走馬灯
- カテゴリ:小説/詩
- 2019/06/26 10:19:41
ろうそくのぼんやりした光
くっきりと形を表さない
色とりどりに浮かぶ形は
一体どこに行ってしまったのだろう
まるで何もなかったように
そこには光があったはずなのに
本当はそこの足元にあったはずの
影に気づかなかった二人
絡み合ったはずの二人の想いは
ほどけるはずはないと思っていた
もしかしたらゆるみことを
恐れていただけかもしれない
冬の走馬灯は寂しすぎる
こんなに夜は長いのに
そんなものじゃ明るくなれない
だから今は照らさないで
あきらめるのも恋の道だと
誰かがいじわるにささやく
この夜はどこに向かったらいいのか
立ちすく詩ている今だけど
走馬灯は持たずに行く
ささやく声なんかいらない
黒くなった川の表をだた見つめて
あの日の二人をじっと見ていたい
きれいごとじゃない愛だった
そこから今遠く離れたとしても
美しさしか残らない
ゆるゆると回る走馬灯
子供の頃の影踏み遊び
お日様に照らされて
追いかけっこで踏みまわる
今はおぼろな光を見つめ
あなたの影を探している
どこに行ってしまったのだろう
まだたどりつけない
陽炎のようにあなたの面影が甦る
走馬灯から生まれて来る
一途な影をわたしは強く抱いた