Nicotto Town



どこの誰かは知らないけれど、誰もが皆知っている

昭和特撮文化概論
 ヒーローたちの戦いは報われたか
  鈴木美潮 集英社文庫

おそらく誰もが一度は見た事があるであろう特撮ヒーロー番組。
その特撮ヒーロー番組の文化論。

今でこそアニメは世間の評価が高まってきたが、特撮ヒーロー物は未だに「子供向け」という風潮がある。

「ウルトラマン」なら、まだ時に重いテーマを扱っていたと認知されているが、それ以外のヒーロー物は「お子様向け」扱い。

かく言う自分も「ウルトラマン」なら、まだ分かるが、スーパー戦隊シリーズや仮面ライダー(特に平成仮面ライダー)となると、ほぼ未知の世界。

先日、「ウルトラマンと"正義"の話をしよう」(神谷和宏 朝日新聞出版)を読んで、「かぶれた」ので、本屋で見つけた本書を読んでみた。
正義のヒーローの変遷、という直球の内容から、悪の組織の変遷、ヒロイン、悪のヒーローの変遷、ひいてはスーツアクターや主題歌の変遷まで、多岐に及んでいる。

昔、タイトルは忘れてしまったが、スーパー戦隊シリーズ ●●周年記念特番なるものがテレビで放送された。
その時、見るともなしに見ていた時、ヒーローの造形が景気の影響を受けている、となんとなしに感じた事があった。
景気がいい時のヒーローは「飾り」が多く、景気が悪い時のヒーローはシンプルなデザイン。
製作費が景気の影響を受けるから、当たり前といえば当たり前だが・・・。

だが、本書を読むと製作費に関する事以外でも特撮ヒーロー物は社会の影響を受けている、というのが分かる。
「歌は世につれ、世は歌につれ」と言われるが、「歌」を「ヒーロー」に置き換えても同じ事が言えるというのが面白い。

特に印象に残ったのは、「月光仮面」のキャッチフレーズが「憎むな、殺すな、赦しましょう」だったという事。
「ウルトラマンA」でも、最終回、地球を去るウルトラマンAが「やさしさを失わないでくれ、弱いものをいたわり、互いに助け合い、どこの国の人たちとも友達になろうという気持ちを失わないでくれ。たとえ、その気持ちが何百回裏切られようとも。と言っている。
言葉自体は大分、異なるが根底にある考え方は一緒。

日本の特撮ヒーローの特徴は、戦うだけでなく、「モラル」も説くという点にあるらしい。
そして、そのヒーロー達で、戦いを好む者は誰一人いなかった、という。
自らの存在が不要とされるような世の中こそ、ヒーロー達の願いだったというのは、殴り、または殴られた時の「痛み」を知っている人が製作者側に多かったのだろう。
ウルトラマン以外の特撮ヒーロー物を見る目が変わった気がする。

アバター
2019/03/30 23:24
こういうのは宗教の影響があるのか、と思っていましたが、中国のアクション映画の話を聞くとそれだけではない感じですね。
国民性もあるでしょうし、景気の状況(イケイケドンドン的な雰囲気とか)も影響を与えるのかもしれません。
アバター
2019/03/28 00:28
やはり、そこがハリウッド製のヒーローと違う所ですね~。
あくまでも、戦いは最後の手段。
できれば平和に徹したい。。。それは人類共通の願い!

ハリウッドのヒーローは、徹底的に悪を滅ぼし、
敵とみなした者は、有無を言わさずぶっ潰す。。。。
最近見た中国のバトルアクション映画(中国では大ヒットとか・・)は、
敵は皆殺しで、平和どころの話ではありませんでした(汗)。



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