いだてん~東京オリムピック噺~ 感想文
- カテゴリ:テレビ
- 2019/09/30 18:34:45
いだてん~東京オリムピック噺~ 第37回「最後の晩餐」
NHK 日曜夜8時~
▼反対論
今回は、日中戦争が始まり軍事国家の道を進む日本において、オリンピックの開催を
反対する声が高まり、田畑は悩んだ挙句、今の日本はオリンピックを開催するにふさわしないと
結論付けたものの、嘉納は断固開催を主張、カイロで開かれたIOC委員会に出席し、
日本でのオリンピック開催を改めてとりつけましたが、その帰途の船上にて急死というお話でした。
田畑も最初は、どんなことがあってもオリンピックは開催すると言い切っていたのですが、
最後は妻が作ったキュウリ尽くしの料理を食べ、気が変わったようです。
というか、5.15が起きた当時から、少しずつ違和感が鬱積していて、
オリンピックを開くと言っても、どこか歯切れの悪いところがあったのでしょうね。
▼陰の主役
しかし嘉納はそんな田畑の心変わりを聞いても、開催をあきらめませんでした。
なぜそんなに嘉納がオリンピックにこだわったのか。
それはやはり、年齢もあると思います。
当時77歳で、オリンピックが開かれるのは3年後なので80歳。
それすらギリギリ、それより後となるともう、生き続ける自信がなかったのかもしれません。
150歳まで生きると豪語していたこともありましたが、
やはり寄る年波には勝てそうにないことを、自覚し始めていたのかもしれませんね。
まだ先のある田畑と違い、この機会を逃せば後はない。
その気持ちが老体に鞭打ち、カイロまでの長旅を耐えさせたのでしょう。
またIOC委員になってから30年、長年の夢の「長」の重みも違います。
そして恐るべし、散々不利な状況にも関わらず、委員会を説得して開催の確約を取り付けました。
やはり嘉納という人物そのものが、委員たちに愛されていたのは間違いないでしょう。
ですがその無理が祟ったのか、帰路の太平洋上で、風邪を引いて急死してしまいます。
案外スポーツをやっていた人って、ケガはすることはあっても病気知らずで、
死ぬ時はポックリというパターンがありますが、嘉納の死はまさにそれですね。
まだオリンピック開催に賛成だった頃の田畑が、「嘉納さんの目が黒いうちは…」
と言っていましたが、ここにきて黒くなくなってしまったわけです。
日本でのオリンピックが実現するのを見ないまま、旅立つことになってしまった嘉納は、
さぞかし無念だったでしょうな。
そして主人公が前編と後編で交代するこのドラマで、初回からずっと出続けていた、
まさに陰の主役とも言える嘉納が降板してしまったのは、ドラマにとっても痛手です。
まぁもうこれ以上視聴率が下がる心配をすることもないかなと思うので、
そういう意味ではあまり心配してませんけど、存在感がありすぎた人だけに、寂しくなりますよね。
▼選手の気持ち
一方の四三は、弟子の小松が活躍する中、昔の弟子の河野がオリンピック反対論を
唱えていることに衝撃を受け、朝日新聞に怒鳴り込みに行きます。
河野が新聞社を辞めて政治家になったことを知らなかったのでしょうか。
それとも記者をやりながら政治家もやってると思ったのかな。
その時はまだ、オリンピック開催に賛成していた田畑と会話するのですが、
これってかなり久々の再会で、主人公2人のまともな会話は初めてではないでしょうかね。
この後田畑は反対派に転身、四三はそのことをどう思うでしょうか。
しかし時代はオリンピックなど許せない方向にひた走り、
唯一の歯止めだった嘉納も天に召されてしまいました。
無念でしょうけどもうこれは、あきらめるしかないでしょうね。
四三の主張を聞きながら、1980年のモスクワオリンピックを思い起こしたのは、
昭和世代には多かったのではないでしょうか。
ただなんだろうな、戦争はもちろんいやだし、スポーツを自由にできる環境は人間にとって
理想的だと思う気持ちはあるのですが、こういうの見ているとつい
モヤモヤした気持ちになってしまうのは、持たざる者のネガティブシンキングなのでしょうかね。
▼長いお別れ
これ、調べたら今年公開された日本映画の情報ばかり出てきて、頭上に「?」が並んだのですが、
どうにももっと世界的に有名なものがあった気がすると、もう少し調べてみたところ、
レイモンド・チャンドラーのフィリップ・マーロウが主人公の人気探偵小説シリーズの中に
「ロング・グッドバイ」というタイトルがあり、1973年に映画化もされておりました。
「ロング・グッドバイ」というタイトルがあり、1973年に映画化もされておりました。
最初に発刊された日本語版の邦題が「長いお別れ」なので、恐らくこれですね。
日本でも舞台を国内に焼きなおしたドラマが放映されたことがあり、私それ見たわw
こちらもタイトルは「ロング・グッドバイ」でしたけどね。
ちなみに映画も、最近発刊された日本語版もタイトルも「ロング・グッドバイ」です。
予告を見る限り、戦争が激化、りくと結婚した小松が、生まれたばかりの赤ん坊を残し出征、
どうやらこの赤ん坊が…というお話になりそうですね。
グッドバイは小松に向けた言葉なのでしょうか、それともオリンピックにでしょうか…。