ティラミス(前編)
- カテゴリ:自作小説
- 2020/02/06 07:42:36
新聞を読みながら、朝食のトーストを食べていると、娘から、「ジャムの蓋を開けて。」と言われ、アプリコットジャムの瓶を渡された。トーストには、マーガリンが一番美味しいと思う。
大学生になり、ダイエット、ダイエットと言いながら、ジャムをつけようとする娘の終始一貫しない言動が気になるが、口に出すと口喧嘩がはじまり、朝から不愉快になるだろうから自制した。
瓶を手に持ち、蓋を開けようとしたが開かない。ジャム会社もここまで固く封をしなくてもいいと思う。手のひらが赤くなり痛い。これ以上、無理をすると父親の沽券にかかわるので、「こういう時は、蓋にお湯をかければいいんだ。」とジャムを真由美に返した。
それを見ていた妻が、瓶を腰に当てながら右手に力を入れると、ポッっと軽く高い音がして蓋が開いた。娘が「ママ凄~い。」と言った。父親の沽券に関わる。娘も妻も何も悪いことはしていないのは分かっている。しかし、朝から不愉快である。トーストを残して、会社に向かった。
珍しく残業が無く、早く家に帰った。妻が夕飯の準備をしている。家族一緒の夕飯は嬉しいものだ。仲間を表すcompanyの語源はパンを分け与えるという意味だ。ともに食事をするのは大事で、初めてのデートも大抵は食事に誘うことから始まる。
妻が夕飯の準備をしている間、リビングの炬燵に入り、読みかけだった新聞を開いていると、炬燵の上に耳かきが置かれていた。ティッシュを出して、耳をコチョコチョしていると、娘が階段から降りてきた。
「パパ、どうして私の耳かき使っているの。汚い。キモイ。下品。」と叫んで、私をにらむと、耳かきを持って自分の部屋に戻って行った。
どうして、耳かきを使ったくらいで、口汚く、罵られないといけないのか。耳かきは、家族共用じゃないのか。その日は、companyには、程遠い無言での夕飯になった。
夕飯を食べ終え、炬燵に入り、新聞を開いた。気分が悪く、社会面や経済面を読む気が起こらず、文化面を読んでいたら、父と娘の関係について書かれていた。女子大生101人に聞いた、父親に感じていることのアンケート結果だった。
父親を汚いと感じるのは、101人中21人、キモイは12人、下品は6人。世の中のほとんどの父親は、それどほど娘に嫌われていなさそうだが、全てにあてはまる私は、どうやら珍しい父親のようだ。
妻が、珈琲を持ってきてくれた。どうして、こんなに出来た妻から、くそ生意気な娘が生まれたのだろうと思うが、おそらく、原因は私にあるのだろう。妻も炬燵に入ってきた。
「パパ、真由美に彼氏が出来たみたいなの。大学の同級生らしいけど、一緒に旅行に行くと言っているの。私が言っても聞かないから、叱ってくれないかしら。」
妻は、出来た女性だが、空気が読めていないかもしれない。私が、注意したら、火に油を注いで、駆け落ちにまで発展するのではないだろうか。
それに、若者の恋など、大人には理解できない。イソップ童話の最初に出てくるのが『かえるの王様』だ。末っ子の可愛らしいお姫様は、鞠で遊ぶのが大好きで、今日も池のほとりで、金色の鞠を蹴って遊んでいた。
すると鞠が池の中に落ちてしまった。お姫様は泣いて、何でも望みを叶えてあげるから、鞠をとってきてと言った。すると、池から汚らしいカエルが現れて、「僕と友達になってくれて、一緒にご飯を食べて、一緒に寝どこに入ってくれるなら鞠をとってくる。」と言った。
お姫様は、適当に「いいよ」と言って、鞠を受け取ると、カエルを置き去りにしてお城に帰った。すると、ある日、カエルがお城にやってきて、「お友達になって。」と言った。
お姫様は、嫌がったが、父親の王様が、「約束は守らないといけない。」と言った。カエルが「一緒にご飯を食べよう」と言ったが、お姫様は嫌がった。また、王様は、「約束は守らないといけない。」と言った。
カエルが「一緒に寝どこに入ろう。」と言ったが、お姫様は嫌がった。また、王様は、「約束は守らないといけない。」と言った。
お姫様は、一緒に布団入ったカエルと掴むと、思いっきり壁に投げつけた。すると、カエルは魔女にかけられていた魔法が解けて、王子様の姿にもどった。お姫様と王子様は喜んで、手を取り合って、一緒に寝どこに入った。
そんな話だが、王子が自分を潰そうとしたお姫様を愛することができるのも理解できないし、さっきまでのことをすっかり忘れて寝どこに入るお姫様のことも理解できない。
