『パラサイト』で濃厚接触してきました。
- カテゴリ:映画
- 2020/03/01 17:47:51
3月1日、映画ファーストディなので、
『パラサイト 半地下の家族』を見て、
同じ回で満席だった皆さんと、
「濃厚接触」してきました。 ☆\(ーーメ)
今年のアカデミー作品賞、
そして、外国映画として初めてアカデミー作品賞を受賞した作品ですから、
これは見ておかなければいけません。
そして、受けた印象と言えば、
これは、シチュエーション・コメディの三谷幸喜と、
突然、とんでもない出来事が不意打ちしてくるホラー映画、
その結果として、ブラック・ジョークのような展開が、
これでもか、これでもかと追い打ちをかけてくる映画でした。
この映画で、
パラサイトされているのは、
…いえ、
パラサイトさせているのは、
裕福な社長一家というよりも、
むしろ、あの高級住宅なのですね。
裕福な社長一家も、
所詮は、高級住宅に一時期、
身を寄せていたゴキブリに過ぎません。
高級住宅というものがあり、
そこに暮らす裕福な家族があり、
その家族に仕える家政婦や運転手、家庭教師がいる。
そのようにして、経済というか、
暮らしが成り立っている社会構造がある以上、
高級住宅にパラサイトして、
自らの暮らしをなんとか維持しようとする人々が、
その座を巡ってひしめき合い、
相争うのは、半ば必然と言えるでしょう。
そして、幸運にありつくということが、
生き残る上で重要な戦略となっている社会で、
もはや計画という言葉は、意味を持たないのです。
無計画なままに、目の前の幸運にしがみつくこと。
凄惨な事件の後も、高級住宅に寄生して、
なんとかその命をつないでいるであろう父を救い出すために、
息子は、その家を買えるほどの成功を計画するのですが、
しかし、彼の生活は、振り出しのところから、
何一つ前に進んでいない…。
その絶望感…。
しかし、これがアカデミー作品賞?
ここ数年、アカデミー作品賞のレベルが落ちているように思うのです。
それは、アメリカの映画界の地盤低下を物語っているように思いますし、
だからまた、外国語映画が、
作品賞を受賞する事態に陥っているのではないでしょうか。
確かに面白い映画、良い映画なのですが、
圧倒的に観客を打ちのめすような力が、
最近のアカデミー作品賞にはありません。
『グリーン・ブック』しかり、
『シェイプ・オブ・ウォーター』しかり、
『ムーンライト』しかり、
佳作・良作なのですが、名作とは言い難い!
もっと圧倒的な何かに出会いたくて、
安寿は、「濃厚接触」の危険を省みず、 ☆\(ーーメ)
こうして何度も映画館に足を運んでいるのですが…。
1990年代のアカデミー作品賞を調べてみたのですが、
1990 ダンス・ウイズ・ウルブス
1991 羊たちの沈黙
1992 許されざる者
1993 シンドラーのリスト
1994 フォレスト・ガンプ
1995 ブレイブ・ハート
1996 イングリッシュ・ペイシェント
1997 タイタニック
1998 恋に落ちたシェークスピア
1999 アメリカン・ビューティー
こう並べてみると、
好き嫌いはあっても、
「でも、確かにこれはアカデミー作品賞だよなあ」
と言えるような映画が並んでいるように思うのですが、
2010年代になると、
好き嫌いはあっても、
「にもかかわらず」と
見ている側をねじ伏せるだけの力を持った映画が減ったように思うのです。
濃厚接触を恐れて映画館に行けない私が言うのもなんですが・・・^^;