母と叔母とドライブに出かけた。車を借りたかったので、軽い気持ちで、一緒に行くかと聞いたら叔母もセットで付いてきた。

二人とも70歳を超えたが、現役で働いていてピンピンしている。13時間のドライブの間、後部座席で喋り倒していた。

話題は、哲学、文化、芸術等の教養以外の全て分野をカバーしている。芸能、ご近所トラブル、親族の動向、昔話、旬の魚。皇位継承についてもこと欠かない。

「眞子さまもしょーもない男にのぼせて、紀子さんの顔が暗いんもしょーがないわ。」
「雅子さん、綺麗になったの〜、一般参賀の中継見ないかんわ。」
「御茶ノ水や行かすけん、変なおっさんが入ってくるんや。学習院に行かせとけばよかったんや。」
この二人の会話を聞いていたら、皇室を身近に感じることができる。

最初の目的地、高知歴史民俗博物館に到着する。香川県民の二人が高知の歴史に関心があろうはずがない。1時間だけ自由時間を貰った。

目的は長宗我部に関する展示だ。土佐日記の紀貫之や幕末の坂本龍馬などの展示も見たいが、時間がない。岡豊城址も見なければいけない。ダッシュで城山を駆け抜けた。

待ち合わせ場所のロビーで会うと、人の苦労も知らずに、「お昼、何食べる〜」だ。持ってくるなと言ったのに、手提げ袋の中に、菓子パンやらチョコレートを入れてきたのを知っている。それでも食べとけ。

石窯ピザの店を出た後。高知市街に向かった。高知城前の地下駐車場に車を止めた。お祭りをしている高知城に入ろうとすると、母と叔母が「お城や来たことあるわ〜」と話している。

息子がなぜ高知城前に車を停めたか忖度して欲しいが、城をスルーし市場に。確かに安い。大きさは不揃いだが、20本くらいの胡瓜が100円。茄子も6本で百円。切り花も百円だ。二人の目が輝いている。

「安いわ〜」と大喜びだが、高知までの高速代とガソリン代を考えて欲しい。市場に寄っただけで撤収。

高速に乗って帰るで〜と言ったら、「海を見ながら帰りたいわ。道の駅があったら寄って。」とのこと。まじですか。ここは、太平洋。瀬戸内海まで海沿いを走ったら300kmはありますよ。

二人は、きゅうりの漬物の作り方で盛り上がり、運転手のことなど、気にしていない。途中の道の駅で、煙草とライターを買ってしまい、また、禁煙が中断してしまった。

夜に徳島に入り、叔母が徳島ラーメンでも食べようかと言うと、母がラーメンは嫌だ、昼はピザだったし和食がいいと言う。叔母は、こんな機会でもないとラーメン屋さんに入れないという。

運転手としては、早く結論を出して欲しいが、姉妹に譲り合いの精神はない。徳島を通り過ぎて、海岸線にある海鮮の店に入った。20人ほど並んでいたが15分くらいで入れた。

叔母を送り、珈琲をいただき帰還。かくして13時間のドライブは終了した。