Nicotto Town



鳳凰誕生伝説


鳳凰:不死鳥(フェニックス) 

その黒い鳥は退屈していた。
神から冥界の番を任せられて鳴き声を上げて喜んだ日は
遥か遠く昔。
今は黙って毎日やってくる魂を見送る日々。

おりこうな魂ばかりで門番はすることがなかった。
だから彼は下界に降りることにした。
そして人間を陰から観察することを新しい自分の仕事にしたのがつい先日のこと。
この時代、まだ神に創られたばかりの人間たちは純粋であり何も知らない。
人畜無害な二足歩行の生き物たちは全てを愛し全てに感謝して生きていた。

そんな生物を見ていて黒い鳥はここでも退屈だった。

けれど冥界に戻っても自分を待っているのは音のない
世界。
ならば生きている魂を見ている方がマシだろうと黒い鳥は残ることにした。
初めは退屈な彼だったが採集をして狩を覚えて、村を作り毎日成長していく人間を見ていると情が湧いた。

黒い鳥にとってそこにいた人間はいつしか自分の子供のような存在になった。
そんな鳥は時々、人間の前に姿を現すこともあり彼の存在はすでに村中に知られていた。
ある日村から1人の女が彼に恐れず近づいてきた。
自然界で珍しい黒い鳥に何か神聖さを感じたのだろうか。 
女は近づくなり〝元気な子供が欲しい〟と彼に願った。
鳥はそれを了承すると自身の黒い羽に術を込めて渡した。
それから暫くして村中に男の子の元気な産声が響いた。
その産声が村中に広まるのと同時に願いを叶える黒い鳥の噂も広まったのだろう。人間たちは毎日彼の元へやってきた。
それぞれが鳥に願っては黒い羽を受け取った。
彼は大忙し、人間たちは幸せになった。
しかし、それから数年が経った時、村中の人間は急に弱ってしまった。
飢饉があったわけでも疫病が流行ったわけでもない。
ずっと村を見守ってきた黒い鳥は当然彼らが弱った理由を知っていた。
だから慌てることなく、その魂を冥界へ送ろうと黒いくちばしでついばんで回収していた。だが、鳥はその魂を誰にも渡したくなかった。
ずっと面倒を見てきたこの魂を神に触れさせたくなかったのだ。
そこでだ。鳥は魂を自分の体にとどめておくことに決めた。

最後に女の魂を回収すると黒い鳥はまた独りになってしまった。目の前には廃墟と化した村のみ。
だが黒い鳥は孤独でない。
彼の中には可愛い魂がいくつもある。
しかし鳥はもっと魂が欲しくなった。
彼はその黒い翼で世界中を飛び回った。
そして人々の願いを叶えては術──呪いを込めた自身の羽を渡した。
彼は長い年月それを繰り返して魂をいくつも集めた。
魂を溜め込んで獣のように大きくなった黒い鳥のところへある日、少年がやって来た。

「カタキを討ちに来た」と言う少年は願いを叶える黒い鳥の真実を知っていた。
不意を突かれた鳥は頭を矢で射抜かれる。

黒い羽に血がかかり鳥は死んだ。
──と、少年は思ったがなんと黒い鳥は起き上がった。
頭に刺さったはずの矢はドロドロと溶けて鳥の血と混ざる。
この時少年はもちろん黒い鳥ですら死んだ自分がなぜ起き上がったのか、分からなかった。
少年は恐怖のあまり矢を放ち続けた。
再び頭を射抜き赤い血が黒い体を塗りたくる。

それでも黒い鳥はなんどもなんども起き上がる。

頭を射抜かれる度に起き上がる黒い鳥は自分の体が軽く
なっているのを感じた。

彼はその理由に気がついた。

たくわえていた魂が死ぬ度に自分の体から抜けて
いたのだ。
弓を放つ少年を見て鳥は笑った。

別に少年を哀れんだわけではない。

神が魂を欲しがるわけ、自分がおりこうな魂の番をして
いたわけを知ったのだ。
自分は魂の番をしていたのではない。自分は魂を奪おうとするものがいないかの番をさせられていたのだ】 
そう思うと笑わざるを得なかった。


動かない鳥の頭に少年は最後の矢も頭に命中させた。
鳥が倒れるとすかさずナイフを構えて黒い喉を掻っ切る。
転がる頭と首から吹き出した血が少年ごと鳥の黒い体を
真っ赤に染める。
真っ赤になった少年が拾い上げた矢にはまだ鳥の頭が
残っていた。
その頭は少年を見て微笑む。
少年は恐怖のあまり矢ごと頭を放り投げた。
すると矢はまたしても溶けて鳥の頭と混ざる。
さらに頭を迎えに首を切られた真っ赤な体がやって来た。
頭と首が切断面を合わせると肉と肉を血の針が縫っていく。
それらが完全に合わさった時、黒い頭に赤い体の鳥が少年の前に現れた。
少年はナイフを握ったまま尻餅をついて動けない。
そんな愚かな人間に鳥は一歩一歩近付いた。
鳥は助けを求める少年の顔を凝視した。
何かを思い出したのか鳥は一言つぶやく。
「ああ、確かに元気な子供だ」
そんな言葉など届いていないほど怯えている少年の頭に
鳥は食らいついた。
とうとう頭まで赤く染まった彼は完全に赤い鳥になって
いた。
魂を喰らった赤い鳥は失った魂を取り戻すために今度は
赤い翼で羽ばたく。
行く先々で赤い羽と引き換えに人々の願いを叶えた赤い鳥は後に不死鳥──フェニックスと呼ばれることになる。



