バースデイ
- カテゴリ:小説/詩
- 2019/07/24 10:12:59
今日はあなたの誕生日
お祝いの小さなケーキがひとつ
キャンドルを立てて部屋を暗くして
お祝いをするわ
誕生日おめでとう
キャンドルの灯りをじっと見る
ゆらゆらとその身を
揺らしながら燃やし溶ける
一息で火を消して
暗闇の中で座り続ける
あなたはどこで祝っているの
誰と祝っているの
私のことは思い出しているの
忘れたのかしら
きっとそうね
長かった
あなたとの時間は
だから余計に寂しい
一人にしないで
かなわなかった
消えてしまったろうそくを取って
ケーキを切って
あなたと食べたかった
涙が止まらない
なぜいないの
思い出したくない
思い出せなくしたい
二人の道が分かれていたとしても
ついていきたかった
ろうそくの明かりを手にして
いいの 寂しくなんかないわ
もう心配はいらないわ
砂時計が時を刻む
白い砂糖を落として
もう紅茶を吸いすぎたレモンに
白い幕を張るように
それは主人公が居ないバースデー
キャンドルの灯りに
面影だけが揺らいでいる
純白の砂糖とあなたへの想いが
レモンティーの中へと溶け去って行った