Nicotto Town


安寿の仮初めブログ


留萌の街を歩いた後、留萌本線に乗車


7月30日の続きです。


ちょうど9時31分に、
留萌発深川行きの列車が出てしまったので、
次の列車12時18分まで、かなり待ち時間があります。

なので、留萌の街を歩いて、
黄金崎というところにある、
留萌市海のふるさと館まで行ってみることにしました。

しかし、暑い。
幌延は、薄ら寒い天候だったのですが、
留萌は、しっかり夏です。
霧はすでに晴れ、青空も見えて、蒸し暑い。

これまで眠り込んでいるかのような街ばかり通り過ぎてきたので、
それらの街と比べると、
留萌は目覚めている、
この地方の中核都市だけあって、
経済活動が行われているような感じがあります。

もっとも幌延を出発したのは、早朝。
留萌に着いたのは9時半だったので、
街全体が起きているように思われたのもしれませんが。


留萌は昔、ニシン漁で賑わった港町だったようで、
現在も大きな港が、駅近くに広がっています。
とはいえ、港に停泊している船は、
海上保安庁の巡視船だけ。
街も人通りが少ないのは変わりませんが…。


海のふるさと館の横にあった記念碑を見ると、
1945年8月22日、樺太からの引き揚げ船が、
留萌の沖合でソ連の潜水艦の攻撃を受けて、
沈没したり、大破したりして、
多くの犠牲者が出ていたようです。
宗谷岬と言い、ここと言い、
しっかりと戦争の爪痕が残っている…。

しかし、人間が生きていくということは、
煩雑な日常の中に埋もれていくことでもあり、
その中に過去の事件も埋もれ、忘れ去られていく。
歴史資料として残されていても、
それを読み解き、語り継ごうとする人がいなければ、
人々の記憶から消えて行くばかりです。

この留萌市海のふるさと館も、
高台から黄金崎と留萌沖を見下ろす眺めの良い場所に立ち、
留萌の歴史や風土を展示している場所なのですが、
入館者が少なく、留萌市も財政難なので廃止しようとしたところ、
廃止すると、ふるさと館改修のために発行した市債を一括償還する必要があり、
留萌市には、その資金的余裕がないので、
廃止せずに、管理委託制度によって細々と開館しているような施設。

北海道の自治体は、どこもそんな話ばかりのようです。
じり貧とは、このようなことを言うのでしょう。

海のふるさと館から海岸の黄金崎に降りる道があるので、
降りてみることに。

黄金崎は、小さな岩場になっていて、
売店が何軒か並び、岩場では親子連れが磯遊びをしています。

君の行く道は~♪ 果てしなく遠い~♫
「若者たち」を作曲した佐藤勝は、留萌の出身らしく、
海のふるさと館のも、この黄金崎にも、
佐藤勝を記念する部屋や碑が置かれているのでした。


留萌駅に戻り、
駅前通りにある観光案内所兼みやげ物店に入ってみると、
萌えっ子バッジなるものが…。

先ほどまで乗ってきた沿岸バスのキャラクターらしいのですが、
ここ留萌の「萌」と「萌え」をかけているようで、
キャラクターの名前は、増毛智恵理・暑寒ななか…と、
地元密着のネーミングです。



さて、留萌本線。

以前は、留萌から増毛まで運行されていたのですが、
その区間はすでに廃止され、
そして、2020年度、この深川-留萌間もついに廃止になります。

留萌港へ石炭や木材を運び、
留萌港からニシンを運び出した頃には、
それなりに重要な路線だったのでしょうが、
現在、貨物輸送は行われておらず、
港への引き込み線もすでにありません。

到着した列車から降りた人数は、10名程度。
昔は行き交う人で賑わったのであろう留萌駅も、
閑散とした趣きで、
それでも駅構内では立ち食い蕎麦屋が営業しているのですが、
駅を利用する旅行客がお客さんというよりも、
駅周辺の住人や勤め人が食堂として利用しているようで、
常連度が半端ない。

2両編成の列車を切り離し、
1両にして深川行きとなり、
12時18分出発。乗客は7名。
内、2名が途中駅で降り、5名が乗り込んできました。
数えられてしまう乗客の少なさです。

留萌本線は、車窓の風景という点では特に見所がなく、
留萌から石狩平野に抜ける峠も、あっさりと抜けてしまいます。

峠を抜けると、恵比島という駅に着くのですが、
この駅、「明日萌・あしもい」という駅名も表示されていて、
後で調べてみたら、NHK連続テレビ小説『すずらん』で、
この駅が「明日萌」駅としてロケ使用されたようです。
でも、見ていなかった私としては、特別感慨も湧きません。

石狩平野に出ると、
列車は遠くに大雪山系を眺めながら、
一面の田んぼや蕎麦畑の中を走り、
ほどなくして13時13分、深川に到着。
わずか50分程度の留萌本線の旅でした。

今日は、ここ深川から札幌に向かい、札幌で宿泊。
明日は札幌から、これもまた廃止の運命にある札沼線に乗ります。

深川駅前にある深川商工会議所の建物の垂れ幕には、
「守ろう 活かそう JR留萌線」の文字が…。
しかし、その呼びかけが実を結ぶことは、
ついになかったようです。

P.S. 札幌でスープカレーを食べました。
   15種類の野菜カレーを注文。
   あっさりと調理した
   15種類の野菜それ自体は美味しいのですが、
   しかし、野菜の味そのものを楽しむのなら、
   カレー味にしてしまうより、
   ポトフのような料理にした方が楽しめるような気がします。
   また、スープ状のカレーソースは、
   御飯にかけると、粘り気がないため、
   御飯とうまく絡まず、素っ気ない味になります。
   スープカレーは、なんかまだ
   改良の余地がある料理のように思いました。




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