神保町(中編)
- カテゴリ:自作小説
- 2019/05/17 07:06:04
ナツは、お茶の水の駅の改札を出たところで泰樹を待っていた。待ち合わせの時間まで10分ある。締切を督促するのが仕事であり、自ら遅刻することはできないと、早めに行動することが身についていた。
仕事をしていたり、家でのんびりしていると10分は直ぐに経つのに、人を待つ10分はとても長く感じて、改札から人が出てくるたびに、泰樹がいないか確かめた。時間ぴったりに、泰樹が改札と違う方向から現れた。
「ナツさん、早いですね。僕も早く着きすぎて、珈琲ショップで時間をつぶしてました。神田祭があるから人出が多いですね。神田明神に行きましょう。」
ナツは怒りが込み上げてきた。珈琲ショップで時間をつぶすなら、早く、待ち合わせ場所に来てくれればいいのに、女性を待たす感覚が理解できなかった。そんなところが、泰樹がもてない理由だと思った。
それに、泰樹の服装は、少し大きめのシャツにジーンズとスニーカー。肩から、たすきにバックをかけている。まるで普段着だった。
二人は、お堀にかかる聖橋を渡って外神田にある神田明神に向かった。今日は、日本三大祭り神田祭の神幸祭。神田祭のメインイベントで、大小200の神輿が、神田、日本橋、大手町、丸の内、秋葉原を練り歩く。騎馬武者姿の行列や浦島太郎の曳き物も登場し、お祭り好きの江戸っ子数千人が法被姿で都心に溢れる。
神田明神で掲載用の写真を撮影する。神田明神の創建は天平まで遡り、神田祭は、徳川家康が上杉景勝を成敗するための会津征伐やその後の関ケ原に向かう際に先勝祈願をしたことをきっかけに始まった。
神田明神の象徴になっている色鮮やかな「隨神門」を撮影しようとするが、人手が多く、立ち止まるのが難しい。ナツは泰樹とはぐれないように、しているが、泰樹は暢気なものだ。神輿を眺めて、「ほ~」とか「へ~」と呟いている。
「ナツさん、お祭りはウキウキして気分が高揚しますね。海外の方が多いのに驚きました。普段、大人しい日本人が、お祭りの時はラテン系と同じように盛り上がるのは驚かれるかもしれませんね。」
「泰樹さん、神輿ってどんな意味があるんですか。」
「普段は神社に宿っている神霊が、氏子のいる町内に神輿に乗って散歩するんですよ。シュリーマンは、江戸に入ったとき『花は咲き乱れて、茶店の小娘は可愛いし、犬は大人しいし、なんていい国だ』と書き残しました。ちょうど、お昼になりましたし、茶店にでも入りましょうか。」
「何にしますか。」
「お祭りの楽しみは弁当です。江戸っ子は、お祭りの日は砂糖をたっぷりつかった甘い玉子焼きが入ったお弁当を楽しみにしてたんですよ。」
「いいですね、甘い玉子焼き。」
「予約してないから、弁当は無理ですね。餃子にしましょう。」
「予約してないんですか。」
「ええ、行き当たりばったりが好きですから。」
泰樹とナツは神保町のスズラン通りにある「スヰートポーヅ」に入った。80年続く老舗の餃子屋でメニューは餃子と包子しかない。焼き餃子と水餃子を頼み、二人で取り分けて食べることにした。
(続く)
↓神田祭り公式サイト、今年の神幸祭は5月11日でした。
https://www.kandamyoujin.or.jp/kandamatsuri/
↓神保町の餃子屋さん「スヰートポーヅ」
https://gotrip.jp/2016/04/29481/
うろ覚えですが、神田明神は平将門を祀ったり、祀らなかったしていたと思います。朝廷に反逆した将門を祀っていいのかということだったと思います。ちょい悪親爺にも和服姿にもなれませんが、黒いウインドブレーカーは身体になじんでいると思います。土日はその姿しかしていないように思います。これからは、走ると汗をかいてしまうので、もう一着、黒いウィンドブレーカーを買おうかと思っています。夏場だと不審者だと思われそうで心配です。
奇遇ですね~^^
つい先日、平将門の首塚に行ってきましたよ。
『5月の神田祭の時には、必ず神輿が渡御して神事が行われる重要な場所です』
と書いてありました。
江戸城のお堀の周りも歩けて、良い所ですね。
ちょい悪親父風のおしゃれよりも、和服を着こなすおじ様が素敵だな~と惚れ惚れしますv
この前、お祭りのイベントだったのか?
