大きいことはいいことだ(前編)
- カテゴリ:自作小説
- 2020/01/25 18:29:04
人間の発生と進化につきまとういっさいの人間的な欲望は、結局のところ「認知」を求める欲望の機能を果たしている。そして、人間としての実在性を明るみに出すために生命を賭けるというのは、こうした欲望のために生命をかけることである。
コジェーブ『ヘーゲル読解入門』
先週は大規模なシステムのメンテナンスが2回あった。更新予定のWindowsの修正プログラムで不具合が生じないか、事前にテストするためだった。コインやアイテムは、リアルタイムでバックアップしているが、ニコ店や庭の状態は、バックアップを取っていない。
更新プログラムで不具合が起こらないか、テストをするために、一度、バックアップアップをとる必要がある。バックアップは、オフライン(サービス停止)でしか作業ができず、膨大なデータのため長い時間がかかってしまう。
そして、他のSNSサービスが終了し、登録者数が増えた。サーバーへの負荷を減らすために、冗長な処理を行う不良資産とよばれる古いプラグラムの削除や修正を行った。Windowsの修正プログラムの配信に間に合わせるために、作業が一週間に二日必要になった。
若い頃は、なんともなかったが、40歳を超えた身体には、一週間に二日の徹夜はつらかった。おまけに、ユーザーからは、「メンテのせいで、キラキラをとり忘れた」、「変則的なメンテのせいで、調子が狂っちゃう」、「メンテ長すぎ」とかの批判ばかりだ。
一か月以上前から告知しているのに、何を言っているんだと思う。メンテが終わった後も、ぼーっとして、こちらの方の調子が狂っていた。何もする気が起こらなかったが、家に籠らない方がいいと思い、九十九里浜まで車を走らせた。
冬の海は人もまばらだった。日も傾き始め、サーファーも海から上がっていた。砂浜に座り、煙草に火をつけた。波の音、潮の香りに包まれる。冷たい風が肌を刺し、五感で自然を感じる。
ゆっくりと、心の中が空っぽになっていく。寒くなり、立ち上がろとしたときに、三脚にカメラを据えて海を撮影していた青年に、「そのまま、座っていてくれませんか。」と声をかけられた。
もう一度、砂浜に座り、煙草に火をつけた。時々、青年の方を見たが、スマホをいじっている。暇だし、徐々に傾いていく夕日は美しく、しばらく、座っていることにした。
夕日も沈み、空が茜色から紫色に変わった。最後の一本の煙草を吸い終えると立ち上がり、青年の方に歩いて行き、寒くなったから帰ると言った。すると、青年から、お礼に珈琲をご馳走するから、ついて来いと言われた。
喫茶店は、防波堤のすぐ裏にあった。青年がドアを開けて、店内に入ると、綾瀬 はるかに似た女性が、青年に、「お帰りなさい。」、僕には、「いらっしゃいませ。」と言った。
椅子に座ると、青年は、「お姉ちゃん、珈琲2つ」と綾瀬はるかに声をかけ、カメラをいじりはじめた。
「すいません、煙草を置いますか?」
「ごめんなさい。置いてないけど、お客さんが忘れていった煙草があるわ。これでいいかしら?」
綾瀬はるかは、珈琲と一緒に、ラークのhybridを運んできた。僕は、ラークを手に取ると、火をつけようとした。
「僕、煙草の匂い、嫌いなんですけど。」と、顔の前に手をかざし、青年は露骨に嫌な顔をした。
「俺も煙草の匂い嫌いだけど、煙草は好きなんだ。」と、気にせず火をつけた。
「臭いし、身体に悪いし、それにお金を使うなんて、馬鹿みたいじゃないですか。」
「馬鹿なことができるのが、人間なんだ。いい子ばかりだとつまらないだろ。」
「何を言っているのか、分からないです。」
「動物は生きることしか考えていない。人間は、名誉のために、命をかけることができる。プラトンは『気概』と言って、マキアベリは『栄光』、ホッブズは『虚栄』、ルソーは『自尊心』、ヘーゲルは『認知』と言った。」
「それと、煙草の何が関係するんですか。」
