Nicotto Town


うみきょんの どこにもあってここにいない


きらきら、箱根 その2

仮想タウンでキラキラを集めました。

2019/06/19
キラキラ
集めた場所 個数
教会広場 10
展望広場 3


キラキラ、教会、展望。

箱根のつづきです。

 箱根美術館、強羅公園で遊んでいるうち、宿のチェックインの時間が近づいてきた。この宿はありがたいことにチェックインの時間が午後一時とだいぶ早いのだ。
 宿に向かう。箱根の山をすこし下りる、湯本方面に戻る感じだ。
 大平台の宿。諸事情で窓からの景色が道路沿いであまり望めないという部屋だったが、緑のなかで、道路の向こうに、箱根登山電車が通るのがみえた。二両か三両編成。意外に楽しい。
 近くに姫の水という湧水がある。飲料することができ、汲んでもよいとのことなので、ちいさなペットボトルをもって、早速いってみた。大名の姫君たちも飲んだという。宿をでてすぐにゴボゴボと音がしていた。豆腐屋さんも近くに数軒ある。水がいいということなのだろう。ゴボゴボという音に近づいてゆくと、小さな噴水のように、姫の水はあった。民家の敷地内なので、静かに噴水の下にペットボトルをもってゆく。水がとても冷たい。持った手や腕がいたい。
 大平台は、小さな温泉街だ。勾配のある山あいの細道に、民家と保養所、豆腐屋さんに雑貨屋さん、スナックなどがある、あまり観光地観光地していない。庭なのか、道端なのか、判別しにくい場所に、最近では園芸店などでしか見たことのない、ミヤマオダマキ、ヤマボウシ、シモツケソウなどが、咲いている。山野草のように、ユキノシタ、ドクダミ、ヤマアジサイ、勝手に生えたのか、庭で育てているのかわからない。
 旅館などもおそらくあるのだろうが、来る途中や、近くには保養所ばかりだった。泊まった宿も保養所の一つだが、一般客も受け入れている。こんなふうに、観光地であってそうでない、野に咲く花と庭の花、なにかどちらでもあってどちらでもない、そんな雰囲気たちがやさしいところだ。
 ちなみに姫の水。あとで宿で飲んだけれど、飲みやすいが、おいしいのかわからなかった。けれども、飲んでいるうち、おいしいことに気づいた。
 ちなみに、この場所に来たことがないと思っていたが、植物たちにまみれた登山鉄道の線路を見て、二十年近く前に来たことがあったのではなかったかとふと思った。
 あの頃はたしかもう少し、ペンション風の宿が何軒かあったような……、泊まったのは、その一つだった。かつては、なんということのない景色だと思ったはずだが、今見るそれは、どこかやさしい。生活と旅が混在している。温泉地に人々の生活の跡が見える。土産物屋すらない、ちいさな温泉地。
 泉の水を汲んで、宿の冷蔵庫のなかに入れたのち、ここから箱根登山鉄道で二駅の箱根湯本へ。連れ合いは基本車で移動することが多いので、箱根登山鉄道に乗るのは初めてだという。
 たまたまもうすぐなくなってしまうという古い車両に乗ることが出来た。重厚というか、しっかりした内装だ。単線ということもあり、脇に迫ってくる緑たちが狭い。アジサイが蕾といったところか、もう半月もすると、アジサイだらけになるのだろう。緑たち、山たち、トンネル、スイッチバック。ゴトンゴトンと電車が降りてゆく。
 箱根湯本駅についた。すぐにお土産屋さんや飲食店などの並ぶ商店街が続くので、そのあたりを散策。見るだけで楽しい(あとですこし買ったけれど)。
 商店街を塔ノ沢のほうへ歩き、平行して流れる左手の早川、さらにその奥の早川へ合流する前の須雲川のほうへ。この川沿いに滝通りがあり、温泉宿がたちならぶ。その宿の一角に滝があるというので、寄ってみたかったのだ。宿の敷地内ということなので、敷居が高いかしらと思ったけれど、一般客も気軽に入ることができた。すぐに飛烟の滝、さらに奥に玉簾の滝、二つもあった。敷居は低かったが、こちらの気のもちようなのだろう。なにか部外者が見にきているような気がしてしまって、あまり滝たちを感じることができなかった。そういえば湯本から強羅へ向かう道沿いにも蛙の滝というのを、車からみたなあと思い出す。
 けれども、須雲川。早川は車などで通るときに少しみたことがあったが、はじめての川。どちらの川も、綺麗な流れだが、はじめての川というのは、なんとなくそれだけで、新鮮だ。豊かな水量と澄んだ水が心地よい。温泉街の川といった雰囲気もある。あちこちから湧水がでていたり、注いでいる。姫の水を思い出す。やはり水が豊かなのだ。そういえば訪れた滝のほうでも、水を汲めるらしかったが、容器をもってきていなかったのでしなかった。そのかわり、手ですこし掬って飲んでみた。姫の水のほうが冷たかったなあと思う。
 そんなこんなで遊んでいるうちに四時近くになった。湯本の商店街で、連れは和菓子と海産物を、わたしはここからほどちかい曽我で採れた梅干しを買って、また箱根登山電車で宿に戻る。六時から夕食なので、その前に温泉へ。大浴場と露天風呂。まだ明るいので、露天風呂から山の緑を見ることが出来た。箱根の湯は身体にやさしい。温泉のなかには、効き過ぎて身体に不調がおこることもあるのだが、箱根や伊豆の温泉はわたしの身体に合っているようだ。いつまでも湯冷めせず、身体がつるつるとする。ゆっくりとつかる。贅沢だなあと思う。
 この後、食事、そして疲れたのか、もう寝てしまって、一日が終わる。長い一日だった。翌日は早朝バイトでもう身体がその時刻になると目が覚めるようになってしまっているので、三時には…。まだ暗い。スマホで少し原稿などを書く。そのうち、まだ明るくはなかったが、鳥たちの声がにぎやかになってきた。まだ日が明けきらない山の中、暗い、それでも朝の気配がそんなことで感じられる、ウグイスの声がしてきた。夜から朝へぬけるように。

(続く)

いつも読んでくださって、ありがとうございます。




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