完結していたが、読者の要望に応えて失敗
- カテゴリ:自作小説
- 2019/06/21 00:28:51
保は、手紙を見ながら考えた。このまま、返事を書かなくてもいいと思うが、返事が届かなければ、彼女は、父親から無視をされたと思うかもしれない。父親じゃないことを伝えた方がいいと思った。
ハンカチのお礼と封筒を開いてしまった謝罪、それと父親じゃないことを手紙に書き、父親じゃないことを示すために名刺とアカテンイロウミウシの写真を封筒にいれて、彼女の郵便受けに入れた。
数日後、彼女から手紙が届いた。
『早とちりをして、ごめんなさい。お父さんじゃなかったのは残念ですが、違うと伝えていただいてすっきりしました。可愛いウミウシの写真、ありがとうございました。霧生さんは、大学の生物の先生なんですね。生物の授業で分からないことがあったら教えてくださいね。』
そして、封筒には、LINEのQRコードのコピーが入っていた。保はQRコードを読み取り友達に追加した。するととたんに、ありがとうというコメントとともに、写真が添付されていた。生物の問題で、体細胞のヌクレオチド数を問題だった。時間があるときに、教えてくださいと書かれていた。
1本の染色体の平均ヌクレオチド数と体細胞の染色体数が分かれば掛け算をすれば分かる。簡単な問題だったので、解き方をメモして写真にとりラインで返信した。
『ありがとうございました。大学の教授はさすがですね。これからもよろしくお願いします。』と返信が返ってきた。ひょんなきっかけから、彼女とのLineのやりとりがはじまった。
時折、数学の問題も送られてきた。高校の数学はパズルのようで、解き方が分からない問題もあった。そんなときは、ゼミの学生に解き方を教えてもらった。学生は家庭教師や塾の講師をしていて、スラスラ解き方を教えてくれた。これまでは、学生に教える一方だったが、学生に教えてもらうようになると、学生との垣根が下がり、ゼミの雰囲気も良くなった。
彼女とは、生物や数学の問題と解答のやりとりが続いていたが、家で専門のウミウシを飼っているんですかと聞かれた。
飼っているとと返信したら、見たいと返事が返ってきた。女子高生が一人暮らしの男性を訪れたら、誤解を招くので、彼氏と一緒にくるように伝えた。日曜日に遊びに行きますと返事が返ってきた。
ピンポーンとチャイムがなり、玄関を開けると、彼女ともう一人の女性が立っていた。
『こんにちは、お母さんと一緒に来ました。』
『母の響子です。いつも香が勉強を教えてもらって、申し訳ありません。』
彼女の言葉遣いは丁寧で顔はにこやかだが、目は笑っていない。敵愾心で一杯だ。娘をたぶらかしているんではないかと疑っているのだろう。部屋の中に案内し、リビングのソファーに座ってもらった。
リビングにはウミウシの写真が飾ってある。香ちゃんは可愛いと言っているが、響子さんは、気持ち悪そうな顔をしている。ウミウシは色とりどりで、海の宝石と呼ばれる一方でグロテスクでもある。生き物が好きがどうかが分かる。
二人がウミウシの写真を見ている間に、キッチンで紅茶を淹れた。そして、手づくりのモンブランと一緒に、テーブルに置いた。ライオンも満腹だと、目の前をウサギがぴょんぴょん跳ねても見向きもしない。穏やかになってもらうためには、甘いものが一番だ。
香ちゃんは、モンブランをぺろりと食べたが、響子さんは手をつけようともしない。響子さんは、40代前半くらいだと思うが、独身のせいか若々しい。45歳には見えない篠原涼子によく似た顔立ちだ。
笑えば美人だろうが、表情が固い。娘を守ろうとする父親と母親の両方の気持ちなのだろう。ウミウシも雌雄同体だ。
『お母さんは、モンブランはお嫌いでしたか。』
『いえ、甘いものを控えていますので、お気遣いなく。』
『ぜんぜん、ダイエットが必要には、見えませんね。甘さ控えめにしていますから、大丈夫だと思いますよ。』
『お気遣いなく。』
『そうですか。生物は、如何にエネルギーを獲得するかということのために、進化しているんです。そのミドリアマモウミウシは、餌の藻類から葉緑体を盗んで、光合成をするんです。そんな苦労をして糖類を獲得しているのに、人間は我がままですね。』
『霧生さんは、メタボってご存知かしら。健康体と比べて、糖尿病になるリスクは
3から6倍、心血管疾患のリスクは1.5倍から2倍にもなるんです。ダイエットや運動はとてもいいことですよ。』
『運動するということは筋肉をつけるということですよね。筋肉はエネルギーを浪費する器官で、餌が豊富でない野生生物にとっては不経済なんです。ナマケモノに運動しろと言っても可愛そうです。』