若者のことは理解できないし、娘がお姫様のように、素直に父親の聞くようにも思えない。私は、困ってしまった。
つづく
多くの家庭は、仲良しかもしれませんが、中には、迫害を受けているお父さんもいるでしょう。そうじゃなければ、飲み屋がこんなに繁盛しているはずはありません。今日も、おうちに帰りたくお父さんが、新橋で酔っぱらっています。スズランさんのところは仲良しでいいですね。
思わず、こんな家庭嫌だwwと思ってしまいました(笑)
出来た嫁と言うけれど、娘の耳かきを使った事で、
禁句を堂々と言うのって、今時だけど、カエルの物語もだけど、
私の家族には近寄るんじゃね~と思いました(〃▽〃)ゞ
耳かきは、月に一、二度のひんどが、いいんだって。耳垢は、自然に奥から出てくるから、入口のところだけ、綺麗にすればよくて、奥の方やりすぎはいけないんだって。
耳のいじりすぎで外耳炎や中耳炎って言われたらしいです
だから心地よいって言われてもちょっとなー
月曜日に作ったティラミスは、冷蔵庫の中で眠ったまま、まだ、一口も食べてない。4つ買ったケーキもまだ、2つ残っている。作ったり、買ったりするのは好きだけど、食べるのが追い付かない。きっと、小説のティラミスも忘れさられる気がしてきた。
名古屋城のお堀にいると思うけど、この寒さでは、冬眠をしている可能性がある。ひょっとしたら、卵になって、ゼリーのようなものに包まれているかもしれない。春がチャンス。捕虫網を持って、お堀に行こう。それか、池の水抜いちゃいましたの時だと、100匹くらい捕まえることができて、ハーレム状態です。
たまちゃん
思春期だから、マロンがやめられない止まらないのですね。お父さんを愛する秘訣をお教えします。お父さんをスヌーピーだと思えばいいのです。お父さんが、可愛らしく思えてくるはずです。大好きなマロンデニッュを上げると、しっぽを振ってくれるでしょう。
あずさちゃん
耳かきの心地よさを知らないとは。麺棒会社の調査では、マイ耳かき派と一家で共有派は半々。壮絶な主導権争いです。男性は、耳かき64.4%、綿棒66.8%、自分の指11.2%と、耳かきと綿棒の両方を使っている人が多いです。女性は、耳かき61.3%、綿棒72.5%、自分の指9.7%。女性が、指で耳の穴をほじっているところは想像したくない。
お姫さまが、カエルとの約束を反故にしようとしたんで、父である王様が約束は守らないといけないと
諭したんでしたね。。
カエルになった王子が元に戻ったのはよかったけど、その後、心があんまりきれいじゃない姫とカップルになれる王子もよく分からない。。。
どっちにしても、変な話だったwww
ティラミスはどこに??
混乱してきたーーー
うちでは父は兄に厳しいけど わたしと妹には優しいから好きですよ
綿棒しか使ったことなくて知りませんでした
瓶は回りをスプーンで2~3発ぶん殴ると開くよ~
意外にツボで笑っちゃいました。外見を決め手にする若い2人ってところでしょうか(笑)
思春期の娘に嫌われるお父さんはかわいそうだけど、
しかるべき時にそういう反応をするのが大事だなと最近思ってます。
私は若い頃、全然父親に嫌悪感がなかったの。今の方が嫌悪感とか反発感があるの。
きっと思春期真っ只中なんです、私。きゃぴ♥
うーん
カエルいないです。回りに。( ̄。 ̄;)
娘さんと友達みたいなお父さんもいるんですしょうね。お父さんは、みんな娘さんと友達になりたいと思っている気がします。しかし、娘さんがそう思っているかどうかが、問題ですね。
環謝さん
王様は約束してない。お姫様が自分で約束したの。グリム童話集の巻頭を飾っているので、グリム兄弟一推しだと思いますが、なぞですね。
genzoさん
約束を破っては、いけません。王様に怒られます。genzoさんは、戦国武将のようですね。大河の麒麟にハマっています。出だしから面白いですね。
wineさん
日記は思いつきで書いているので、危険です。特に、今朝は出社前に慌てながら書いていたので、電車の中で、どうして娘の旅行について書いてしまったのか、話を続けるのが難しくなったではないかと後悔してました。そうな風に、思いつくままなので、ティラミスが瓦煎餅になる可能性もあります。
後編楽しみにしてます^^
父親の威厳よりも友達になる事が良いのでわ無いのでしょうか
上手くコメント出来なくて続きを楽しみにしております。