「関係ない。」
「何、馬鹿な事言っているんですか。」
「馬鹿なことができるのが人間だ。」
「他の人の言葉を借りて、納得させようとするの格好悪いと思いますよ。大人だったら、自分の言葉で話して欲しいですね。」
「俺は、スマホをいじりながら話す方が、格好悪いと思うよ。」
青年は、話してる間も、LINEでメッセージの交換を続けていた。
「ヘーゲルは『認知の闘争』と言ったけど、承認欲求と言った方が分かりやすいだろう。君がLINEでしているのは、承認欲求どころか、嫌われたくない、仲間外れになりたくないという消極的な行動じゃないのか。」
「それのどこが、悪いんですか。」
「『今日は何が食べたいの?』と聞かれたら、『そんなにお腹は減ってないけど、がっつり系でもいいよ。』とか、相手の選択の幅を狭めないように、空気を読んでばかりじゃないか。」
「空気を読むのは、社会人に必須のスキルでしょ。」
「人に嫌われるのを恐れたら、心から信頼できる関係なんて築けない。怖がって、表面的な関係しか築けないと、告白すらできないじゃないか。」
「おじさんは、告白できるんですか。」
「俺は...できない....」
「ちょっと、見てもらっていいですか。」
青年は、カメラの液晶ディスプレイを、こちらに向けて、再生ボタンを押した。
「タイムラプスって言うんですよ。」
写真が、コマ送りで流れていく。太陽が水平線に近づくにつれて、空の色が変わっていき、空自体も、太陽から遠いところは青く、近づくにつれてオレンジへとグラデーションが色濃く表れていく。
太陽が水平線に差し掛かると、海に黄金色に輝く道が現れた。波打ち際まで届いていた黄金色の道が、徐々に短くなっていき、太陽が沈むとともに、水平線で燃えるにように輝いた後、消えた。
「どうですか?」
「あぁ、綺麗じゃないか。」
「月並みな表現ですね。おじさんが、いない方が良かったかもしれません。忠告に従って、人に嫌われるのを恐れない正直な発言ですけど。」
「時と場合によっては、空気を読むことも大事だ。」
青年は、「ありがとうございました。」と言いながら立ち上がると席を立った。僕は、煙草に火をつけた。
つづく
そう、伝わっているので、合格。
継続こそ、力なり。
「もう少し早く生まれていたかったなぁ~元禄4年くらいに」
「めちゃかわいい子供のためならたばこをやめてくれるかしら」
「(元禄4年生まれとか言って)そうやって女子の気持ちをもてあそぶ」
って書きたかったです 大体伝わってたみたいでよかったです
石でも紙でも大事にするわ~<もう古文にするの疲れた(-_-;)
よくできました。「まほしかり」は、~~したいだから、もっと早く生まれたかったのでしょうか。しかし、若さは、何ものにも代えがたく、失いやすいものなので、お肌の手入れ、美容に努めましょう。
煙草を止めろと言われても、それは、蟹に横に歩くなと言うのと同じなのだ。少しぐらいは、わがままを許して欲しい。
和歌には長歌もあるけど、五七五、七七が基本。言葉数を決めていた方が、きっと、作りやすい。
乙女の心を歌ったのならば、こんなの。
「信濃なる筑摩の河のさざれ石も 君し踏みてば珠とひろわむ(東歌)」
~あなたが触れたものだと思うと、石ころもお宝になるわ~
そうとて女の心地をもてあそぶかな
場違いだったら消してくださいね(*‘ω‘ *)
2つ出来ました('ω')ノ
いますこしとくうまれたらまほしかりき
いとかなしこがためならばたばこをやめむや
二コタの運営さんは、日夜、タウンが重いや、キラキラがクリックできない、ちっともメガらないなどの苦情に耐えて、システムの管理をしています。たまには、みんなで、感謝をしましょう。もう、愛煙家は、居場所がなくなりました。九十九里浜に行くしかありません。
告知は知っていてもね~みたいな気分でニヤニヤしました( ̄▽ ̄)
その喫茶店は、客の忘れたばこから、禁煙ではないんですよね?
