体が元に戻った。
ミューズよ、数多くの苦難を経験した「あの男」のことを語ってください。
砂浜に打ち上げられたハリセンボンの嫌太は、口をパクパクさせながら、空を見上げていた。空にはカモメが舞っていた。次に生まれてくるときは、鳥になりたいと思った。カモメと目が合うと、カモメは嫌太に向かって急降下してきた。近づくと、カモメは口ばしを大きく開いた。嫌太は残っていた力を振り絞って身体を膨らませ、体中の針を立てた。カモメは急旋回し、もう一度空高く舞い始めた。
嫌太は笑った。ペペを愛すことができないなら死んでもいいと思っていたのに、死にたくないなんて。どうせ死ぬなら、カモメに食べられておけば、他の魚が死ななくて済んだのかもしれないのに。
嫌太は目を閉じ、深い眠りにつこうとしたとき、大きな波にさらわれ、砂浜から海に引き戻された。嫌太は意識を失い、海の底へと沈んでいった。
嫌太が目を覚ますと、海藻のベットの上で横たわっていた。ペペが嫌太を見つめていた。
「意識が戻ったのね。よかった。3日も寝つづけていたのよ。」
「俺、どうしたんだろう。」
「海の底に沈んでいたのを、海亀が見つけて運んでくれたの。よかった。」
嫌太が、看病してくれたペペにお礼を言おうと、ペペに近づいた途端に、嫌太の身体が膨れ上がりがペペの身体を傷つけた。嫌太は、驚き、ペペから遠ざかった。
「治ってなかったんだ。」
「いいのよ、今のままで。お話ができるだけで楽しいから。」
「だめなんだ。それじゃ。」
嫌太は、海藻のベットから離れると、ふらふらしながら泳ぎはじめた。嫌太はペペのことを抱きしめたいと思っていた。しかし、抱きしめることができない。何度、この苦しみを味わったのだろう。どうしていいのか分からず、知恵を授けてくれるデルポイの神殿に向かった。
神殿に向かうと、アポロンの声が聞こえた。
「何を聞きたいのだ。」
「愛するものを抱きしめたいと思うのは自然なことだと思います。しかし、愛するものを抱きしめようとすると、愛するのものを傷つけてしまうのです。」
「ペペは海神ポセイドンの娘。汝のように醜くい者がペペに近づくことを良しとしない。近づくことができないようにポセイドンが呪いをかけたのだ。」
「どうすれば、ペペを愛することができるのでしょうか。」
「大洋に出て、真の勇者になれば道が開かれる。」
嫌太は、泳ぎ続けた。陸も見えないのに、鳥が空を飛んでいる。ギュエ、ギュエと鳴く声を聴くと、身体がすくみ上ってしまう。その鳥はセイレーンだった。鳴き声を聞くと、惑わされて難破してしまう。
嫌太は、考えた。セイレーンの鳴き声を聞かなければいいんだ。セイレーンより大きな声を出せばいいんだ。嫌太は音痴だった。カラオケに行き、無理やり歌わされると、粉雪を絶叫した。盛下げないようしようとすると絶叫するしかなかった。1番だけ歌って、2番は人に譲った。そうだ、粉雪だ。
「こな~ゆき~ねえ、時に頼りなく~、心は揺れる、あっあっああ~それ~でも~僕は君のこと、守り続けたい、あっあっああ~」
セイレーンは、呆れて遠くに飛んでいった。嫌太は、ペペのことを全て知らないけど、一億人の中からペペに出会ったんだ。こんな奇跡を諦められるかと思いながら、再び大洋を泳ぎはじめた。
海の中がキラキラしてきた。ピンク色のキラキラ星が輝いていた。
「お兄さん、遊んでいかない。今日はサービス、1時間3000円ぽっきりよ。」
石原さとみにそっくりな魔女キルケ―が、胸元まで開いたドレスで手を振っている。
「一週間前の僕ならば、ほいほい店に入っただろう。でも今はあなたが、IT社長と付き合っていることを知ってしまった。違う違う、僕は、3日も寝ずに看病してくれたペペの人柄を愛しているんだ。じゃあね。」
キルケ―が綾瀬はるかに変身すると、嫌太は思わず、引き返しそうになったが、目をつむり、泳ぎ続けた。
目をつむっていたら、何かにぶつかった。ウツボだった。妙なウツボで身体は、ライオンのような柄だった。
「いってーな。クイズ出すから、答えられなかった、食べるからな。朝は4本足、昼は2本足、夜は3本足の怪物はなんだ。分かんねーだろ。」
「クイズはいいですけど、出番を間違ってないですか。あなたは、オイディプスの方じゃないですか。答えは人だと思いますけど。」
「つまんねーな、とっとと行け。」
