別れの貝殻
- カテゴリ:小説/詩
- 2019/06/07 15:39:44
くれるって言ったのに
私にくれるって言ったのに
あなたは彼女にあげてしまった
あなたの胸の内と
あなたの愛したすべてを
それは心変わりだというの
でも約束なんてしてなかった
私はあなたの何だったの
ていのいい妹代わり
愛情のかけらもなかったのか
あの時くれるって言ったのは
私の思い違い
私がこんなに愛しているなんて
あなたは知らぬままに
彼女と肩をそろえるんだわ
こんな時に人は
悔しいの言うのだろうか
怒りとでもいうのだろうか
でも私にはそれはなく
ただ茫然と立ちすくむだけ
なぜそう思わないんだろう
自分でも不思議
あまりに彼が早く行ってしまったから
彼女との愛が大きかったから
身動きができなかったから
もう少し私がわがままだったら
もう少しあなたを困らせていたら
あなたは私を愛してくれていただろうか
それはわからない
もうあなたはここにいない
毎日泣いていた
部屋に帰るとすぐに
もうどうすることもできない
どうやってさよならを言うの
どうやって忘れたらいいの
ボトルにはいった白い貝殻
あなたと集めたわね
このままじゃ切なすぎるから
貝殻に色を付けよう
これからを踏み出す私の心で
虹色に輝いた貝殻はどこに飛んでいくのでしょう。
私の心をつんで…。
白から色に変わって、あなたの心も変わって…。
心も飛んでいくのでしょう。私の心も積んで…。
白い貝殻
どんな色になるのでしょう
過去を打ち消す
新しい色・・・
今すぐに色を付けますか
それとも時間を置いてからにしますか
貝殻はそれを待っています
小さなボトルの中で・・・