橋
- カテゴリ:小説/詩
- 2019/07/29 12:24:35
夕暮れ時の橋のたもとで
偶然あなたを見かけた
声をかけられなかった
あまりに寂しそうな表情で
じっと下を向いていた
何か寂しいの
いつだって周りには人がいる
彼女もいるわ
いつも楽しそうにしているのに
何が足りないの
そう そうかもしれない
周りの人からは抜け出して
ふと一人になった時
自分に残ったものは何か
ふと考える時がある
例えば私はあなたが好きで
この思いを伝えたくても
そんなことはできはしない
だってあなたは彼女がいる
とてもいい人がいる
夕日が段々と落ちていく
あたりが薄暗くなってくる
あなたを見つけた時からずいぶん経った
まだ去っていかないのね
そんなに苦しいのはなぜ
例えばあなたも疲れることがある
はしゃぎあって笑いあって
本当は笑いたくないのに
無理にでも笑っている
でもいつもそんな気持なんかじゃあない
一人になりたかったのね
誰からも離れて
疲れてしまったのね
心がしぼんだのね
もう少し休んでいいのよ
真っ暗になる一つ前に
あなたは帰っていく
あなたを追いかけたいけど
それはできない
ため息を脱いだあなたの姿だから
もう見られなくなる姿
くっきりと目に浮かべよう
そしていつか川に捨てよう
私が私になったその時に
別れ・・・あなたはもう会ってはならない人
なのかも知れません
今、想い出を想いを
川に流す時が来たのかも知れません