Nicotto Town



おすすめしない読書②『遠い山なみの光』

押しも押されもせぬノーベル賞作家カズオイシグロのデビュー作

あらすじ;イギリスに住む日系の老婦人は長女の自殺を機にかつて自分が妊娠中知りあった不安定な生活を送る友人と過ごした長崎の日々を思い出す。(離婚後娘を連れ、新しい夫とイギリスに渡った自らの過去とアメリカ人の恋人を追って行った友人を重ね合わせている?らしい、のだが主人公自身の事情はさっぱり語られていない)

カズオイシグロのすごい所は主人公が重い過去を抱えている点、そしてほとんど主人公の視点によって過去が語られるため、〈事実が不明〉という点にあると思う。ひとりの人間の視野なんて狭いから、主人公の過去の行動に苛立ちを覚えても人間とはこういうものかも知れないというリアリティーが生まれる。

しかし、多くが老婦人の長崎での思い出なのに、主人公を含め回想シーンの登場人物すべてが日本人の皮をかぶったイギリス人であることも歴史大好きな私としてはむずがゆい内容でした。多分昭和20年代後半なんだろうけど、イヤ、当時の日本でこんなことないし、と突っ込みつつ読了。
主人公が、どう考えても詐欺かヒモのアメリカ人と付き合う友人にはっきりした批判をしないで終わることに、イギリス人って他人の生活に踏み込まない、苦言を呈さないのだなと妙に感心しました。

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2019/08/18 12:55
プロ作家様が言うところのデビュー作は素人作家チャンピオン作品ということで
ノーベル作家も人間よのおと安心して読むことができるかもしれません



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