嫌太が泳いでいると、突然、海が渦を巻き始め、海の底に引きずり込まれ、意識を失った。目が覚めるとスケリア島の王女ナウシカの手のひらにすくわれて、ぷかぷかと浮かんでいた。
「ペペはあなたと話すことができるだけで、幸せと言っているわ。あなたも、ペペと話していると幸せでしょ。どうして、それ以上を求めようとするの。抱きしめたいのは、あなたの欲望ではないの。」
「小学生の頃の映画なのに、お正月に放送されるなんて、変わらぬ人気ですね。すいません、余談でした。欲望があるのは否定しません。しかし、彼女と触れ合いたいのです。文字が発明されて、たったの5000年。生命が生まれてからは37億年の月日があります。文字や言葉では伝えられないことがあるのです。言葉がなくても分かりあえる。抱きしめることで分かりあえることがあるはずです。ペペのことを愛しているのです。」
「ペペのことを想う気持ちは、分かりました。あなたの望みを叶えてあげましょう。その棘でペペを傷つけないようになればいいのね。」
「お願いします。」
嫌太は意識を失った。目が覚めるとペペの目の前にいた。
「ペペ、ごめん、君に何も言わずに、遠くに行ってしまって。だけど、ペペのことを本当に愛していることが分かった。君のことを愛している。」
「・・・・嫌。」
「どうして。」
「鏡見て。棘がなくなったら、ふぐみたいよ。ふぐは嫌。」
嫌太は、あの時、カモメに食べられた方が良かったと思った。
廊下に立たされている気分で、いい子にして待っています。
粉雪は、何回、歌ったか分かりません。何回歌っても、上手く歌えません。持ち歌はX-Japanです。高畑充希好きなので、お気に入りは、く・れ・な・い・だ~
ゆりかさん
最初は、純愛物語でした。神々と愛について語り合いながら、最後はハッピーエンドになる展開でしたが、諸般の理由によりコメディーになってしまいました。作者の力量不足で愛については語れませんでした。
オレンジ先生
笑いは大事ですね。保育園は笑いに包まれているように思います。仕事は大変かもしれませんが、笑顔に元気がもらえますね。自分の職場はおっさんばかりで、元気を吸い取られています。
環謝さん
今後のご期待ください。日記をいろいろと書いてきましたが、一向に作風が定まりません。これからも迷走を続けるでしょう。きっといろいろなお話になると思います。
たまちゃん
最近、鞭とか棘とか、たまちゃんの好みが過激になっているかもしれません。芸術を司る女神ミューズの自覚を改めて思い出さなければいけません。
yonaさん
素直に生きるのが大事ですね。そうそうシンプルに生きてはいけませんが、無理せず、自分の気持ちに正直にしたいものです。その結果、嫌太君は可愛そうになりましたが、フグ好きも現れるはずです。
ありのままの嫌太くんでがんばってください。
きっと次は素敵な結末。。かなぁ。
楽しませていただきました。
様々な方面からの登場人物にも大笑いでしたが、
まさかペペちゃんが棘に魅力を感じているタイプだったとは(爆笑)
やはりまずは相手の話をちゃんと聞かないとダメですね。
肝に銘じますw
今回の続編は、コメディになってしまったのですね(*´Д`*)アリャ
神話の神や伝説の登場人物などが出て来て、現代の芸能人の時事ニュースを絡めて話したりと
色々とツッコミどころ満載ですがこれはこれで楽しく読ませていただきましたよ♪
また色々なお話見てみたいです(*´∇`*)
ま・・でもくすっと笑えるのは
悲しいよりもいいですね。
前回は最後が可哀想だったので、別の展開も読みたいと思っていました。
続編を書いて下さりありがとうございます(*^^*)
嫌太君、ペペちゃんの元に帰れて良かったですね~vv
3日も寝ずに看病するなんて愛されている証拠!もうこのままプラトニックラブを貫けばいいじゃない、と思ってしまうのですが、嫌太君はまた旅立つのですね。
わぁ~、物語が壮大になってきました。
粉雪の所には大笑い。これは実話なのでしょうか??
音痴すぎてカラオケには行かない私とは大違いの勇気ある行動です。
綾瀬はるかに釣られて、引き返そうとしちゃダメでしょ嫌太君。
最後のペペへの想いを語る嫌太君に感動したのに、まさかのオチでした。フグも美味しそうで素敵なのに。
感動やときめきや笑いがたくさん詰まったお話でしたね。
楽しい時間をありがとうございました(*^-^)
沖人さんはカラオケで粉雪をシャウトするんだ〜
ちょっと聴いてみたいかも?www