あじさい
- カテゴリ:小説/詩
- 2019/07/02 08:49:33
雨音はショパンの調べ
言い古した言葉だけど
あの時のあなたとの出会いは
まるでこんな風景だった
カフェで流れるショパンの調べ
あの日もこんな小雨の日だった
出会って 出会って また出会って
偶然だろうか
笑顔を交わす二人だった
そして
紫陽花を追って歩いた
紫陽花は一時の花
やがて枯れる日が来れば
太陽の季節になる
その一歩手前に作誇る
一緒に見に行ったね
紫陽花の花も百合の花も
季節を追いかけたわね
ミモザもひまわりも
あなたは花が好きだったわね
本当に好きだったのだろうか
私に同調しただけなのか
それでもよかった
あなたと歩けることが
花達よりも愛おしかった
やがてまた紫陽花の季節が来る
もうあなたはいない
なぜ今年は一人なんだい?
問いかけられてもむなしい
返すべき言葉がない
雨音はショパンの調べ
まだあなたが愛おしい
おぼろげになっていく恋の影を
振り払うことができるなら
今 またあじ債を追う
愛の光が紫陽花に濡れる
命あるものと知りながら
やがて倒れる日が来ても
愛の光は消してしまわないだろう
いくら恋しく追いかけていても
流れる曲は「別れの曲」でしょうか?
雨にぬれる紫陽花の花が
悲しく流れる旋律に光っている
想い出が一つ一つ消えていく
花びらを流れ落ちる雨の一粒一粒に