ゴタの過去の日記2010年5月5日
- カテゴリ:日記
- 2020/02/13 09:05:34
2010年 5月5日(水)
「ははは、お客さん。
私のタクシーを甘く見てもらっては、困りますね。
このボタンを押すと、空に飛ぶのですよ。
えいっ。プシュー。」
「うわー、飛んだ。すごーい。」
「すごいでしょ、お客さん。
あっという間に京都駅に着きますよ。
ほうら、もう着きました。
じゃあ、こちらのボタンを押して、
地上に降り立ちましょう。えいっ、プシュー。」
「あれっ?降りないぞ。
ああっ、逆に上がっていくぞ。
ああ、大変だ!ああっあー..... 」
「ああっ、どちらのボタンも、
「上昇」と書いてあるぞ。
どういうことだ。」
「運転手さん、
そりゃ、こっちが聞きたいわ。
あと5分で、「のぞみ」が出てしまうがな。」
「お客さん、今、
スーパージェッターに問い合わせますから、
しばらく、お待ちください。」
「おい、どんどん、上がっていくやないか。
もう、成層圏まで来たぞ。」
「お客さん、せっかくですから、
ちょっと、空の旅をしましょうよ。」
「ばかもの。私は、3時間後に、
東京本社の会議に出なくてはならんのじゃ。
さっさと、戻せ!」
「ああ、お客さん。頭の上を見てください。
お月さんが、
空いっぱいの大きさになってきました。」
「うわああ。」
「行きましょう。お客さん。月まで行きましょう。」
「なんちゅうこっちゃ。」
カクン。月面に到着。
「ああ、あそこに、アメリカの国旗があるぞ。
誰かいるのかな?」
「運転手さん、あれは、昔、アームストロング船長が、
立てた国旗ですわ。」
「そしたら、
その隣に日本の国旗を立てて帰りましょう。」
「国旗なんか、なんであんねん?」
「じゃ、鯉のぼり上げて帰りましょう。
きょうは、端午の節句やし。」
「好きにしなはれ。」
「お客さん。ここから、もう一度、
上昇ボタンを押したら、今度は、地球に向かって、
飛んでいくんとちゃいますか?帰りましょう。」
えいっ。プシュー。
「おおお、えらいこっちゃ。
今度は、火星に着陸するぞーっ!
方向を間違えたかーっ!」
さあ、あほな想像も
ええかげんにして、お仕事いってきまーす。
さて、こちら、京都のおへそ、烏丸六角。
今何をしているか?
今は、10時になるのをじっと待っているところ。
この先、50mにある「花月」 (かづき)
という旅館にお迎えです。
きょうは、貸切観光です。お客様は、4名。行き先は
下鴨神社、上賀茂神社、貴船神社、
貴船のお食事処(鳥居茶屋)、大覚寺、嵐山渡月橋。
実は、下鴨神社で、マイナーな失敗。
「またかー。」
そう、おっしゃるみなさまの顔が、浮かびます。
さて、何をどう、失敗したか?
それは、下鴨神社の南の鳥居で、駐車して、
そこで、お客様をお待ちしたこと。
それが、なぜ失敗かって?
一度、京都市街地図をご覧になってください。
一目瞭然ですよね。
お客様、帰ってきませーん。
待てど、暮らせど、帰らぬお客。
それもそのはず、糺の森は、
バス停2コ分ほどのキョリ。
まるで3日が過ぎたよう。
ふらふら千鳥に足もたつかせ、
ゆうたか、ゆわぬか、この言葉。
ひどうおまんな、この運転手。
中にも、車が着いとった。
あれは何ぞえ、13世紀の車かや。
そんなわけで、お客様、われに懇願して曰く。
運転手さんや、この次の
上賀茂神社は、ゆけるだけ、車で中までお入りやすと。
そりゃごもっとも、そりゃ当然だ。
生きた心地のせぬ山田でした。
では、山田は、どこで生き返ったのか?
山田は、貴船で、やっと、生き返りました。
「あのう、近くに、安い食堂ありませんか?」
と、鳥居茶屋の女将さんに聞いた。
「そんな心配しやはらんかて、
うちで、運転手さんのお昼は、
ご用意させてもらいます。」
それを聞いて、ドドドッドーンと、
山田ロケットが、天空高く、飛び立ちました。
宇宙旅行の夢は正夢だ!
午後は、嵐山の大覚寺へ。
「運転手さん、ここは、何が見られるお寺ですか?」
「恋に疲れた女です。」
3時55分のリムジンバスで、
空港に行くという。
素直に罧原堤経由で帰ればよいものを、
松尾から、五条通りにでて、渋滞にあう。
バカな運転手で、申しわけないですぅ。
ごめんなさいですぅ。
八条口リムジンバス乗り場に着いたのは、
午後3時50分。
アクロバット的到着時刻となりました。
あははははは...................あ~ぁ。
帰ろ、と思った瞬間、
次のお客様です。
大きな弓矢を乗せられるか?とお聞き。
「どうぞ。」
3人分の弓矢が室内をまたぐ。物干し竿のように。
「岡崎ですか?」
「お、おお、そうです。たのみます。」
「8段の試験、ご苦労様でした。」
「いや、運転手さん。ちがうよ。我々は、明日だ。
あした、5段の上を受けるのです。」
「お客様、私には、ほとんど、同じです。
金メダルが、5コでも、8コでも、すんごーいですよ。」
そして、話は、中島敦の「名人伝」に。
しらみを見ること、牛を見るがごとし。
100発100中となった名人の話に花咲きました。
「運転手さん。ただ者じゃないな。」
「(むむ。おぬし、できるな。)私は、ただ者じゃない。
確かに。遠回りをする運転手だ。見破られたか!」
とか、言っているうちに、岡崎に来ました。
お泊まりは、トラベラーズ・イン。
どうぞ、あすのご健闘をお祈りいたします。
ゴタ(山田 錦)