裃姿のお爺様が、颯爽と自転車で通り過ぎて行って目を奪われました(*^^*)
後ろ3歩くらいだと、今どきの女性は直ぐに追い抜いてしまいます。30歩離れていても、追い抜かれそうな気がします。伊豆大島でも追い抜かれまくりでした。
自分ならば、餃子屋には行きません。スズラン通りの「マキアヴェリの食卓」に行き、前菜には、本マグロのカルパッチョ、ルッコラとパルミジャーラのサラダ、パスタは渡り蟹のトマトクリームフェットチーネ、メインにマキアヴェリが愛したフィレンチェの名物Tボーンステーキ、ドルチェにアフォガードを頼んでいるでしょう。
ゆりかさん
若い娘さんがおっさんに関心を持つことはないんじゃないでしょうか。年相応のシックな恰好やちょい悪親爺風のおしゃれをしろと怒っていたのでしょう。神輿はあちこちを練り歩いているので、街を歩いていたら出くわします。戦国時代よりは遡りますが、平将門も祀られていますので、訪ねてみてください。
たまちゃん
自分が行った時も相席になりました。餃子しかないのに驚きました。仕方なく、焼き餃子、水餃子、肉まんの全メニュー制覇にしました。ビールを飲む人には最高かもしれませんが、マーボー豆腐や酢豚も食べたくなってしまいました。
Cherryさん
おめかしをする服がないと困りますね。平日はスーツしか着てないし、休日はウィンドブレーカーかパーカーです。伊豆大島にもウィンドブレーカーで行ってしまいました。おしゃれは、無理なような気がします。夏は甚兵衛にしようかな。
環謝さん
臆病ものですので、気の強い女性にはかないません。できるならば、大和撫子で30歩後ろからついてきてくれる女性が希望です。ふらふらあっちに行ったりこっちに行ったり、行き当たりばったりなので、脚力に自信がある人が希望です。
オレンジ先生
ナツさんはしっかりしていますね。若い頃は(年とってもか)、女性の方がしっかりしています。男子は若い頃は何も考えてないですね。それが若者の良さです。おっさんになっても、何も考えていないのが泰樹です。気の向くまま自由に生きようとしている天然です。
それにふりまわされているナツさんが
可愛いですね^^
きっと沖人さんの好みなのかなぁというのもあるけど、
お話を作る上で おとなしい人同士よりも、進展も面白そうだからなのかなと勝手に想像してます(*´∀`*)
後編楽しみにしてます!もちろんハッピーエンドでお願いしますね♪
お食事行くところは予約しましょう♪
わかっているのにやらないなんて、だめですよ!
ナツさんにフラれないように頑張ってくださいね。
相席が当たり前なくらい、混んでますよね。
たらふく食べておいしかったです。
神保町紹介サイトみたいで楽しいな(笑)
泰樹さんは、早くも減点されちゃましたね^^;
時間ぴったりに来たのに、ナツさんも厳しいな~。
でも、服装やらそういう所に目がいくのは、泰樹さんを意識している証拠ではないでしょうか。
次回の進展に期待がもてますねv
神田祭は行ったことないですが、その行列は見てて面白そうですね^^
関ケ原がきっかけで始まったとは、すごい歴史深いです。
HPの写真を拝見しましたが、見渡す限り人・人・人。
これは、しっかり者のナツさんでないと、とっくにはぐれてしまいそう。
ある意味、二人は相性ばっちりかも?
「スヰートポーヅ」の外観は、デートの雰囲気としてはイマイチですが、味は美味しそうですね♪
果たして、胃袋からナツさんのハートを射止められるのでしょうか。
次回も楽しみにしてます(*^-^*)
気の強そうなヒロインは沖人さんの好みなのかしら(≖ᴗ≖๑)ʊʊʊ♡
酔ってぶつけた頭は大丈夫ですか? オダイジニ・・・