投げ捨てて
- カテゴリ:小説/詩
- 2019/04/15 14:31:50
交換したリングをまた交換した
そう これが愛の終わり
こんな日が来るなんて知らなかった
きっとあなたもそう思っているはず
別れの言葉はたった一つ
出会った頃の二人には
輝きしかなかった
愛し愛されることが嬉しくて
壊れるなんて知らなくて
あなたが笑顔ならそれでよかった
海にも行った
山にも行った
あなたが行くところなら
何も言わずについて行った
それが二人の胸の内と思ったから
買ってくれた銀のリング
「もう一緒だよ」
そう言って
そう言ってくれたのに
どこに行こうと言うの
もう桜も終わり
葉桜が最後の花びらを飛ばす
こんな風に私の心も飛ぶのか
そんなことは考えたくない
でもそのほうがいい
返されたリングを
思い切り海に投げた
あなたの行方は分からない
だからリングも同じ
行く手が見えないのであれば見えないままでいい
やがて木々が芽吹いてきて
鮮やかな新緑を迎えるだろう
その時私はどうするだろう
まだあなたを想っているのか
喫茶店の片隅で
分からない
先の事なんて分からない
緑に包まれていい空気を吸おう
そしてあなたに背を向けよう
遅すぎた青い春を今 辿ろう