愛を捨てた日
- カテゴリ:小説/詩
- 2019/07/12 14:00:28
あの日もこんな日だった
あなたがこの浜辺にいたのは
その目は遠くを見ていた
かすかに吹く風に前髪を揺らしながら
丸くなった背をしていた
どうしたの
何があったの
私の知るべきではないけど
あなたの背中が泣いているようで
声もかけられなかった
私も同じ
愛を捨てに来たの
長すぎた愛が一つ
宙に舞うようで
そっと飛ばしに来たの
人のいない浜辺
一人きりだと思ったのに
先にあなたがいた
深い悲しみに
砕けた感情を捨てに
抱いてあげたくなった
その悲しみに満ちた背中を
知らない人だけど
あなたのことはよくわかる
こちらを振り向いてほしい
さよならをしたのね
愛を失ったのね
でもまた愛する人と来られるわ
その時を信じて
背中を抱いてあげる
かすかに吹く風が
少しづつ強くなってくる
私も風に髪をなびかせて
あなたにさよならをするわ
誰とも知らないあなたに
それは幻
潮騒が
やさしく慰めてくれる
今