見知らぬ愛
- カテゴリ:小説/詩
- 2019/06/18 09:14:50
これまでの二人はどうだったろう
手をつないで 肩寄せ合って
そうして歩いてきた
何の不思議もなく
なんの非難もなく
あなたがいなくなることは知っていた
お父様が亡くなったことも
あなたが長男だということも
だから都会に背を向ける
そんなあなたに涙した
ついていきたい
でもできない
迷惑になるかもしれない
今は何も言わないあなた
その本心が知りたい
社会は変わった
電車の一乗りで都会につく
だけどあなたは来ないだろう
都会に未練はないから
未練を残したくないから
私も未練の一つだろうか
思い出は残さず
疑いには目もくれず
美しかった記憶には
羽をつけて飛ばし
さようなら あなた
私も未練から去ろう
浸っていたいけど
あなたは望まない
だから捨て去ろう
いつか出会う日があっても
きっと目を合わせるだけで
知らぬ顔ですれ違うのだろう
それが唯一の
愛の証だから
言の葉は飛んでいく
白い翼で青い空へ
最後に残すとすれば
ポトリと落ちた赤い箱に
今のときめきを大切にしたい
ポストに入れた白い封筒
これが最後かも知れない言の葉を伝える為に