「妄想筍」令和バージョン
- カテゴリ:小説/詩
- 2019/05/05 19:55:22
子どもの日に、
筍御飯に若竹煮。
あああ、至福の夕餉です。
というわけで、恒例になりました。
「妄想筍」令和バージョンです。
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妄想筍
筍を茹でながら思ふ
もはや私の愛は
人ではなく
人ではなく
この時期の筍
乳白色の湯の中で
静かに冷めるのを待つて入る君へと
注がれて入る
乳白色の湯の中で
静かに冷めるのを待つて入る君へと
注がれて入る
香しき
鍋の何処にかぐや姫
糠に隠れて
おはしますのか
今年も違ふことなく
鍋の内より姿をあらはす君
焦らせることはあつても
裏切られることは決してなく
鍋の何処にかぐや姫
糠に隠れて
おはしますのか
今年も違ふことなく
鍋の内より姿をあらはす君
焦らせることはあつても
裏切られることは決してなく
そつと
十重二十重の皮衣に手をかけて
悪戯にその細い肩を口に含めば
待ち望んだ逢瀬
淡泊にして鮮烈な芳香
官能の舌触りに理性は狂ひ
このまま食べてしまひたい
十重二十重の皮衣に手をかけて
悪戯にその細い肩を口に含めば
待ち望んだ逢瀬
淡泊にして鮮烈な芳香
官能の舌触りに理性は狂ひ
このまま食べてしまひたい
もう少しお待ち下さひませ
微笑んで諭す言葉に
己の所業を恥じ入る私
その姿では心細かろうと
たつぷりの出汁で煮含めた若竹煮
己の所業を恥じ入る私
その姿では心細かろうと
たつぷりの出汁で煮含めた若竹煮
薄揚げと共に仕込んだ筍御飯
梅肉で和へた姫皮の突き出しと
初夏の装ひに整へさせて
仕上げには山椒の簪
君のために誂えたのだよ
梅肉で和へた姫皮の突き出しと
初夏の装ひに整へさせて
仕上げには山椒の簪
君のために誂えたのだよ
見つめ合ふ二人
やがて無言の儘に
手を差し延べて
熱く激しく
満たされてゆく
熱く激しく
満たされてゆく
これより先は秘め事なる故
皆さまの健啖なる想像力に
お委せしたく候
お委せしたく候
2019/05/05
こちらでも、熊本産の筍が出回っていました。
竹林は、人間が手を入れないと、
どんどん蔓延って、
始末に負えませんからね。
イノシシも通れない状態になっているのでしょうか。
筍掘りだけでなく、
竹炭や竹籠細工などで、
減らしていかないと
とても追いつきません。
美文調のコメント、ありがとうございました。
3月まだ浅き頃より、気が早い筍たちが顔を出す
毎週、毎週、どこからやってくるのか
どんどん増えていく
あまりの多さと勢いに
イノシシさえも怖気づく
人の力が届かぬように
根節にしっかりつかまって
二つくっつく筍たち
ああ、あのしとやかに密かに
恥じらいながら顔をのぞかせていた筍たち
絶滅をおそれての今年の所業か・・