地下鉄
- カテゴリ:小説/詩
- 2019/10/29 11:00:08
あなたに出した郵便が戻ってきた
「あて先不明」の赤いゴム印
これでもうあなたの居場所が消えた
メールからも消えた
ラインからも消えた
今日は雨の月曜日
窓ガラスに映る私の顔
どんな表情に見えるだろうか
遠くを見つめたままだけれど
その目には何も映らない
愛って何だろう
2年間を駆け抜けてきたけど
結局は別々になった二人
あまり悲しさは感じない
心の中に穴が開いただけ
その穴をのぞいたら
あの日の私たちが見えるだろうか
きらめいた季節も
木の葉舞う季節も
肩抱く二人が見えるだろうか
一緒に歩きたかった
ずっと ずっと ずっと
それほど愛していたのに
あなたの心が見えなかった
指の間からするりと落ちた
地下鉄は走る
窓の外を黒い色に染めて
話す人など一人もなく
聞こえるのは電車の音だけ
暗闇に轟音が走る
もう戻れない
きらめいたあの日には
でも捨てたくない
まだ抱いていたい
ぬくもりが消えるその日まで
地下鉄の轟音の詩にしては、とても静かな詩ですね。
そう思います。
セカンドさんの詩は、心に染み入りますね。
見習いたいです。
地下鉄は轟音をなびかせ突っ走る
そしてそれは遠く闇の中へと消えていく
乗っているのは私の肉体ではない
それは私から抜け落ちた魂と
消えかかったあなたのぬくもりだ