ゴタの過去の日記2010年7月2日
- カテゴリ:日記
- 2020/02/13 21:58:21
7月2日 (水)
「軍曹殿、橋です。橋が見えます。」
「よし、あの橋だ。山田上等兵、あれを、爆破するのだ。」
「はっ。では、このダイナマイトを、さっそく、仕掛けましょう。」
「よし、夕方までに、爆破してしまうのだ。
敵の戦車は、今夜、移動をするという情報が入った。
「行きましょう。軍曹殿。」
「よし、行くぞ。」
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「どうだ、山田上等兵。全ての橋桁に、ダイナマイトを仕掛けたか?」
「あと、この最後のダイナマイトを仕掛けたら、完了です。」
「よし、導火線を、あの巨岩の 裏にまで、引いていこう。」
「軍曹殿、敵のジープが、来ます。」
「隠れろ。」
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「ヘイ、ユー。 ソコデ ナニヲ シテイル ノダ?」
「しまった。見つかったか。」
「やむをえん。山田上等兵、貴様、英語が、出来ると言っていたな。
幸いにも、我々は軍服を着ていない。地元の農民だと言って、ごまかせ。」
「ワタシタチハ ヒャクショウ デス。ナニモ アヤシク アリマセン。」
「フーン、ドウダカナ。 ヨシ、ポケットニ
ナニガ アルカ シラベテヤル。 ゼンブ、ココニ ダセ。」
「山田上等兵、何と言っているのだ?」
「何か、パケット通信料が、どうの、こうのと言っています。」
「ハヤク シロ。 オレハ キ ガ ミジカイ ノダ。」
「おい、山田上等兵。何と言っているのだ?」
「エーイ、メンドウナ ヤツメ。
コンバット軍曹、コノ モノラヲ レンコウシロ。」
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【敵方、野営キャンプ】
ナンダーカ少佐の取り調べ。
地図、磁石、家族の写真、・・
「ドウミテモ、地元ノ農民トハ オモエナイ。
オマエタチハ、ニホン兵デハ ナイノカ?」
「(おい、山田上等兵、通訳しろ。)・・」
「(はっ、お前たちは、
家族思いだ、と言っております。)・・」
「その通りだ。ナンダーカ少佐。
我々、日本人は、農民であれ、軍人であれ、
みな、家族思いなのさ。
(おい、山田上等兵、英語に訳して、伝えろ。)」
「ワレワレ、日本人ハ、ヨカッタ。
ヨカッタ。・・・カナ?」
「ザンネンナガラ、オマエタチヲ、コノママ、
帰エスワケニハ、イカナイ。 オイ、
コンバット軍曹、コノ2名ヲ、収容シロ。
農民デアルコトガ、ハッキリ ワカルマデ収容ダ。」
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「軍曹殿、あの、ジープをかっぱらって、脱出しましょう。」
「だが、山田上等兵。
見張りの歩哨を、どうして、欺くのだ?」 「軍曹殿。大丈夫であります。
自分は、今週の占いは、大吉であります。
とくに、ドライブに、好機あり、と出ております。」
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「おい、山田上等兵、やっとの思いで、
ジープに辿り着いたのだぞ。
さっさと、動かして、ずらかるんだ。」
「う、運転の仕方が、わからない。」
「何をたわけたことを、言っているんだ。
貴様は、元、タクシー運転手だと、言っていたではないか。」
「それにしても、たくさん、レバーが、付いているなあ。
この、レバーは、何だろう。
あっ、ワイパーか。 これは、何だろう。
うわっ。バックした。うわー、止まらない。
ブレーキは、どれだ。あーっ、あーーー・・」
ガッシャーーン
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「おい、山田上等兵、大丈夫か?」
「はい、大丈夫であります。軍曹殿、お怪我は?」
「大丈夫だ。それにしても、山田上等兵、
貴様、英語も出来ないし、運転もできないではないか。
このふたつが、貴様の2階級特進の理由だったのだ。
部隊に戻ったら、覚悟しておけ。二等兵に、戻ることになるからな。」
「年齢も、18歳に、戻して下さい。」
「ばか者。 おや? 山田上等兵。
見ろ、後ろを。ぶつけた、建物は、格納庫だったぞ。」
「うわー、すごいです。戦車が、いっぱい、ありますよ。
これが、全部、今夜、あの橋を渡るのですね。」
「そのようだな。山田上等兵、急ごう。
早く、あの橋まで、戻って、任務を完了しよう。」
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「軍曹殿、なぜ、歩いて戻るのですか?
あのジープで戻れば、早いじゃないですか?」
「貴様のような、へたくそな運転では、また捕まってしまうだろう。
川床を下って行くぞ。一番安全だからな。」
「あれっ、軍曹殿。飛行機が、やって来ますよ。」
「敵機だ。山田上等兵。あの、ブナの林に、隠れよう。」
「すみません。ブナの木って、どんな木なのですか?」
「そんなこと、言っている場合か!
さっさと、あの、林へ、逃げ込むのだ。
哨戒機に見つかると、
機銃掃射されて、今度こそ、命はないぞ。」
「軍曹殿、お言葉ですが、
自分は、金比羅さんの、お守りを、もっております。」
「だから、そんな話は、あとだ。急げ。」
「うちのネコは、・・」
「ネコも、あとだ!
(貴様、必ず、二等兵に、降格させてやる!)」
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「軍曹殿、ほら、あれ。
ボートがありますよ。あれで、川を下りましょう。」
「うむ、しかし、・・」
「橋を爆破する人間が、ボートひとつ、
なくなるのを、気にするのですか?急ぎましょう。」
「・・・仕方がない。不本意ではあるが、そうしよう。」
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「軍曹殿、橋です。戻ってきました。」
「うむ、爆薬の仕掛けが、
気づかれていなかったら、よいのだが、・・・」
「あります。ほら、仕掛けは、そのままです。」
「よし、岩陰に隠したあの爆破ボタンのところへ、急ごう。」
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「日が、暮れてきたな。山田上等兵、準備は、いいか。
わしが、合図したら、そのボタンを押すのだぞ。」
「はっ。」
「おっ。敵の戦車が、来たぞ。よし、今だ。押せ。」
「押します。」
カチャッ。
パーン。 パーン。 パーン。パーン。 「何だ、これは、花火じゃないか。おい、山田上等兵、貴様、
ダイナマイトと花火を間違えて、持ってきたのか?」 「え?えー。」
空に、きれいな花火が、上がりました。夏ですね。
暑中おみまい申し上げます。
パーン。
山田 錦でした。