5分
- カテゴリ:小説/詩
- 2019/06/04 09:26:53
捨ててきたものは
拾い返しには行けない
それが私の真実だったから
それがどんなに嘘をついても
私の心を包んでいるから
あなたの包みも隣に見える
ほどこうとしてもほどけない
きつく固く閉じているから
あなたさえも開けられないだろう
愛と嘘の塊だとしても
別れの時間はたった5分
最後に強く抱きしめてくれて
これで終わりなんだと
もういい
あなたには彼女がいる
涙という階段を登ったら
何が見えるのだろうか
過去という扉を開けたら
何があるのだろうか
それは誰も知らない
あなたがもしもここにいたら
いつもどおりに抱きしめてほしい
もう もしも はない
別れの影は長くて
追いつけられないから
さようならが言えなかった
あなたも言わなかった
あなたを見るのが精いっぱいで
別れを感じ取れなかった
そう 5分では
二人は反対の方へ歩いていく
それが別れの印
振り向いてはいけない
戻ってはいけない
いくら涙で道がかすんでも
これまでのことを箱に詰めて
そっとしまっておこう
それが懐かしさに変わったら
一つ大人になったのかもしれない
今はまだ駄目だけれど
開けてしまったパンドランの箱は
もう何人さえも止めることはできないだろう
戸惑いも恐れも 愛でさえも
最後の2行は力強いですね。
涙で流れてしまうから
目の前にある
想い出という箱に封をした
それを次に開けるのは
新しい恋が始まった時だ