だとしたらその青年は、人に嫌われる行為をしているのでは?、
お姉さまの営業妨害をして、やはり家族に嫌われる行為をしている事になるのにな~、
と思いました。
この小説は、そういった考えも近い未来は、無理になっていくのかもと、愛煙家に同情しました。
うどん5玉、食べられるかどうか、挑戦してみます。
うどん、5玉も食べられたのね^^
いい子、いい子♪ ヾ(*´▽`*) ナデナデ
読書だけでなく、写真撮影の趣味も持たれていたのですね。海は、変化があっていいですね。季節によって、水の色が違うし、風が吹けば波がたったり、穏やかだと光を反射したり、見飽きないです。流行も、パタパタと煽られて、消費のために作られたものですね。
あずさちゃん
これは、創作小説。自分の推理では、メンテが続いた真相は、二コタの社員全員参加の新年会が立て続けに開催されたからだと思っている。誕生年は、元禄4年だ。枕もとに刀を置いておいて寝るように、いつも、刀を身に付けているので、二コタでも手放せないのだ。
でもって、40歳超えてるってまじすか?!
まぁ勝手に33歳くらいだろって想像してたんですけどー
そうするとあと7年経つと50歳なっちゃう可能性もあるってことですよねΣ(・ω・ノ)ノ!
Win7更新の「最後の置き土産」に、
壁紙の設定を消し去る・・・と言うのがありました。
使いやすいOSなのに何でも新しくすれば良いものでもないけれど
それが「消費」の原理なのでしょうね。
僕も近所の海岸で写真を沢山撮りましたが、余計な演出などせずとも
良い写真は撮れるはずなのです。
「空気を読める」と思い込んでる莫迦者のなんと多いことか・・・。
ハマっ子かと思っていたら、湘南でブイブイいわせていたのですね。湘南は賑やかで混んでいるイメージ。それと、サザン。九十九里は何もなくて、カセットコンロを持っていって、蛤とホンビノス貝を買って、焼いて食べました。タウンはこれまで、12時まででしたが〜という表示を、次のメンテは〜に変えてもいいかもしれませんね。
「綾瀬はるか」ちゃんの登場で 作者の欲が見えたような気がしますw
九十九里の浜からそんなにきれいな夕日が見えるんですね~
私の人生 海=湘南海岸 だったので
他の海は浮気をしているようで落ち着きませんでしたが・・・
もう、いい歳ですし、こだわり根性は捨ててもいいかもですね
今度 季節外れの海を見に 九十九里に行ってみますw
それにしても ニコタメンテナンスの告知は・・・
タウン内に掲示板?伝言板?みたいなのを作って
そこでも告知をお願いしたいものです
ついでに、そこにキラキラを置いてくれると 私でも気が付くはずなのでw
そう、子供は褒められて育つのです。自分が、ひねくれているのは、褒められることがなかったからだと思います。れんげさん、たくさん褒めてください。褒めるところは、うどんを5玉、食べることができることです。
人間関係が介在してくるので、なかなか悩ましいですよね。
ニコタでいいね♪をいただいて、ささやかに満たされるくらいが良いかな(^^♪
続きを楽しみにしてます!
昔は、親戚の中に一人はいた、空気の読めないおっさんを目指さないといけません。もう、世間の評価など気にせずに、我が道を突き進みます。
え~、mさんは、この前、旦那さんの煙草が臭いと、文句を言っていたような気がします。次女ちゃんですね。縁結びの八坂神社の霊験に期待しましょう。
3人の子どもには「箸をちゃんと持てる人と結婚するように」と何度も言ってましたが
第1子→OK
第2子→(´Д⊂グスン3世代同居家庭で育ったにもかかわらず、箸をちゃんと持てない人と結婚
箸なんか言ってられません。結婚したからOK
第3子→どんな人と結婚するかなぁ~~箸なんて気にしないどうでも良いと言ってるから・・・
まぁ結婚さえすれば箸はどうでも良いけど
煙草・・・?・・・周りが吸っても我慢できます!
今まで、ガラケーだったとは。これで、仕事が忙しい時は、すぐに、二コタをさぼるたまちゃんも、イン率が高くなるでしょう。小さなパソコンを持ち歩いているのと一緒だから高いね。電池が数年で劣化してしまうので、買い換えたくなってしまう。それと、そのちに5G対応に変わってしまいそう。アプリを入れたら、電子辞書を持ち歩かなくてよくなるので、便利になると思うよ。
邪魔者が去ったということは、いよいよ綾瀬はるかと何かあるのか?!
私はそろそろ本気でスマホに変えなくちゃいけないので、
今日はいろいろ機種を調べてました。
スマホって高いのね。前のPHSなら10年使ったけど、スマホはそうも行かないでしょうしねえ。