タケシの武勇伝…(13)
- カテゴリ:自作小説
- 2009/10/10 01:45:46
「北野くん、ぼくは君のファンなんだよ…今でもね」
目まで紅くして、シンさんは言葉を続けた。
「町内にすごいピッチャーがいるって聞いてから、ずっと君のこと注目してたんだ…ぼくはこの通りの体でスポーツできない。だから、逆にスポーツのできる人にすっごく憧れるんだ……君がケガしたって聞いた時は、ホントにショックだったよ。でも、学校で君を見た時に確信したんだ。ぼくが君の力になれるんだってね!」
シンさんは、ここまで一気にしゃべると急に咳きこみ始めた。
シンさんの様子を見たタケシは、さすがに怒りが吹っ飛んでしまった。シンさんの咳がいっこうに収まらなかったからだ。一瞬、オロオロしたが、すぐに助けを呼ぼうとドアの方へ駆け出そうとした。
だが、シンさんは手を振ってタケシの行動を制すると、咳きこみながら壁の大型機械のボタンを押すようにと指をさした。
ポチっと、タケシはボタンを押した。
すると、ものの10秒ほどで白衣を着た男が2人駆け込んで来た。そして、シンさんに寄り添っていたタケシを突き飛ばし、大慌てで手当を始めた。
男の一人が前かがみになったシンさんをむりやり上に向かせ、その口に酸素吸入器をあてがった。そして、もう一人が医療ケースから注射器を取り出した。
尻もちをついたままのタケシは、ただあっけに取られてその様子を見ているだけだった。
※※つづく※※
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