粉雪の別れ
- カテゴリ:小説/詩
- 2019/02/27 12:29:52
あなたと歩いた冬の京都
訪れる人もわずか
地図も持たず案内も見ず
バスに乗ったり降りたり
そんな旅もいいと思った
あとを辿りたかった
でももう分からない道
離しちゃだめだよ
離さないで
そんなことを言っていたのに
雪が流れてきた
コトリという音さえ立てずに
落ちては消えていくその身が
自分に似かよった気がして
胸が苦しかった
どこに行ったのかは知らない
もう別れた二人だから
一緒にいられたら
どんなにかよかっただろう
もう後悔は雪と散る
いつか忘れる日が来るのだろうか
あなたのこともあなたとの愛も
あなたも誰かを愛するのだろうか
そう あの日に落ちた雪の様に
地面に浸み込んでいくのだろうか
涙をこらえて
地下鉄の改札を出て
遠くに行ったあなたを見つめた
もういい
そう もういい