        ・・・魔王暦:2020・2・23・・・
          (魔界図書館に残る伝書より抜粋)


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2020/02/23 23:59
撫子さん
「じゃりン子チエ」の最終回ねぇ~?
どうなったんでしょうね???
俺も「コケザル」ってヤツが出てくる辺りの10巻くらいまでしか
読んで無かったのと違うかなぁ~?
近いウチに、マンガ喫茶に行って読んでみようかな?
(チエちゃん、古いマンガやし 今ではマイナーやから置いて無いかもなぁ~・・・・)

今日のアンケートの駅名ね^^
俺的には馴染みのある名前も多かったので8割は分かりましたよ~♪
でもさぁ~・・・こんなん関西に限らず、ドコに行っても読めない地名や駅名って
ありますよねぇ~?^^;
(北海道や沖縄なんか、もっと読めん名前があると思うけど~・・・・)

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2020/02/23 23:54
あらさん
今回の物語、中々のお話やったのでは無いでしょうか~?^^
たまにはこういうホラー?(それ程恐怖でも無いけど)も良いですね~(^^)ノ

俺のお名前ねぇ~・・・・
俺的には「魔王:たっくん」も気に入ってて好きなんですけど
本当は「樺太ししゃも(っコリ)」も実はチョイと気に入ってたりします^^;
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2020/02/23 23:50
ノエルさん
この鳳凰、こういう経緯で真紅の姿をしていたハズなんですけど
俺の魔王城に召喚された時に生意気な口を叩きやがったので、俺とのバトルに
発展してしまい、俺に熱湯の刑にされて 恐怖のあまり、今の真っ青な姿になった・・・・
・・・・という経緯なのでありました。

呪いをかけて人の魂を喰らうなど、言語道断な行いをしていた事も含めて
俺がバシバシピンタの刑+熱湯かまゆでの刑にしてやったので、今は小さくなって
大人しい良い子になりましたとサ♪ めでたし・めでたし♪・・・・です♪(^^)V
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2020/02/23 23:44
にこりん
なかなか面白い読み物やったでしょ?^^
こんなん、ここまでのものを俺が考えられるワケ無いやん ┐(´∀`)┌
俺ん家に召喚された鳳凰が、俺ん家に来る前の話として載せられそうな
話やったのでね♪

この鳳凰、退屈で人の世界を見に来たまでは良かったが、願いを叶えるのに
呪いを込めたらアカンよね~。
ここら辺が暗黒世界の住人の特徴なんでしょうねぇ~。

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2020/02/23 21:21
壮大なストーリーなんだけどさー。私は「じゃりン子チエ」の話の方が気になるー。
10巻ぐらいまでは読んだんだけど、あれって最後はどう終わったのかな?
ちなみに今日のアンケートの、関西の駅名(?)はさっぱり読めなかったです(T_T)
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2020/02/23 20:23
わぁ~おおぉ~さすがぁ~ノーベル賞作家です(^^)v

そ、それにしても、凄い怖いストーリーですねぇ、、、、

名前も変えたら、どう?

   「たっくん」 → 「大大魔王たくぞう」
 
     これって良いよぉ~~~~~~
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2020/02/23 16:45
暗黒大裸王たっくん、やっほ~♪
サスガは暗黒魔王子ッス!
何とも恐るべしな、闇ストーリーじゃあ~!
ネアカに見えて、実はドス黒さ満開の闇王子だったのネ~☆彡コワっ!www
まぁ、ストーリー的にはオモロかったぞよ~♪
ただ、やっぱ超絶こぇ~ッすなwww
フェニックスの体が炎チックなのも羽根が赤いのもそのせい?みたいな~♪(^_-)-☆
よく出来てたストーリーぞよぞよ~☆彡(`・ω・´)b

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2020/02/23 08:32
ひまさん…
とうとう俺の正体を見せる日が来てしまいましたね…
俺の住む魔界という世界は、こういう世界なんですよ…
だから ひまさん、貴女はコチラ側に来ては行けない!
貴女は太陽に正面から向かい合う「ひまわり」で居てください…

なんつって♪(テヘペロ♪(・ωく)♪)
「魔界図書館」なんてもの、あるワケャねえ~ぢゃん┐(´~`;)┌
これは鳳凰とか不死鳥で検索したら出てきた話ですよ(^^)

中々面白い読み物やったので、日記のネタとしてココに載せたんですよ(*^^*)

俺のブログや日記のネタ(話題や知識)のベースって、こういう所から得てる……って話でした_(^^;)ゞ
(ビビッた?)
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2020/02/23 07:21
こわいねえ
たっくん こんなん考えてたん
その黒い鳥は、退屈せんと
魔界におったらよかったと思う
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2020/02/23 07:13
もう~ 怖いw ホラー読んでる様で、、、余り
好きじゃぁ無い;; <(魔界図書館に残る伝書より抜粋)
>こんなのが有るのですね;良く探して来ました。
私は魔界より、現実が良い(笑)




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