Nicotto Town



父の一時外出

12月30日に、母から「お父さんが正月に一時外出するかも」と連絡がきた。
父はクリスチャンなのだが、忙しいので滅多に現れない主治医がクリスマス後に来て「クリスマスは外出なさらなかったんですか?」と聞いたらしい。
それを聞いて「おや、言えば一時外出できるんだ!」と父は理解したらしい。

そうだったのか。
と私も思った。
なんとなく、一時外出とか帰宅って、主治医のほうから「やってみます?」と問われてからできるんだと思っていた。

母が病院に問い合わせたら、元旦の9時過ぎから夜の8時までならOKが出たとのことだった。
父の希望は教会の元旦礼拝出席だ。
どこの教会もそうなのかは知らないが、両親の行く教会は元旦礼拝がある。
初もうでの代わりらしいが、ノンクリスチャンのうち家族も、この元旦礼拝だけは出席する。
(そしてなるべくたくさんの人とあいさつして、ちゃんと来ているよーとアピールする。私にとっては親孝行の一環である)

教会の皆さんは「首の骨を折った」父のことをずいぶん心配して見舞いに来てくれたり、お祈りしてくださっていた。
でも手術が成功したって言っても首の骨だし、きっとマヒが残ったりして、もうこの教会には来られないんだろうなあと思っていたことだろう。
正直、私も思っていたし。
だがしかし、父は戻ってきた。
私たちは当日大幅に遅刻してしまったので見ていないが^^;元旦礼拝の後、毎年記念に全員で写真撮影をする。
その時立ち上がって前に進んできた父に気づいた牧師は、本当に
「クララが立った!」
級の驚きだったらしい。
普段とても落ち着いていらっしゃる方だが飛び上がって「〇さん!?」と叫び、感謝の祈りを追加してくださったそうだ。

父は実家に戻り、おせちをたらふく食べ、お屠蘇を粘って1杯だけ飲み、ちょっと昼寝し、また病院に戻っていった。

ありがたいことだ。
けれど、翌日見舞いに行って彼の日記を見てみたら(彼は日記書きを趣味にしている)「(母の名)と(妹の名)に両脇を抱えられないと最後は歩けなかった。どこに行くのかわからなくてぼーっとしていた。そうしたら病院のベッドが見えたので、ああ、ここが自分の帰るところなんだなと思った」と書いてあった。

父は私の30年後を歩いている。




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