『慢性的な運動不足は、筋肉の糖吸収能力を著しく低下させるんです。今、インスリン非依存性糖尿病がすごく増えているんですけど、運動不足が原因と言われているんです。霧生さんも、運動された方がいいですよ。』
香ちゃんが、お母さんのモンブランもらうよと言って食べ始めた。食べながら、学者も医者も頑固なんだから、食べて運動すればいいじゃないとぶつぶつ言っている。
『百歩、譲って、僕が運動をした方がいいというのは認めます。しかし、お母さんはダイエットする必要はないじゃないですか。』
『どうしてですか。』
『身体のラインは綺麗だし、若々しくて美しいからです。』
『・・・・』
モンブランを食べ終えた、香ちゃんが二人を見ながら言った。
『ママの健康料理、先生にご馳走してあげたらいいんじゃない。勉強を教えてくれたお礼もしないといけないし、今晩でいいんじゃない。先生、いいでしょ。』
『僕は予定ないから、大丈夫です。』
『お買い物もしないといけないから、香はウミウシを見せてもらっていなさい。準備ができたら、香に電話するから。』
香ちゃんは、玄関まで響子さんを見送ると、子供みたいな二人ねと言った。
(完)
熱心な弟子が出来たら、小和田先生も大喜びでしょう。小和田先生の著作は全部読んでますよ言ったら、デレデレになられると思います。wikiを見ただけで、膨大な著作の数ですが、ゆりかちゃんなら読まれているのでしょう。作者としては、気の強い響子さんより、ものおじしない香ちゃんの方が好みですが、条令に抵触するおそれがあるので、響子さんに頑張ってもらうしかありません。保も響子さんも、いい人なんですが、お互いに不器用ですね。
私生活がバタバタしてて、コメント遅れちゃいました^^;
期待していた続編があって嬉しいです♪
香ちゃんとは、ライン友達になったのですか~。
大学の先生が、専属家庭教師になってくれるなんて良いですね。
小和田先生だったら、さらに羨ましすぎますv
そんな私も、ひょんなことから男子中学生のライン友達がいるのですが…
読んでいると、似たようなやり取りをしているな~と、思わず笑みが零れてしまいました^^
最近、部活が忙しくて全然遊びに来てくれません。
素敵なお兄さんでも紹介してくれたら良いのに(笑)
ウミウシは飼ってないので、沖人さんもお好きな某ゲームで釣るしかありませんね。
あら。まさかのお母様登場ですね。
以前の、おばあちゃん小説のように、香ちゃんが恋のキューピットだったとはv
前回、武田夫婦を丁寧に考察して頂き、ありがとうございます。
そのような年の差カップルにも期待してましたが、これもこれで素敵な組み合わせではないでしょうか♪
保さんは直球ですね。
そんな風に言われたら、女性は誰でもときめいてしまうでしょうv
どうやら続きがあるようなので、また時間を見つけて読みに来ますね。
今回も、とても面白かったです(*^^*)
脱線、するのが大得意です。恋愛の話だけだと、勉強不足で、10行ぐらいしか書かずに、終わってしまうかもしれません。脱線路線で突き進みます。
沖人さんは、とっても物知りですね
どんな物語も 物語の本筋以外にも関心しちゃいますw
そして・・・登場人物の男性にはちょっと『沖人さん』を
匂わすエッセンスが履いていて 読み手の想像力を掻き立ててw
本当にすごい作家さんですw
いつも ありがとございます(✿◡‿◡。)ペコリ 感謝です
お返しは、拙いですが、日記を読んでいただいて、コメントを書いていただければ嬉しいですので、よろしくお願いします。
mさん
ほんとは、前回で完結していたのですが、ついつい書いてしまいました。これからは、はじまらないでしょう。モテない男に、はじまりはないのです。
さなちゃん
さて、どうなるのでしょう。今の状況では、運命の出会いとはとうてい思えません。犬猿の仲のような感じです。
ウサピョンさん
仕方ありません。続きは引き受けました。書けば書くほど、純粋な恋愛物から遠ざかっていき、崩壊しつつあるように感じてきました。
Cherryさん
自覚が目覚めましたね。海に山に、活動のフィールドが広い。自然に人工物に対象の幅も広い。甲殻類は大好きです。エビフライが一番です。
動きがゆっくりなので、写真を撮るにはよい被写体です!
一時期水中写真にはまってました。
甲殻類も大好きです。
やっぱりマニアックですね・・・^^;
そんな大それたことは私には出来ません><;
そう言う才能は全くないですから~(^▽^;)
これからお父さんになるかもしれないってことなのかなw
失敗って・・・これはこれでアリなのでは?ww
これから始まりそうな感じなのにねぇ(。´・ω・)?
