R12(中編)
- カテゴリ:自作小説
- 2019/04/10 23:05:19
今日子は、寝る前に俊彦の弁当の準備をしておく必要がなくなった。俊彦は、残り一週間で、脂肪を500g、計量までの二日で4kgの水分をしぼり落とす。
身体は、糖や脂肪が少なくなると、たんぱく質を分解しエネルギーを生み出そうとする。筋力が低下すると減量効果が小さくなる。たんぱく質の補給は欠かせない。俊彦は、明日から牛乳とプロテインしかとらない。
今日子は、余った時間にシートマスクも使って丹念に夜のスキンケアをした。乳液とクリームを塗り終わると、明かりを消し、俊彦が眠るベットに向かった。シングルベットで身体をくっつけあって寝ていた。
俊彦は、身体を横に向けて寝ていた。背中越しに俊彦に声をかけた。
「もう、寝た?」
「寝た。」
「ねえ、今度の試合が終わったらね、」
「ごめん、明日でいい。頭、ぼっとしてっから。」
俊彦は、眠る前に話しかけられたのもあるが、考えることが面倒くさかった。脳は体重の2%の重さしかないが、身体が生み出すエネルギーの2割以上を消費している。減量で体内のグリコーゲンが極端に少なくなり、脳の活動も低下している。何も考えたくなかった。
今日子は、俊彦に背中を向け、お互いに背中合わせになった。俊彦と一緒にいることが幸せだった。仕事は単調だったが、その間、夕飯に何を作るか考えていた。カロリーと身体に必要な栄養を計算しながら、俊彦を飽きないメニューを考えた。その夕飯を、俊彦は、いつも美味しいと言って食べてくれた。
慎ましい生活だったが、幸せだった。しかし、主任に告白されてから、幸せなのか迷うようになった。中学時代にいじめを受けてから、誰かに守ってもらいたかった。これまで、俊彦は今日子を守ってくれていた。
しかし、もう子供の頃とは違っていた。俊彦はパチンコ屋でバイトをしていたが、ライセンスの登録料やジムの経費でバイト代は消え、今日子に生活費を渡したことはなかった。それでいいと思っていたが、経済的な不安を与えないことも守ることではないかと思うようになった。
俊彦は、今日子のそんな気持ちに気づいたのか、ボクシングを止めて働こうかと言うようになった。今日子は、自分の迷いで、俊彦がボクシングを止めようと思うようになったことに、俊彦を裏切ったような罪悪感を感じていた。
今日子は、俊彦の背中の方に向き直った。少し、布団にもぐり、俊彦の筋肉が盛り上がった背中に額をあてた。こんな思いを忘れられるくらい、激しく抱いて欲しかった。
俊彦も背中に今日子を感じ向き直った。腕を伸ばし、今日子を抱きしめたが、減量中に抱くことはできなかった。減量中に、精神を極限の飢餓状態に持っていく。飢え、喉の渇き、欲望、怒り、それらを勝つことへの執念に変える。相手を倒すことによってのみ苦しみから解放される。俊彦は、今日子を抱きしめたまま眠った。
たまちゃんなら、若手のバレエ男子を支えそうだ。現在、バレエ男子増殖中。女子に囲まれてトレーニングする状況は、スラムからハーレムへと転身と例えられている。今からでもバレエ教室に入会したいところです。
愛がないとできないことだと思います^^
チャンプの粗筋を読んだら、自分好みのストーリー。それにしても、家庭科の時間に映画を見過ぎじゃないでしょうか。それにしては、手芸も得意でよく家庭科が身に付いたと思います。
オレンジ先生
どうしよう、主任。ここから、主任をどう登場させたらいいのか。主任をボクシングの対戦相手にすればいいのか。主任は、タイ人のトムヤンクン・ソムタムだと思ってください。
みーぴこさん
恋愛小説だと思ったらだめです。これから、ゴジラが登場するかもしれません。右ストレートで如何に、ゴジラを倒すか。首相官邸危機管理センターで全閣僚が集まり相談をしているところです。
ゆりかちゃん
健康に気遣って、薄味だと思うけど、汗を大量に流しているので、たまにはしょっぱい味付けもあるのかな。俊彦は、試合後にカキフライを食べることを楽しみに減量しています。
ありすさん
それだけで、幸せに感じてくれる女性と出会えたら幸せですね。そんなに、プレッシャーをかけてはいけません。誰がハッピーになるか、きっとゴジラです。
環謝さん
言葉が足りない男は多いと思います。気持ちを表現することは苦手だし、言えば楽になるのかもしれませんが、大抵は黙ってしまいますね。それが男という生き物です。
両方の立場、気持ち、どっちも悪くないし・・・ただ言葉が足りないことかな
恋人って色んな形があるしね
どうしたもんか。。。
私だったらこれで十分❢これからも付いていけるけるんだけれどなぁ~
ハッピーエンドだねぇ・・・だよね!(⋈◍>◡<◍)。✧♡
今日子さんは、生活費も家事も全負担だなんて、女神のような女性ですね。
俊彦さんは、せめて話くらいはちゃんと聞いてあげなきゃ。
今日子さんを逃したら、一生後悔するかも~。
今日子さんの飽きさせない減量メニューは、どんなレシピなのでしょう。
沖人さんお勧め、普茶料理なんか良いんじゃないですか?^^
主任の人物像がはっきりしないので、どちらを応援してよいのか次回に保留ですね。
続きを、ドキドキわくわくしながら楽しみにしてます(*^^*)
胸が締め付けられる
自分の想いを確かめられるのかも
しれないですね。
でもこんなに好きなのだから
どうかハッピーエンドで。
高校生の頃、家庭科の先生に授業でチャンプという洋画を
見せられたのを思い出しましたw