沖人さんの部下のYです。若い頃は、「進め電波少年」に出ていた「なすび」に似ていると言われていましたが、今は、「堤真一」にそっくりだと思います。年齢は沖人さんの7歳下だと思います。

昨日、沖人さん、K君、あかりちゃんと高尾山に登ってきました。先週、高尾山に登る予定でしたが、沖人さんがビーフシチューを作りたくなって、中止になりました。

Yさん、K君、あかりちゃんと僕の4人で、吉祥寺の焼き鳥屋「いせや」で飲みながら、来週こそは高尾山に登ろうと誓いました。ところが、Yさんに予定が出来て、高尾山に行けなくなりました。

しかたなく、沖人さんを誘いました。4人で勝手に決めたので、嫌な顔をされるのかなと思いましたが、ひょいひょいついてきました。きっと、土日はジョギング以外にすることがないのでしょう。

K君が沖人さんのところに、明日、天気が悪そうですけどどうしましょうと相談に行きました。沖人さんは、K君に、関ケ原で、なぜ、石田三成が負けたか分かるかと、場違いな話をしています。

四重の水堀、総構えの大垣城に籠城していればいいものを、うかつにも関ケ原にのこのこ出かけたからだ。臨機応変に戦っていいのは、経験豊富な武将だけだ。若者は、一度決めたら初志貫徹することが大事だ。

明日は、雨が降ろうと高尾山に登ると決めたら、天気を心配する必要がなくなる。その作戦で行けと、沖人さんはK君に語っていました。K君は、首をかしげていました。臨機応変に、ビーフシチューを作りたくなったから中止にされると、配下の武将はたまったものではありません。

金曜日は、明日の登山に備えて早く帰ろうと思っていたら、沖人さんに麻雀しようと誘われました。悲しい宮仕えの身です。上司の誘いは断れません。有楽町のガード下の雀荘に行きました。

午後9時頃にあと1回やったら帰ろうということになりました。開始早々、東1局で沖人さんの点箱は空っぽになりました。すぐに終わって、今夜は早く帰れると思っていたら、沖人さんは、しぶとくゾンビのようによみがえり、トップをとり、終わると11時を過ぎていました。

麻雀が終わると、「明日、高尾山登らなあかんのに、こんな遅なってしもた～」とおっさんが言いました。僕は相模大野まで帰らなければいけません。思わず、首を締めたくなってしまいました。

土曜日は高尾山口で待ち合わせをしました。おっさんは、集合時間の1時間前に着いていたそうです。ヤフーの路線検索や駅スパートを使って、出発時間くらい調べたらどうかと思いましたが、黙っておきました。

K君とあかりちゃんは、真新しい色違いの登山靴、合羽と本格的な恰好をしています。先週、二人一緒に吉祥寺の石井スポーツで揃えたようです。僕も、登山靴に履き替えました。

ところがおっさんは、黒のデニムにタウンシューズ、シャツをズボンから出して街歩きのリュックサック姿です。秋葉原とちゃうぞと言いたくなりました。痛い目に合えばいいと思いましたが、残念ながら、山頂まで舗装や石畳でサンダルでも登れてしまう道のりでした。

山頂に着くと、おっさんは、リュックサックからあんぱんを取り出しました。「朝、焼いたばかりの出来立てや～」と言って、配り始めました。おっさんは、完全にハイキング気分です。

そういえば先週も、おっさんは、フルーツケーキやチョコケーキ、カップケーキを
焼いていました。登山が中止になったので、会社で配っていました。あかりちゃんに、「美味しい～、売っていたら買います。」と言われていい気になっているのでしょう。スイーツづくりの情熱を少しくらい仕事に回してほしいものです。

帰りは、舗装されていない山道コースを降りましたが、おっさんは、るんるん気分で先頭を歩いていきます。どうやら、城跡巡りが最近の趣味で、獣道になれているみたいでした。

山を降りるとケーブルカーの駅に隣接されているビアガーデンに入りました。おっさんは、1万円を出して、残りは払っといてと僕に言いました。どうして、僕には奢ってくれないのでしょう。おっさんは、中途半端にケチです。

高尾山口で解散にしましたが、おっさん、K君、あかりちゃんの住まいは、中央線沿線です。一緒に帰るのかと思ったら、おっさんは、温泉に入ってから帰ると言って、てけてけどこかに行ってしまいました。

ついつい、ビアガーデンでは、富士山登山の話題が出てしまいました。おっさんは、富士山に登る気が満々です。今度は麻雀に誘われても断ろうと思っています。