こんなに誉められたのは初めてです~( *´艸`)
誉められ慣れていないので、どうやって返していいかわかりませんw
リンゴさんは、お仕事しながら、子育てをして、家事もこまめだし、休みの日にはパンも焼いて、女性の鏡です。アカテンイロウミシのように、コーデも華やかですよ。いっぱい褒めさせていただきました。
ちゃんと父親ではないことを伝えたんですね、私もすっきりしました^^;
なぜウミウシの写真なのかと、「アカテンイロウミウシ」を見てみたら綺麗な生き物なんですね。
女性は褒められると嬉しい、、、のです( *´艸`)
是非、続きをウサピョンさんに書いていただきたいところです。設定としては、保さんは研究ばかりしていて、結婚のタイミングを逃した40代独身男性です。響子さんは、医者の仕事が忙しいのに旦那さんが子育てに全く協力してくれなかったので、旦那さんに愛想をつかした40代独身女性です。まかせました。
たまちゃん
たまちゃん、若くて美しいですね。お礼は、ガレットでいいです。ベーコンエッグでお願いします。専門知識は抜群の二人ですが、男女のことになると娘の香ちゃんと大してかわらなさそうです。純粋な二人なのでしょう。
Cherryさん
こんなに身近に、ウミウシファンがいたとは。Cherryさんの趣味は、マニアックな路線、失礼しました、個性がある気がします。ウミウシは、何の仲間だろうと思っていて調べていたことがあったので、保さんの専門をウミウシにしました。貝殻を無くした貝なんですね。それにしても、カラフルですね。
ちゃんと父親じゃないことお伝えしたんですね。
で、なぜウミウシ?
ウミウシ、大好きです。ウミウシ図鑑持ってます!
ウミウシお家で飼えるんですね。沖人さんもウミウシ飼ってるんですか?
私の一番のお気に入りはウデフリツノザヤウミウシです♪
「完」の続きは・・・、番外編?!
若い、美しいなんて言われたら、
お世辞だとわかっていても、気分は上がるものですよ。
このお母さん、かわいい♥
そして40代前半はまだまだ若いですw
自然科学系の研究者は先頭を走らないといけないので、負けん気がないとだめなような気がします。でも、その分野だけは負けたくないけど、その他には関心がないかもしれませんね。昔の漫画やドラマだと服装に気をつかわないようなイメージです。
蓮さん
女子高生とおっさんでは、バランスがとれないので、お母さんに登場していただきました。ウミウシを見に行ったはずなのに、写真しか見ていません。水槽のウミウシが登場できませんでした。ウミウシを可愛いとは思えない。僕は生き物好きじゃないのかもしれません。
大学教授と医者のカップルですか。
お互い小難しい話をしてしまうんですね。
でもまさか、続きでお母さんが出てくるとは思いませんでした。
(完)となっていますが、続きが気になる終わり方ですね。
大学教授は、こだわりの強い人が多いので、ムキになりがちなんですかね?
(完)となってますが、次を期待させる終わり方www
夢膨らませて、妄想するのも楽しそうでいいかな!?
ストーリーを読まれてしまうとは、ワンパターンがばれてしまいましたね。大学教授は家の中では普通なんですね。サラリーマンよりは自由な人が多いから、いろいろな人がいるんでしょうね。作者も気付いていませんでしたが、おばさんと決めているんですね。お昼は、牛丼やお結びしか食べられないのに、おしゃれなカフェで優雅にランチをしているマダムの姿を見ると嫉妬してしまうのでしょう。いつも、たくさん読んでいただいて、ありがとうございます。
有難うございます、続きを書いて戴いて…なんだか読者の意向をくんで展開して
行くこういうのって凄くドキドキわくわくして素敵ですね~ ^^
大学教授(?)と医者のカップル、世間ではあるあるなのかもしれませんが……
普段からこむづかしい話してるのかなぁ~、とか思ったり(笑)
少なくとも大学教授は意外に家の中ではふつ~ですよ、私の知る限り。。。^^;
沖人さんのストライクゾーンの広さがよくわかりました…
アイドルから知的な熟女まで(笑)
でもおばさんはおばさんとはっきり区別しますよね、ちょっとそこは(-.-)
まぁ、これからも沖人さんの生態を興味深く調べさせて戴きます(笑々)
いずれにしてもそのお紅茶と手作りモンブランを食べてみたい…。
いつも読んでいただいている、ちょっと欲張りなみなさんの要望に応えなければと思って書いたけど、前回は、一話完結だったので、伏線も何もない。ちょっと強引な展開で失敗作だとタイトルにしました。もう、続きはないよ。(完)マークに注目するように。
おぉナルホド、JKとオジサンの恋愛はマズイということで、お母さんが出て来たんですね(*´ω`*)
医者と学者、なんだか似た者同士で意外と良い感じに進んでいきそうな気がしますね(^。^)